日中両政府は28日、双方の閣僚による「ハイレベル経済対話」を中国・北京で開いた。世界第2位の経済大国の座が入れ替わろうという微妙なタイミングでの開催。自信をつける中国、焦って追いすがる日本という構図も垣間見えた。日本側が勢い込んで求めたレアアース(希土類)の輸出規制見直しや労働争議の収束もあっさりかわされた格好だ。
ハイレベル対話は2007年12月の北京、09年6月の東京に続き3回目の開催。両国の経済閣僚がそろい、2国間協力や双方の課題を議論してきた。民主党政権が発足して最初の会合となり、日本から岡田克也外相、野田佳彦財務相、直嶋正行経済産業相ら6閣僚3副大臣が参加した。
2国間協力の拡大を巡る議論では、(1)環境分野での協力(2)産業協力(3)金融協力(4)労働争議などビジネス環境の改善(5)農林水産振興の5分野で具体策を協議。トキの保護や違法伐採への対処など7つの分野で合意文書を交わした。
だが、協力強化の方向で体裁を整えたとはいえ、日本側が懸案と位置付けた課題ではほとんど前進が見られなかった。出席した閣僚によると、レアアースと労働争議を取り上げた場面では日本側が強く改善を求めたことに対して中国側が態度を硬化させ、譲歩や翻意を引き出すにはほど遠かったという。ビジネス環境の改善を巡る議論は、日本の主張を中国が「聞き置いた」という面が強い。
過去2回の自民党政権時代の経済対話では、日本が中国に課題の解決を迫る場面が多く見られた。福田政権下で開いた1回目は日本側が人民元の切り上げなど構造改革の推進を要請。麻生政権下の2回目も中国製冷凍ギョーザ中毒問題の影響で、食の安全の徹底を促した。これに比べると今回は日本が窮状を訴え、中国に善処を求める場面が目立った。
中国経済はなお高い成長を持続し、名目国内総生産(GDP)は今年中に日本を抜いて世界第2位に躍り出る可能性が高い。一方、円高・株安に悩む日本はさらに経済力が弱体化する危機に直面している。政府関係者は「中国は日本のそぞろな空気を見透かせば、交渉のカードを切ってこない」としたたかな姿勢に警戒感をにじませる。
日中でより突っ込んで議論すべき経済問題は山積している。円高や人民元の柔軟化など通貨面での協力を具体的にどう進めるかや、アジア太平洋地域での経済統合、自由貿易協定(FTA)の早期締結など早く成果を出す必要がある。今回の対話ではいずれも「充実が必要」などと精神論に終始しており、6閣僚が集まった割には成果が乏しかった。(北京=大滝康弘)
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