【社説】併合から100年、改めて激動の東アジアに立つ(下)
西欧帝国主義による西勢東漸が誰の目にも明白だった19世紀後半、朝鮮の支配階級は世界情勢の変化や自国の進むべき方向性についてまったく無知だった。そのころ日本では、開化か攘夷かをめぐって国中が激しく沸き立ち、誰もが命がけの闘いに明け暮れていた。また老大国の清も国際法や国際政治について学ぼうと必死だった。ところが朝鮮では、開化政策によって世界情勢についての判断を下し、新たな文明を取り入れて経済や軍備を整え、国の根幹を立て直す作業があまりにも遅れており、その勢いも非常に弱かった。その後も「夷を持って夷を制する」という戦略で国を守ろうとしたが、実際は西欧諸国による裏取引に操られていた。これらも結局は国際情勢に対する無知故のことだった。
21世紀に入って2回目の10年を迎えた今日、東アジアでは半植民地50年、共産主義閉鎖社会30年を経た中国が、改革・解放30年の成果を手にして世界の工場となり、世界第2位の経済大国として、米国と肩を並べて世界秩序について議論するG2の地位にまで上り詰めた。過去40年にわたり世界第2の経済大国としての地位を守ってきた日本も、100年を経て再び訪れた東アジアの秩序再編の中で、国家の新たな進路を見出そうと暗中模索している。36年にわたる植民地支配の後遺症でもある、南北分断のくびきを抱える大韓民国も、近代化と民主化を相次いで達成し、世界の先進国の仲間入りを果たした。世界の人口と富の3分の1を占める東アジアの秩序再編が進む中、大韓民国が今後いかに中心的な役割を果たすことができるかは、これまでわれわれの重荷となってきた北朝鮮を、いかにして民族再飛躍に取り込んでいくかに懸かっている。
100年前の興亡を教訓として活かせる今こそ、国の指導者は指導者の立場から、また国民は国民の立場から、民族飛躍のカギとなる北朝鮮問題を理性と情熱だけでなく、全身で抱えて取り組み、解決していくべき時を迎えている。
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