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【日曜経済講座】編集委員・田村秀男 アジアと協調して危機再発防止 (2/2ページ)

2010.8.29 07:40
金利と原油価格金利と原油価格

 余剰ドルを運用し、短期的な利益を狙う投資ファンドはいずれ何らかの理由で米国債を売り、原油先物を買う挙に出るだろう。ドル安下で米国債が急落すれば、オバマ政権が慌てることは過去の例から見ても明らかだ。

 ドル安誘導の揚げ句、1987年10月19日の「ブラック・マンデー(暗黒の月曜日)」と呼ばれるドル、株、国債のトリプル暴落が起き、世界の市場を震撼(しんかん)させた。93年に発足したクリントン政権は通商摩擦で日本たたきと円高促進策をとった。しかし、米国債は94年1月までの1年3カ月の間、2・5ポイントも利回りが上昇し、クリントン政権は95年半ば、「強いドル」政策に転じた。

 オバマ政権のドル安容認政策は、米国を含む世界の金融市場に大災厄をもたらすマグマを鬱積(うっせき)させている。円高・ドル安阻止の政策に日本が米国の同調、もしくははっきりした承認の意思表示を求めるのは国際責任でもある。

 米国債が暴落の危機にさらされたとき、日本は豊富な円資金で米国債買い支えのために機動的に出動できる。北朝鮮問題など政治、軍事両面から緊張関係をはらむ米国債の最大の保有国中国は、米国債購入の見返りに外交上の対価を求めてくる恐れがある。それは、オバマ政権も分かっているはずである。

  

国家戦略が必要

 円高の日本と逆に、新興国の多くはドル安の流れが逆転したときに起きた97年のアジア通貨危機の再来を恐れている。筆者は先週、ソウルで開かれた日中韓経済協力に関する民間団体主催の国際会議で、李明博大統領直属の規制改革委員会の安忠栄委員長に会った。韓国は11月に、20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)を主催する。同委員長によれば、最大の合意目標は「米英の投機による犠牲にならないための方策」だという。東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓による通貨交換協定「チェンマイ・イニシアチブ」を拡充して通貨安定基金を創設し、国際的な通貨協調の枠組みを整備するのはこのためだ。

 それならば、日本は円売り・ドル買い介入で得た巨額のドル資金の多くを通貨基金に移管すればよい。介入資金は国内の貯蓄ではなく日銀資金で調達できる。日本の市場介入はアジアに還元され、金融の量的緩和効果によるデフレ対策にもなる。日本に必要なのは、強固な意志に基づく国家戦略なのである。

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