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にいがた夏野菜カレープロジェクト

2010年08月25日

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「大観楼」の「夏野菜たっぷりカレージャージャーめん風」=三条市

 「全国一のカレー好き」とのデータがある新潟でこの夏、県とハウス食品、地元スーパーなどが「にいがた夏野菜カレープロジェクト」を行った。カレーで地元を盛り上げようというもの。ただ、主体の一つのハウス食品新潟営業所の売上高は前年7月と比べ約1割減。記録的な猛暑でカレーが敬遠されたことなどがあったようだ。とはいえ、カレーをめぐっての大がかりな協力態勢は県内では珍しく、カレーでの街おこしを今後も定着させたい、との期待は高まっている。(大内奏)

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 プロジェクトは7月1日から今月31日まで。参加したのは県と妙高市の自治体に、ハウス食品とキリンビール、清水商事(清水フードセンターを展開)やウオロクなどの県内スーパー。生鮮野菜を出荷するJA全農にいがた、カレーラーメン販売店が加盟する三条飲食店組合、イタリア軒などのホテル、県青果物卸売市場協会も加わった。

 ハウス食品は製品のカレールーと、地元産の夏野菜を使ったカレーレシピを提案し、スーパーが専用コーナーを作って売り出した。ハウス食品によると同社の市販用カレールーの県内シェアは7割とトップという。

 ただ結果的にハウス食品新潟営業所のカレールーの売り上げは同約1割減になった。カレーを食べるには気温が高すぎたことが原因と見る。同社によると気温が35度を超すとカレーやシチューの売り上げは落ちるという。また、人気アイドルグループ「嵐」をPRに起用した昨年の反動もあった。しかし、「JAと協力して野菜の収穫体験とカレーの料理教室を開くなど、今までにない展開ができた。今後の需要拡大が期待できる」という。

 売り上げが伸びた所もある。ウオロクのカレールーの7月の売上数量は前年同月比7〜8パーセント増、清水商事は同5%増という。両社とも「イベントの効果かはわからない」と慎重だが、「目的がはっきりしていると売り出しやすい」(清水商事)という。

 三条市の飲食店は24店舗が参加し、夏野菜を使ったカレーラーメンを売り出した。
 ただ、県から参加依頼が来たのが遅く、イベントに加わったのも8月から。中国料理「大観楼」の店主の岩城守・三条飲食店組合長は「参加が遅く、これを目当てにお客さんが来るような状態ではない。でもカレーラーメンと他の食材とのコラボは初めてで、いい経験になった」。

 妙高市も7月20日からイベントに参加した後発組だ。「カレーに合うコメ」として市内で栽培する「華麗米」を使い、夏野菜カレーを道の駅などで売り出している。今秋からは華麗米の販売を始めていく計画もある。

 県食品・流通課の星丈志補佐は「今後は県の手を離れても、毎夏に盛り上がるイベントを作っていくことができたら」と期待を寄せている。

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 このイベントは、「ご当地夏カレー」販売促進イベントを全国で展開するハウス食品と、「全国一カレー好き」な県民性に目をつけた県の思惑が一致し、県が各団体を巻き込んだイベントに仕立てた。

 総務省は毎年行う家計調査で、全国の都道府県庁所在地と政令指定都市での食料品などの消費量を調査している。2人以上の世帯での2007〜09年の平均値を見ると、新潟市のカレールー購入金額は全国一だ。数量は1994グラムで、年間約100人前を作っている計算になる。

 「新潟はカレーの具に使う生鮮野菜の消費量が多い」と話すのは県食品・流通課の星丈志補佐。家計調査の同じデータによると、新潟市はジャガイモ2位、ニンジン4位。豚肉も5位となっている。

 また、三条市には昭和初期から売り出されていたとされる「カレーラーメン」がある。居酒屋で売られる「半身揚げ」もカレー風味で、カレーの食文化が広がる。

 カレー総合研究所の井上岳久所長は「カレーが人気の地域には、保守層が強い県民性がある。カレーは軍隊や給食で採り入れられた、皆が知っている味。新しい料理をあまり採り入れず、一度受け入れたカレーを食べ続ける」と話す。家計調査でカレールー購入額2位の鳥取市や4位の松江市は自民支持層が多い。新潟市も、かつては保守色が強かった。

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