日韓併合100年:韓日の子孫たちが率直な対話(下)
二人の話は、家族のことに移った。イさんの曾祖父、李鉉周(イ・ヒョンジュ)さん(1877-1920)は、1905年に乙巳(いつし)条約(第2次日韓協約)が締結されると、抗日闘争に参加した。08年、金泰元(キム・テウォン)義兵長の下で日本の将校・吉田勝三郎さんを射殺し、09年には魚登山で日本軍と交戦中に重傷を負った。こうした功績が認められ、90年に建国勲章愛族章を受章した。イさんは、「曾祖父が日本軍から逃げている間、曾祖母は拷問を受け、残された家族も散り散りになるなど、本当に苦労した」と話した。「毎年5月には、一家で大田の顕忠院にある曾祖父のお墓参りをし、献花します。父は『ルーツを忘れてはいけない』と常に強調していて、今回も『歴史をたくさん勉強してきなさい』と言っていました」
オオハシさんは、「僕の家は代々、神官の家系で、曾祖父は靖国神社の神官だった」と話した。「父は初め、『お前が朝鮮史を勉強して韓国に行ったところで、おじいさんのせいで恨みを買うだけだ』と僕を止めました。父は幼いころ、在日韓国人にひどく怒られたこともあるそうです。でも、今は積極的に応援してくれています」
二人は1週間の共同歴史体験を通じ、距離がずっと縮まった様子だった。オオハシさんが「植民支配にかかわった日本人の子孫としてどうすべきなのか、よく分からない」と話すと、イさんは、「あなたを個人的に憎んでいるわけじゃないわ」と言って笑った。
オオハシさんは、「歴史的事実を正確に知るのが何よりも重要だと思う。日本の学生たちは、韓日間の歴史について関心がない。この前も、友人に『今年は韓日強制併合100周年だ』と話したら、初めて聞いたと言っていた」と話した。来春には大学院を修了し、小・中学校の教科書を編さんする会社に就職する予定だというオオハシさんは、「日本人の歴史認識を改める教科書を作りたい」と語った。
イさんは、「歴史のしこりを解きほぐすのが若い世代の課題であるだけに、今後は日本の大学生と、もっと積極的に交流しなければ」と話した。
特別取材チーム
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