日韓併合100年:金鐘泌氏が語る「対日請求権談判」秘話(上)
韓日強制併合100年、あすを語る
本紙は毎日新聞と「韓日強制併合100年、あすを語る」シリーズを共同で企画し、その第1回目として、韓日請求権交渉の当事者である金鐘泌(キム・ジョンピル)元首相と、日本の首相として初めて公式に韓国を訪問した中曽根元首相にインタビューを行った。
金鐘泌元首相のインタビューは25日、ソウル市中区青丘洞の自宅で行われた。そこで金元首相は、韓日国交正常化交渉の糸口となった1962年11月12日の「金・大平メモ」の合意を引き出した際、大平外相と3時間30分にわたって行われた談判の秘話を打ち明けた。
金元首相は「3時間でようやく端緒が開けるほど、緊張感が張り詰めていた。大平外相はこの席で“8000万ドルが限度”と口を開き、最初に“請求権資金”の額を切り出した」と話した。そして「大平外相は、“これは池田首相が指示した金額だ”と言った」と付け加えた。
金元首相は「あなたと(3時間も)話しているのに、コーヒー1杯も出さないケチな国が8000万ドルとは信じられない、と言い寄ると、大平外相は“ああ、すまない”と言って秘書室のドアを開けた。すると、記者らがびっしりと控えていた」と話した。
金元首相がこのとき、「日本の戦国時代を終わらせた織田信長は、ホトトギスについて、“鳴かぬなら殺してしまえ”と言った。その後を継いで天下統一した豊臣秀吉は、“鳴かぬなら鳴かせてみよう”と言い、その後260年以上も幕府を運営し、日本を支配する礎を築いた徳川家康は、“鳴くまで待とう”と言った。今ここで必要なのは、ホトトギスを鳴かせてみようと言った豊臣秀吉ではないのか」と話すと、大平外相はようやく心を開いたという。
その後の本格的な対話で、金元首相が朴正熙(パク・チョンヒ)国家再建最高会議長の交渉カード、「8億ドル」を初めて切り出すと、大平外相は席から立ち上がり、鈍牛(大平外相のあだ名)のように部屋の中を歩き回ったという。
金元首相は、「さらに1時間ほど激しい議論を交わした末に、最終的な“6億ドル(無償3億、有償2億、民間借款1億ドル)プラスアルファ”の案を提示すると、悩んでいた大平外相は“俺はこれで終わった”と言いながら同案を受け入れ、メモを作成した」と証言した。
- 韓日国交正常化交渉の糸口となった「金・大平メモ」。1962年11月12日、金鐘泌中央情報部長と日本の大平外相が合意した秘密メモには、「無償3億ドル、有償2億ドル、民間借款1億ドルプラスアルファ」などの内容が書かれている。2005年8月26日、韓日協定関連文書の秘密解除で初めて公開された。/写真=趙寅元(チョ・インウォン)記者
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