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【社会】

文化財Gメンを新設 仏像・経典…盗難増に対応

2010年8月28日 夕刊

 仏像やこま犬など文化財の盗難が急増していることから、文化庁は、防犯策などを専門に担う“文化財盗難Gメン”を新設する方針を固めた。海外流出やインターネットを使った売買も危ぶまれており、警察や教育委員会などと連携した監視態勢づくりなど、本格的な対策に乗り出す。

 文化庁によると、都道府県教委が把握した2007年度の文化財盗難は20件だったが、08年度は40件、09年度は45件に急増した。

 被害品は弥生土器、こま犬、経典とさまざま。最も多いのは仏像で、09年度は被害の9割を占める。国や自治体が保護対象に指定していた文化財は3年間で11件。他は未指定の文化財だった。

 未指定文化財は写真などの資料が少なく、売却しても手掛かりが残りにくい。防犯設備のない無人の寺社にあることが多く、狙われやすい上に発覚も遅れる。文化庁担当者は「仏像などは海外で美術品として人気があり、指定文化財かどうか関係なく、闇ルートで流れる」と危ぶむ。

 文化庁は、総合対策を担うGメン「美術品危機管理対策専門官」を来年度に新設する方針で、警察や消防との情報交換や監視態勢づくりに乗り出す。教委に防犯態勢を指導したり、未指定文化財の資料作りを進めたりするよう、研修も担う。専門官は同庁職員や文化財に詳しい人から起用し、将来は3、4人で構成する考え。

 文化財所有者でつくる「全国国宝重要文化財所有者連盟」(京都市)事務局は「文化財の多くは昔から地域で拝まれてきた仏像や地蔵。未指定の物は所有者の確定や費用がネックになって、盗難対策が難しい。地域が協力し、防犯費負担や見回りをして守ることも必要」と話している。

 

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