「ヤクルト6‐0阪神」(27日、神宮)
阪神がヤクルト・館山の前に今季5度目の完封負けを喫した。6安打に抑えられた打線は二塁を1度も踏めず、今季ワーストの15イニング連続無得点。今季初の月間負け越しも決定した。危険水域に突入した中、城島健司捕手(34)は「こういう時こそ自分の持ち場をしっかりするのが大事」と正念場での思いを口にした。巨人、中日とも延長戦の末にサヨナラで敗れ、ゲーム差は首位巨人と1差、3位中日とは1・5差のままとなった。
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最後にベンチを出た司令塔は、あふれる感情を一気に吐露した。三塁スタンドからのヤジと声援を背に、前を向いて力強く歩く。残り33試合。立ち止まっている暇はない。連敗に沈むチームの総意を、城島が代弁した。
「いまは(チーム全体の)流れが良くないのかもしれない。ただ、これまでも自分たちの力で打開してきましたから。戦うのは選手ですからね」
序盤の投手戦は、中盤から一方的な展開になった。四回、2死一塁で4番ホワイトセルに2ランを浴びると、六回には3番飯原に2ランを被弾。八回には桟原が2点を失って、試合が決まった。「今までよりヒットは少なかったけど、2アウトから勝負どころでね…。この時期は内容より結果ですから」。助っ人右腕の奮闘をたたえつつも、甘くなった決め球を嘆いた。
打線も館山の前に沈黙した。城島も二回、八回と、特大飛球を中堅に打ち上げたが、フェンス目前で失速。和田打撃コーチが「昨日と今日では意味合いが違う。内容は悪くない」と話すように、紙一重の打球はことごとく野手の正面を突いた。ただ、5度目の完封負けで、今季ワーストの15イニング連続無得点。これで今月9勝13敗で、今季初の月間負け越しが決まった。ロード13敗は98年以来12年ぶりの屈辱だ。
「3、4番に決められて、エースに完封された。相手からしたら最高の勝ち方でしょうけど、ウチとしては一番良くないゲームでしたね」と城島。これで先発に7試合連続勝ちがなく、投打の歯車は狂っている。終盤戦での試合と考えれば、いよいよ危険水域まで達したのかもしれない。ただ、首位巨人、中日ともに延長でサヨナラ負け。窮迫した戦いは続くが、まだ流れは失っていない。
「これだけ芯を食ってヒットにならないなら仕方がない。いまは辛抱」と和田コーチ。覇権奪回を誓う猛虎は、前を向いて戦い続けるしかない。打開策は1つだ。城島がバスに乗り込む直前、最後の言葉に力を込めた。
「こういう時こそ自分の持ち場をしっかりするのが大事。野球ってそういうもんでしょう」。その広い背中は、次なる戦いに飢えていた。ヤクルトに勝ち越して、本拠地甲子園に戻ろう‐。いまはただ、チーム一丸で目の前の勝利をつかむだけだ。