民主党の“黄門様”こと渡部恒三元衆院副議長(78)が27日、代表選(9月1日告示、14日投開票)に出馬する小沢一郎前幹事長(68)や、小沢氏支持を表明した鳩山由紀夫前首相(63)を猛批判した。TBS「時事放談」の収録に臨み、「政治とカネ」の問題で説明が済んでいない小沢氏の出馬を「恥ずかしい、情けない」と断罪。鳩山氏についても「いい人だと思っていたんだけど…」と斬り捨て、菅首相再選への援護射撃を行った。
小沢氏出馬の感想を尋ねられ“黄門さま”の表情はゆがんだ。「いや〜恥ずかしい〜」。恒三氏は「政治とカネについて一切説明しない男が総理大臣になろうなんて、そしてそれを担ごうという国会議員がいっぱいいるなんて、情けなくて情けなくてぇ。国民の皆さ〜ん、申し訳ありませんっ!」。お茶と一緒に目の前に出されたハト形のお菓子「HATOちゃんからKANちゃんリレーサブレー」も、むなしかった。
怒りの矛先は鳩山氏にも向けられた。小沢氏も参加した、軽井沢の鳩山別荘での懇親会(19日)について「国民の生活が厳しいときに、最高級の別荘で国会議員が集まって、本当に恥ずかしい〜」と指摘。当初、菅氏支持を示唆しながら小沢氏支持に翻った前首相に「鳩山君も困ったな〜。いい人だと思ってたんだけどね〜」と落胆した。
ご意見番的長老キャラで、小沢氏とは同期当選、誕生日も同じという恒三氏。小沢氏の「政治とカネ」の問題など、ことあるごとに歯にきぬ着せぬ物言いを披露してきたが、今回は特に厳しい。「民主党で、総理大臣を選ぶ代表選は初めて」。今までとはワケが違うことを強調。菅首相支持の姿勢だ。
恒三節は、1回生議員をもけん制した。「小沢首相」の下では国会運営が立ちゆかなくなり「来年の春、解散だ〜」と予言。その場合、代表選で小沢氏に投票したチルドレンは次期衆院選でほぼ討ち死にするとの見方を示した。「党からもらった公認を、小沢君からもらったのと勘違いしている、かわいらしい感じの人もいる」と小沢ガールズにクギを刺した。
「小沢首相」の資質にも疑問符を投げかけた。「(現在のように)都合悪いから1週間雲隠れとか、オレは予算委員会出ないとかいうワケにはいきませんよ〜」。仮に代表選に小沢氏が勝ったとしても「小沢氏が党代表は務めるが、首相は別人」という「総総分離」の可能性にまで言及した。
逆に小沢氏が敗れた場合、小沢氏が離党して民主党が分裂する可能性については「そうはならないですよ。(小沢氏に)そんな欲はなくなるだろうし、ついていく者がない」と断言。どこまでも厳しい恒三氏の舌鋒(ぜっぽう)は、し烈な党内抗争を象徴するようだ。