県立がんセンター新潟病院(新潟市中央区)は27日、新潟市の70代男性への検査で腎盂(じんう)がんの疑いを見逃し、治療の遅れでがんが進行し、男性が死亡する医療事故があったと発表した。遺族とはすでに示談が成立し、県は約420万円の損害賠償を支払う方針で、9月県議会に議案を提出する。
同病院によると、男性は07年7月、前立腺がんの治療で通院し、転移がないか調べるため、コンピューター断層撮影(CT)検査を受けた。検査後、泌尿器科の主治医が放射線科医から報告書を受け取ったが、所見に書かれた腎盂がんの指摘を見落とした。
男性はその後、前立腺がんの治療だけを受けたが、08年8月の検査で腎盂の異常が分かり、約1年前のがん見落としが判明。腎盂がんの治療を始めたが、09年12月、腎盂がんの肺転移と呼吸不全で死亡した。
会見した田中乙雄院長は「患者、家族、県民に深くおわびします」と陳謝した。【小川直樹】
毎日新聞 2010年8月28日 地方版