仙谷由人官房長官の三つの政治団体が事務所費や人件費名目で、仙谷氏の長男(36)側に2年8カ月で計320万円を支出していたことが、政治資金収支報告書などで分かった。320万円は、長男が代表を務める司法書士事務所が実質的に使っている東京・西新橋のビルの家賃などにあてられており、長男側の経費を政治資金で補填(ほてん)していた疑いがある。
仙谷事務所は長男側への支出について、政治団体の業務の一部を委託した対価だとし、問題はないと説明する。一方、司法書士事務所の関係者は取材に対し、「政治団体としてはほとんど使われていなかった」と証言しており、実態とかけはなれた支出の可能性がある。
3政治団体は、仙谷氏が代表を務める資金管理団体「制度改革フォーラム」と「21世紀改革研究会」、同氏の支援者が代表の「仙谷由人全国後援会」。いずれも政治団体や個人から寄付を受け、「制度改革フォーラム」は民主党からも寄付を受けている。
仙谷氏の長男は2007年3月、東京・西新橋の9階建てビル2階にある一室(約100平方メートル)に司法書士事務所を開設した。3政治団体はこれを機に、東京・銀座の仙谷氏の弁護士事務所にあった「主たる事務所」をこの一室に移転する届けを総務省に出した。仙谷氏の弁護士事務所も同時期に、この一室に移った。
長男や関係者によると、長男は07年3月、仙谷氏から25%の出資を受けて不動産会社「コモンズ」を設立、自ら代表取締役に就いた。コモンズは、西新橋のビルのオーナーから、この一室を月額約60万円で賃借し、司法書士事務所や仙谷氏の弁護士事務所、3団体に転貸。それぞれから家賃や光熱水費の分担金を受け取っているという。