top_rogo.gif (16396 bytes)

総連、在日朝鮮人だけ「法の厳格適用」 安倍政権、非道な政治弾圧

警察庁長官 意図的な「事件化」を全国に指示

総連東京都本部に対する不当な強制捜索に抗議する同胞たち(昨年11月17日、東京)

 日本政府は近年、「拉致問題」やミサイル、核問題などを口実に、朝鮮に対して「圧力」に基づく強硬政策を講じる一方、国内では総連と在日同胞に対する弾圧を強化してきた。

 小泉政権の後を受けた安倍政権は、従来の規制や圧力だけでは生ぬるいと、弾圧の対象と規模を拡大。人道目的の祖国往来船「万景峰92」号の入港禁止など、一連の「対北朝鮮制裁措置」を発動し、矢つぎばやに総連関連機関に対する不当な強制捜索(別表参照)を強行している。

 安倍政権による一連の総連弾圧の本質は、漆間巌・警察庁長官が今年の年頭記者会見(1月18日)で行った以下の発言に端的に表れている。

 「拉致被害者の帰国に向け、北朝鮮に日本と交渉する気にさせるのが警察庁の仕事。そのためには北朝鮮の資金源について、『ここまでやられるのか』と相手が思うように事件化して、実態を明らかにするのが有効だ。北朝鮮が困る事件の捜査、摘発に全力をあげる」

押収した書類を載せたバスを阻止する活動家、同胞らに襲いかかる機動隊(6日、兵庫)

 全国の警察を掌握する警察庁トップが明らかにした「事件化」方針に沿って、昨年末から警察当局による総連関連施設や個人宅などに対する強制捜索が相次いだ。薬事法や所得税法、税理士法違反などの容疑をかけ、地方本部や商工会、はては学校にまで押し入り、関係者を手当たり次第に逮捕、「容疑」とは関係のない文書、物件まで押収した。

 当局による政治弾圧の意図が露骨に表れた例は、滋賀に対する一連の強制捜索だ。同胞商工人の営業用貨物車の名義問題を「事件化」し、日曜日に100人を超える武装警官を動員、滋賀朝鮮初級学校にまで土足で踏み込んだ暴挙は、不当な権力の濫用以外の何ものでもない。

 在日朝鮮人をターゲットにしたこれらの非道な摘発が、「現行法の厳格適用」という名の下にまかり通り、「法の下の差別」が公然と行われているのだ。全国規模へとエスカレートする強制捜索は、「朝鮮人狩り」「総連狩り」の様相すら呈している。

 時の政権の意図に基づき動く公安警察が一連の強制捜索に主導的に関わっていることからも、政治的弾圧であることは明らかだ。

 軽微な容疑に対して大掛かりな捜査を実施し、「事件化」することによって総連と在日朝鮮人を犯罪者に仕立てあげる公安警察。その公安警察から提供された情報を独自取材して吟味することもなくタレ流し、あたかも重大な犯罪であるかのように報道、排外主義を増長し、不安を煽るマスメディア。

 日本社会で顕著になりつつある右傾化傾向とも合わせて考える時、現在の状況は、「治安維持法」によって社会の反戦、平和勢力を弾圧し、反政府的な動きを根こそぎにしたかつての戦争前夜の日本を彷彿とさせる。

 また、「団体等規正令」を適用し在日本朝鮮人聯盟(朝聯)を強制解散(1949年)させた当時の状況にも酷似しているという指摘もある。「治安維持法」の真の目的が国家規模の戦争遂行体制の整備にあったことを考える時、安倍政権の狙いは明らかだろう。

 今回の6者会談の進展もそうだが、朝鮮をめぐる国際環境が好転の兆しを見せると、日本当局は必ず総連弾圧事件を、文字通り意図的に起こしてきた。

 「拉致問題」、それによって自ら作り上げた反朝鮮の風潮をバックに誕生した安倍政権が、政権基盤を維持強化する目的から、朝鮮に対する圧力を強め在日朝鮮人の人権を侵害することを決して許してはならない。(李相英記者)

[朝鮮新報 2007.2.23]