鼻炎薬から覚醒剤!? その衝撃の製造法とは?

2010.06.10

 市販の鼻炎薬から覚醒(かくせい)剤を作り出していたイラン人2人が警視庁に逮捕された。自宅の屋根裏部屋を“製造工場”にしていたという。国内での密造はきわめて異例だが、調べてみると、ネット上には密造に関する情報や覚醒剤の合成法などが動画付きで掲載されていた。

 覚せい剤取締法違反(営利目的製造)の疑いで逮捕されたのは、イラン国籍の溶接工、アリ・バフィ・モハマド(46)と飲食店経営、フレマーニー・フーシャング(39)の両容疑者。2人は昨年8月から今年4月までの間、モハマド容疑者が所有する神奈川県相模原市の木造2階建て住宅で市販の鼻炎薬を原料にして、覚醒剤を製造した疑いという。

 これまで国内で流通する覚醒剤は北米や東南アジア、中国、北朝鮮などで密造されたものがほとんどで、国内で密造が見つかるのはきわめて異例。捜査関係者も「覚醒剤は製造過程で強烈なにおいが発生するため発覚しやすい。それに、設備が整った施設でなければ高純度のものは精製できないので、国内での密造は不可能と考えていた」と驚いている。

 だが、違法薬物に詳しい暴力団関係者は「一部の市販鼻炎薬の中にはエフェドリンという成分を含むものがあり、これを数種類の化学薬品と調合すると、覚醒剤のアンフェタミン・メタンフェタミンを製造できるのです」と語る。

 この関係者によると、エフェドリン自体にも覚醒・興奮作用があり、薬物愛好者の間では“合法ドラッグ”としてメジャーな薬物だという。

 「気管支ぜんそく用の生薬としても使われる一部の薬にもエフェドリンが含まれており、その成分が入った漢方薬や、エフェドリン含有量の多い市販薬などが乱用者に人気です」

 すでに米国では、エフェドリンからの覚醒剤密造が問題となっており、輸入や所持が厳しく規制されている。日本でも含有量が10%を超えると規制の対象になるが、「対応は追いついていない」(捜査関係者)。

 しかも、ネット上の闇サイトには、エフェドリンからの覚醒剤製造方法を指南するマニュアルも複数存在する。あるブログサイトでは覚醒剤密造の現場を描いた米国のテレビ番組の動画を公開。映像ではビーカーや電気コンロ、固体・液体の蒸留に使われる「エバポレーター」などの器具を使って出演者が実際に覚醒剤精製を“実演”していた。

 捜査関係者は「こうした情報が氾濫することで密造に手を染める者が出てくる可能性もある」と警戒を強めている。

 

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