誰が死んだかわからない国
「身元不明」大国ニッポン 個人識別率の低さに緊急警告!
(週刊朝日 2010年09月03日号配信掲載) 2010年8月25日(水)配信
日本では身元のわからない死者約1万7千人が、「お骨」の状態で引き取り手を待っている。しかし、他国から見れば、これだけ多くの「身元不明死者」が存在する日本は異常な国だ。「歯」による個人識別が進む国では、ほとんど身元不明者は出ない。日本に数少ない歯科法医学者たちは、日本の個人識別率の低さは「外国ではありえない」と訴えるのだ。 ジャーナリスト 柳原三佳
所在のわからない100歳以上の高齢者の数が、日を追うごとに増えている。
「どこかで亡くなっているのに、身元不明のままの人も多いんだろうな……」
そんなことを考えながら、インターネットで何げなく、「身元不明死者」と打ち込んで検索したら、「都道府県警察における身元不明死者情報ページ」というページが出てきた。47都道府県警察のホームページにリンクして、身元不明死者に関する情報を見ることができる。
その数に驚いた。試しに「東京都/警視庁」をクリックしてみる。すると、身元不明死者の男女別や推定年齢、身体特徴などが書かれた一覧表が画面いっぱいに現れたのだ。
〈平成18年4月29日 男 70〜80歳 158cm やせ面長 白髪混じり 前頭部広い ホクロ(右まぶた) 全歯欠損〉
〈平成22年4月19日 女 20〜40歳 160〜170cm やせ型 黒髪 ロングヘア〉
画面を下へ下へとスクロールさせても、なかなか終わりが見えてこない。警視庁だけで600人以上の情報が並んでいる。
一覧表の番号をクリックすると、発見されたときの衣類や靴、装飾品、持ち物などの詳細情報と実際の写真が確認できる。他の道府県も同様だ。これだけ特徴がわかっているのに、どうして身元が不明なのかと不思議になる情報も多い。
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