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苦境続き、HMV渋谷店閉店 存在意義探るCD店(2/2ページ)

2010年8月28日11時9分

写真:タワーレコードの店内に掲げられた、オーディションへの参加を呼びかけるポスター=東京都渋谷区拡大タワーレコードの店内に掲げられた、オーディションへの参加を呼びかけるポスター=東京都渋谷区

■書き下ろしや「999円」盤

 そこで大手はオンライン事業の強化を進めながら、自主企画盤の制作など専門店の強みを生かした戦略を練る。タワレコは今年発売した日本上陸30周年の記念アルバムに、「NO MUSIC, NO LIFE.」をテーマに、「インディーズ、新人時代から店内イベントやプロモーションで築いた関係で実現した」人気アーティストの書き下ろし19曲を収録した。クラシック音楽でも、初めてCD化した音源を含むオリジナル企画盤は6年間で400タイトルを超え、独自性を打ち出す。

 TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、999円の洋楽ベスト盤でお値打ち感をアピールする。現在120タイトルで、計35万枚以上売り上げた。酒井善貴社長補佐は「コアな音楽ファン以外の関心を高めて音楽市場を活性化したい」と話す。新星堂は店舗スタッフ発案の企画盤を制作。次世代型店舗と位置づける、音楽セレクトショップ「Tea for Two Records」の運営にも取り組む。

 CDショップの経営が難しいのは、同じ再販制度でも委託制で返品自由な書籍類と異なり、買い取り制が基本だからだ。旧外資系、レンタル系などを除く日本レコード商業組合の加盟店数は、廃業などの理由で92年の約3200店から10年は約720店に激減。小規模店は個性的な店づくりや情報発信に工夫を凝らす。

 愛知県春日井市のクラシック音楽専門店「アリアCD」(http://www.aria−cd.com/)は、会員制の通信販売店だ。店主の松本大輔さんはチェーン店大手のバイヤー・店長を経て、00年に独立。在庫を抱えなくてすむ通信販売を選んだ。一方で、日本で流通していない海外レーベルとの取引ルートを開拓。独自商品が売り上げの約半分を占め、「入荷まで半年かかっても顧客は待ってくれる」。

 毎日、CDを10枚以上聴く。会員(年会費2千円)に年5〜6回届けるカタログ執筆のためだ。お薦めのCDについて熱く語るコメントが出版社の目にとまり、『やっぱりクラシックは死なない!』(青弓社)を含め4冊の本になった。いまや沖縄から北海道まで広がる会員はネット会員(同1千円)を入れて約1500人。「将来はやはり店舗をもちたい」と夢見る。(青山祥子)

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