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[18080] 【仮面ライダー龍騎×東方Project】東方龍騎録(仮)【習作】
Name: ナミダメ@悠里◆c249c58a ID:2cb33ea7
Date: 2010/05/18 22:49
ドラゴンナイト放送開始&ダブルスポイラー発売記念!!
…うそです。
たまたま以前から考えてたネタがあったので投稿してみます色々と酷いところがあるかもしれませんがよければ見てください。

以下注意事項
●仮面ライダー龍騎は捏造ENDからのスタートです。
●東方Projectは出来るだけ原作設定で行きたいと思ってますが二次創作の影響を受け、間違った知識で書いている可能性があります。
●その他、捏造設定等があります。
●キャラが死亡する描写があります。
●文章が酷い可能性が高いです。
●完全不定期更新です。
以上の注意に忌避感を感じた方は今すぐ戻るかブラウザを閉じてください。



タイトルは(仮)です。(いいのが思い浮かばなかったので…いいのがあれば教えてくださいTдT)
その他ご意見ご感想お待ちしております。



[18080] プロローグ 4/13初投稿
Name: ナミダメ@悠里◆c249c58a ID:2cb33ea7
Date: 2010/04/26 19:26
 ミラーワールド、それは鏡の中の世界。
 全てのモノが反転し、生けるモノの存在しえない世界。
 常人には認識することすら出来ないその世界に彼らはいた。

「はぁぁぁぁ!!」
「てやぁ!!」

 仮面ライダー。
 それはこの世界に誕生した異形のモンスター達と契約し、人以上の力を手に入れた仮面の騎士達。
 彼らはそこで自らの欲望を果たさんとその命をチップに争いあっている。
 その光景を見つめるのは、コートを身に纏った一人の男、神崎士郎であった。
 彼こそがこの戦いの首謀者であり、ライダーシステムを生み出した張本人。
 神崎優衣は20回目の誕生日、今日この日の0時をもってその命を失ってしまう。
 彼はそれを防ぐためにライダーシステムを生み出し、その末に誕生する新たな命を与えることで、妹である彼女を救おうとしていたのだ。
 しかし無常にもその時は訪れる。

「また間に合わなかったか……」

 時計の針が12時を指し示し、日付が変わったことを知らせる鐘の音がミラーワールドに響き渡った。
 それと共に鏡に映った彼女の姿は砂の様に崩れ去っていった。

「構わない、成功するまで何でも繰り返すだけだ」

 彼は俯きうめくように呟き顔を上げると、そこにはいつの間にか現れていた黄金の不死鳥を模った金色の仮面ライダーオーディンの姿があった。
 そして彼は吐き捨てるように命じる。

「やれ、もう一度最初からだ」

 オーディンは一度うなずくと腰のVバックルにつけられていたカードデッキから一枚、時計の絵が描かれたカードを抜き取った。

「う、ぐぁ、があああああああああああああああああああああああああああ」

 しかしそのカードがオーディンの召喚機であるゴルドバイザーに装填されることは無く、地に落ちるとボゥと赤い火を灯し瞬く間に消え去った。
 そして突如悲鳴を上げたオーディンは身を悶えさせながら神崎優衣と同じように消滅した。

「紋章が、消えている……?」

 士郎が拾い上げたカードデッキにはそれまでその表面にあった不死鳥の紋章が消えていることに眉をひそめた。

「モンスターが……」

 すると先ほどまで剣戟を繰り広げていたライダー達にも異変が現れ始めた。
 真っ先に異変に気付いた黒いライダーを皮切りに動揺の声がミラーワールドに木霊する。

「……消えた?」

 やがて全てのライダーから色が抜け落ち、呼び出されていたモンスター達の体は神崎優衣やオーディンのように崩れていった。
 そして力の源を失ったライダー達は1人、また1人と倒れていくがそれを止めることは最早誰にも出来なかった。

「く、まさかもう時間が!?」

 しかし異変はそれだけにとどまらず遂には神崎士郎やミラーワールドそのものが砂と化し始めた。
 その情景を彼には止めることが出来ず、膝を付き、絶望の声を世界に響かせた。

「足りない……新しい命を作るには、幻想が足りないっ!!」
「あら、お困りのようね」

 その時、彼の背後で空間が揺らめき、ゆっくりと裂け始めた隙間からは妖しげな笑みを浮かべる女の姿が見えた…。



To be continue...



[18080] 1話 幻想との契約/約契のと想幻 4/13初投稿
Name: ナミダメ@悠里◆c249c58a ID:2cb33ea7
Date: 2010/05/18 22:30
>>博麗神社<<
 幻想郷を守る博麗結界の内、その要となる博麗神社にて1人の少女がいつもと変わらず人がいない境内の掃除をしていた。
 しかしその顔にはいつものような笑顔は存在していなかった。先日1人の鴉天狗によって配られていた新聞に原因があった。
 博麗の巫女、霊夢は『文々。新聞 特別号外』の文字の隣にでかでかと書かれていた聞いたことの無い単語を思わずといった風に呟く。

「仮面ライダーねぇ……」

 曰く、外界より『仮面ライダー』と呼ばれる人間達が幻想郷に訪れる。
 曰く、彼らは化生の力を借りて戦いあっている。
 曰く、彼らと契約し、最後の一組となった者達にはそれぞれ一つ、願い事が叶えられる。
 曰く、彼らと契約していないものでも彼らを倒したものには褒美が与えられる。
 曰く、彼らに『弾幕ごっこ』ルールは適用されない●●●●●●

 そこに書かれていた内容を思い出した霊夢は胸のうちに暗雲が立ち込めるのを自覚すると共に大きくため息をついた。

「全く、また面倒なことになりそうね……」

 幻想郷の秩序を守る巫女が望むものはその平穏であり、これは明らかに平穏とはかけ離れたものであるからだ。
 そして何より自分がそれに巻き込まれるのは必然となり、ものすごく面倒事に巻き込まれるになるのは運命とも言える。
 あの新聞がいつものガセであればいいのだけれど……、しかしそう呟く彼女の的確な勘は確実にそれが起こると告げていた。

――ドサッ

 霊夢が納屋へ箒を仕舞ってその扉を閉めたちょうどそのとき、境内の方から重い米俵か何かが投げ出されたような音がその耳に届いた。

「痛ぇ、……どこだここ?」
「はぁ、早速厄介ごとがやってきたわね」

 今日何度目かも分からぬため息をつく霊夢の視線の先には、困惑した顔を浮かべたいかにも間抜けそうな顔の男が頭をさすりながら倒れこんでいた。
 霊夢はもう一度ため息をつき直すと、クシャクシャと髪をかき上げながらその男に近づき声をかけた。
 こうなったらもう逃れることは出来ない。

「いらっしゃい、あんたが『仮面ライダー』ね?」
「え、あの……、そうだけど、君は?」

 その顔を見た霊夢は頭の端で面倒くさそうな男ね、と考えながらも彼を歓迎する。

――幻想郷は全てを受け入れるのだから。

「幻想郷を守る素敵な巫女、博麗霊夢よ。
 ちなみに私の素敵なお賽銭箱はあっちよ」
「俺は城戸真司、OREジャーナルで記者をやってる。
 ……な、なんだよ、じろじろ人のこと見て」

 真司は睨むように視線をぶつけてくる霊夢に問いかけた。
 それに半眼のまま霊夢は大きなため息をつく。
 こんな男が本当に『仮面ライダー』なのだろうか。
 戦いどころか虫も殺せぬような顔の真司を今朝から溜まっている鬱憤を晴らすようにさらに睨みつける。

「あんた……本当に『仮面ライダー』?」
「なんだよ急に、ほら、これがその証拠だ」

 カードデッキを突きつける真司に、そもそも仮面ライダーがどんなものかも知らぬ霊夢はますますジト目で睨んだ。
 とりあえず嘘をついてる様子ではない、そもそも彼が嘘をつく理由もないか……と考えた霊夢はひとまず何も知らなそう彼に幻想郷について教えることにした。

「とりあえず、何も知らないようだし説明してあげるわ。
 ここは幻想郷、人々に忘れ去られたモノ達の最後の楽園よ――」



 霊夢が説明を終えた時、神社の傍にあった雑木林からガサガサと何かが這い出る音がした。










>>魔法の森<<

――バタリ

 常人には幻覚作用が働く瘴気が漂う森、人々には魔法の森と呼ばれるそこで1人の男がバイクと共に倒れる。
 全身黒い服に身を包んだ彼は朦朧とする意識の中、一言「恵里……」と呟くと残っていた意識の欠片も手放した。

「お?きのこを取りにに来たら、面白そうなものも見つけたぜ」

 男と同じく、黒い服を身にまとった少女が森の奥から現れた。
 彼女は倒れた男を見つけるとニヤリと口元で弧を描き、その場でゴソゴソと何かを始める。
 そして彼女が去った後には元の森の暗がりのみがそこにあった。










>>博麗神社<<

 ガサガサという音が雑木林から聞こえたかと思うと、そこから大きな塊が飛び出した。

「危ないっ!!」
「おわぁっ!?」

 霊夢は真司を目一杯蹴り飛ばし、自身もその反動を利用し勢い良く飛び退くと彼女達に向けて飛び掛ってきたモノを睨み付ける。
 真司は訳も分からず立ち上がり振り向くと、そこにいた人物に驚いた。

「あ、あんたは!!」
「仕留め損ねましたか」

 そこに立っていたのは、左手の鋏状の召喚機シザースバイザーが特徴的な蟹を模した仮面ライダー、シザースであった。
 シザースはゆっくりと立ち上がると腰のVバックルに備えられていたカードデッキからカードを一枚抜き取る。

「やば!!」

 それを見た真司はあわてて左手のカードデッキを前にかざした。
 するとどこからともなく銀色のベルト、Vバックルが彼の腰に現れた。
 そして彼は左手を腰元に戻し、右手を斜めに突き上げる。

「変身!!」

 叫び声と共にカードデッキをVバックルの中央にある窪みにスライドさせ、はめ込んだ。
 するとVバックルのライトとカードデッキが光を発し、甲高い音が鳴り真司は何本ものスリットが入った仮面を付け、奇妙な鎧に身を包んだ仮面ライダーへと変身した。

 「しゃあっ……ってあれ、何で鏡もないのに変身出来たんだ?」

【Strike Vent】

 シザースがカードをベントインすると、彼のバイザーから抑揚の無い男性の声が響き、それと共に大きな蟹の鋏【シザースピンチ】右手に現れた。
 それを見た真司は慌てた様子で自らもカードを引き、ベントインする。

【Sword Vent】

 真司は空から落ちてきた何の装飾もない剣でシザースの攻撃を防いだ。

――ガキン

 しかしその剣はたったの一撃を防いだだけで剣としての価値を失い、半分に砕けた。

「また折れた!? って何でブランク体に戻ってるんだ!?」

 自分の体を見渡し、先ほどの変身の際の疑問と合わせ真司の理解を超える現象に戸惑う。
 しかし、シザースはその隙を見逃さずもう一度真司に向けてブンッとシザースピンチを振り下ろす。

「この馬鹿っ!!」

 突然の出来事に唖然としていた霊夢もやっと目の前の状況に追いつき、先ほどと同じように真司を蹴り飛ばした。
 すぐに体勢を立て直したシザースは、先ほどから何度も邪魔をしてくる霊夢にイラつきを感じ始めた。

「そういえばあの時、モンスター達が消えたんだっけ、でもそれなら何であいつは元のままなんだ?」

 様々な疑問により混乱していた真司から少しでもシザースの注意をひきつける為、霊夢は懐から取り出した退魔針をシザースに向けて投げつけた。

「君、ライダーバトルに関係ないなら邪魔しないでくれるかな?……ちょうどいい、君にはエサになってもらおう」

 しかしその針を簡単に打ち落としたシザースは、やれやれといった風に肩をすくめカードをベントインする。

【Advent】

「目の前がとって食べれる人類?」
「な、なんだあれ?」

 突如人の背丈ほどもある黒い球体が出現し、徐々にそれが消えていったかとおもうと中から赤いリボンを結んだ金髪の少女が、両手を大きく広げて現れた。
 その人物……いや妖怪を良く知る霊夢はその名を呟く。

「ルーミア、宵闇の妖怪よ」
「よ、妖怪!? あんなちっちゃい子が?」
「失礼な人間ね? 誰がちっちゃいって言うのよ、あんたもしかして鳥目?」
「まぁ妖怪としては低級のちびっ子だけどね」

 しかしカードの効果はそれにとどまらなかった。金髪の少女―ルーミアの背後の地面に突如鏡が現れ、蟹形のミラーモンスター【ボルキャンサー】が現れる。
 そしてもう一度、今度はルーミアだけでなく後ろにいたボルキャンサーも闇に包まれた。
 その闇が晴れたときにはボルキャンサーはいなくなり、ルーミアの姿もそれまでとは大きく変わっていた。

「何よあれ……」
「モンスターと、合体した!?」

 そこに立っていたのは、両腕に鋏をつけシザースと同じオレンジの甲殻で身を包んだルーミア【シザースルーミア】の姿であった。
 シザースルーミアは一度くるりと回転し、わずかに浮かび上がると大きく腕を広げる。

 「『聖者は十字架に磔られました』っていってるように見える?」
 「『人類は十進法を採用しました』って見えるわね」
 「やってしまいなさい、ルーミア」

 ルーミアは軽口をたたきながら霊夢に襲い掛かる。
 それを見た霊夢はニヤリと唇を歪ませると、懐から取り出した御札に霊力を込めて投げつけた。
 今までに何度も倒している相手、いつも道理に一瞬で倒してあげるわ。

――キィン

「効かないっ!?」
「そーなのかー」

 いつもならそれだけで打ち落とせるはずのルーミアを、しかしその装甲によって投げつけた御札は全てはじかれる。
 そしてそのままルーミアの体当たりを受けた霊夢は、大きく境内の端まで吹き飛ばされた。
 めげずにもう一度、今度は顔を中心にその鎧から露出している部分に狙いを付け針を投げつけるが、先程の御札と同じように全て弾き飛ばされる。

「どうやらその鎧、霊力を半減させる上に相当硬いみたいね」
「さぁ? よく分からないけど、妖怪とは少し違う存在になってるみたい」
「なるほどね、くっ!!」

 顔に流れる汗に気付かない振りをしながら、霊夢は飛び上がりルーミアの鋏を避け御札を投げつける。
 しかし妖怪とミラーモンスターの融合体であるシザースルーミアに対して、退魔の力が半分しか効かない上に頑丈さだけならモンスターの中でも上位に位置するボルキャンサーの装甲によって、一見何の盾も無い様に見える部分まで強化されている彼女にその攻撃は届かない。

「くっ、やっぱりこうなるのね……真司っ!!」

 自らの絶対的不利を悟った霊夢は、半分に折れたライドセイバーを使い必死にシザースの猛攻を避け続けていた真司に呼びかけた。
 真司はその声を聞くと、大きくシザースとの距離をとって霊夢と背中を合わせる。
 そして霊夢は彼に自らの案を伝えた。

「私と契約しなさい」
「分かった……って、えぇぇ!?」

 今のままでは絶対に勝てない。
 シザースとルーミアの攻撃をかわしながら驚愕の声を上げる。
 対して霊夢は冷静な様子で説明を続けた。

「このままじゃ私もあんたもお陀仏よ、私はまだ幽々子の世話になる訳にはいかないのよ!」
「で、でも、霊夢ちゃんはまだ子供だし、こんな危険なことに――」

 大きな振り払いを受け二人とも吹き飛ばされ、神社の鳥居にたたきつけられる。
 痛みにうめく真司をよそに霊夢は勢い良く立ち上がると、その頭を蹴り飛ばした。
 そして真司を掴みドスの効いた声で真司を睨み付けた。

 「いいから、早く契約しなさいって言ってるのよ、分かった?」
 「は、はいぃぃぃぃ」

 その様子にすっかり怯えきった真司は、言われるがままに契約のカードを引き抜くと霊夢に向けてかざした。
 そしてそのカードが辺りを埋め尽くす程の光を放つ。
 光が消え去るとカードは霊夢が真紅の龍を従えるような絵柄に変わり、そこには赤い龍を模した仮面ライダー龍騎と、


「これは……?」
「れ、霊夢ちゃん、その格好!」

 龍騎の紋章を象ったリングを額に着け龍の鎧に身を包んだ、龍騎の契約モンスター『無双龍ドラグレッダー』と博麗霊夢の融合体【ドラグレイム】の姿があった。
 またそれだけでなく龍騎の姿も本来のそれとは違ってカードデッキには紋章の上部が広がり陰陽対極図が描かれ、左腕に着けられたドラグレッダーの頭部を模したガントレット型バイザー、【龍召機甲ドラグバイザー】にも対極図がはめ込まれていた。

「契約する前に消してしまおうと思っていたのですが……まぁ、いいでしょう。
 はぁっ!」

【Sword Vent】

――ガキン

 振り下ろされたシザースピンチを龍騎のソードベント、ドラグセイバーで受け止める。
 同じように両腕をクロスさせルーミアの体当たりを受け止めた霊夢はそのままの勢いでルーミアを蹴り返し、御札に霊力を込めて投げつけた。
 御札は霊夢の霊力とドラグレッダーの炎を宿し、ルーミアに降りかかった。

 「きゃぁ!!」
 「よしっ、今度のは効いてるわね」

 確かな手ごたえを感じた霊夢は、ルーミアをシザースに向け蹴り飛ばすと龍騎の傍に降り立った。
 そして龍騎はそれに応じてカードを引き、ドラグバイザーの上部をスライドさせカードを装填する。
 ドラグバイザーを元に戻すとそれに伴い描かれた対極図が回転し、目の部分が光り声が響いた。

【Final Vent】

 ゆっくりと龍騎の背後から霊夢が浮かび上がる。
 龍騎は両手を前に突き出し、大きく左から右に回し膝を曲げ力を溜める。

「くっ、まずい!!」

【Guard Vent】

 その様子を見たシザースは、ルーミアに自らのガードベント【シェルディフェンス】を渡し、自分の前に立たせた。
 龍騎は勢い良く飛び上がると、空中で体をひねりシザースへその足を向けた。

【霊符「夢想封印」】

 そして霊夢の霊力弾をその身に受け、青赤二色の陰陽玉をまとった蹴りを放った。
 それを受け止めたシザース達の周りの煙が消え去ったあとには、大きな窪みを残して誰もいなくなっていた。

 「逃げられたわね」

 霊夢が呟くと真司の変身が解け、霊夢自身も元の姿に戻っていた。










>>雑木林<<

「はぁ、はぁ、はぁ……」
「いてててて」

 博麗神社より少し離れた雑木林の中、体の痛みを抑えながら一組の人間と妖怪が座り込んでいた。
 それは龍騎のファイナルベントをその硬い装甲で何とか防ぎきったルーミアと仮面ライダーシザースこと須藤雅史である。
 彼は金色の蟹を円で囲んだ紋章が描かれたシザースのカードデッキを握り締め、幻想郷初にして過去最悪の戦いに悪態をつく。

「くそっ、よりにもよって博麗の巫女と契約するとはっ……。
 城戸真司……彼は何としても倒さなければ」

 外界において殺人を行っていた彼は、その事を知る者を例外なくライダーの力で殺していた。
 しかし、須藤は彼と同じ真司ともう1人のライダーを殺すことが出来なかった。
 せっかく願いを叶えても、彼らが生きていては色々と困ったことになる。
 そう考えていた彼は、自身のカードデッキが妖しく光ったことには気づかなかった。



To be continue...







後書き
とりあえず投稿です。
初めてなのでどんな感想が来るかドキドキしてます…。
しかしプロットも次の話ししかまだ決まってないのにこんな見切り発車で大丈夫か…?
とりあえずそれぞれの契約相手はもう決まっているので色々予想してみてください。







◆戦わなければ生き残れない◆



[18080] 2話 這い出でる闇/闇るで出い這 4/18初投稿
Name: ナミダメ@悠里◆c249c58a ID:2cb33ea7
Date: 2010/05/18 22:31
注意文に変更を加えました。
まぁ龍騎を知ってる人なら分かってると思いますが、人が死ぬ表現があります。
それでわどうぞ

4/19 追記:途中からアドベント音声が消えていました。。。ご迷惑をおかけします。(修正済





>>雑木林<<

 幻想郷の何処か、草木も眠る丑三つ時に1人の男が必死の形相で足場の悪い草の上を走っていた。
 彼は仮面ライダーの1人として幻想郷に招かれた須藤雅史である。
 そしてその後を追いかける影。

「ひぃ、ひぃ、ひぃ」
「待ちなさ~い」

 彼は背後に浮かぶ闇の塊とも言うべき球体から逃げ惑っていたのだ。
 雅史は元の世界では曲がりなりにも警官という仕事をしており、その体力は常人と比べても多いと言える。
 しかし、得体の知れないモノに追われるという恐怖感と、ただでさえ足場が悪いのに加えて丸一日水すらまともに飲んでいないという状況の彼にとってそれは何の救いにもならない。

――ドサッ

 遂に彼は仰向けに倒れこみ、それでも最後の悪あがきだと後ろに這いずるがそれさえもすぐにそびえ立つ木に行く手を阻まれてしまう。

「観念しなさい」
「く、何か武器はないのか!」

 それでも彼は諦めず、現状を打破する為のアイテムを探し出す。
 そしてズボンのポケットに入れた手に硬いものに触れた。
 ゆっくりと引き出した彼の手に握られていたのは黒く何も描かれていないカードデッキ。
 そしてハッと、何かに気付いた彼はそのまま一枚のカードを引き抜く。

「俺と契約しろ!!」

 そして疲労と緊張が頂点に達した彼の意識は、彼のカードがまばゆい光を放つ光景を最後に途絶えた。









 次に雅史が目を覚ました時、真っ先に目に入ったのは生い茂った木々の隙間からかろうじて漏れる日の光。

「目、覚めた?」
「ん……?うわぁっ!?」

 不意に聞こえてきた方向に顔を向けると、そこにあったのは彼に触れかねないほど近くにまで接近していた昨夜の闇の塊である。
 驚きから慌てて飛び起きた彼を前にその闇は色を薄くしていき、完全にそれが消えた時には金髪に黒い服を着た少女が膝を抱えて木にもたれ掛かっていた。
 そしてその少女が立ち上がりスカートを掃うと須藤に不満そうな声をかけた。

「自分から契約なんてしたくせにその反応は何よ」
「契……約……?」

 彼が足元に目を向けるとそこには昨日まで何の絵柄もなく、CONTRACTという文字のみ描かれていた筈のカードに彼の契約モンスターであったボルキャンサーと両手を広げた目の前の少女が、うっすらと闇をまとっている様子が描かれている。
 慌ててカードを拾い上げると、目の前の少女に信じられらいといった様子で問いかけた。

「君は……人間では無い?」
「そうよ、私は宵闇の妖怪ルーミア」

 ルーミアと名乗った少女は自らの存在を証明するため、再び闇を纏うと空高く舞い上がり大きく円を描くと再び須藤の前に闇を消しつつ降り立った。
 彼女を妖怪であると認めた雅史は、ルーミアを引き連れ幻想郷の要である博麗神社へと足を向ける。

「あそこなら1人位はあなたの言う仮面ライダーってのがいるかも知れないわね」
「こんな短期間で契約者を見つけたライダーは少ない筈だ」
「そーなのかー、まぁ私は人を食べられればいいよ」

 そして彼らは博麗神社へ――。










>>魔法の森<<

「まさか、博麗の巫女と契約するとは……ルーミア、博麗の巫女は常に中立の筈ではなかったのですか!?」
「知らないわよ、私だってこんなこと初めてなんだし」

 作戦通りに未だ契約者のいなかった龍騎に襲い掛かった須藤は予想外の結果に行き場の無い怒りを自らの契約者、ルーミアにぶつける。
 しかし彼女は気にすることなく気軽に返す……ように見えて彼女自身、途中までいつも辛酸を舐めさせられていたあの巫女に復讐できると思っていたチャンスをふいにされたのだ。
 その怒りから魔法の森に漂う瘴気から唯の人間である須藤を守るために発生させている闇を消してしまおうかと考える。
 だがちょうどその時、須藤が足を止めた。
 彼が目を向けた先にいる相手に気付いたルーミアは血が滴ったように赤い口を三日月の様に歪めた。

「アレは秋山蓮!」
「ライダーね?フフフ」

 彼は左手に掴んだカードデッキを前にかざし、Vバックルを出現させる。
 握った右手を左肩につけ、親指と閉じたままの人差し指と中指を伸ばすと、左手と入れ替えるように前に突き出し叫んだ。

「変身!」

 そしてすぐさま円に包まれた蟹の紋章が描かれたカードを引き抜き、シザースバイザーにベントインする。

【Final Vent】









>>魔法の森・霧雨亭<<

 秋山蓮が目を覚ますとそこは見知らぬ部屋の中。

「知らない天井だ……」

 呟く蓮が部屋を見渡すと、本や衣服が乱雑に散らばっていた。
 起き上がった彼は現状を認識しようとすると共に、とりあえず落ちていた本を取り上げる。



 しばらくすると、部屋にあった唯一の扉が開き、一人の人物が姿を現した。
 部屋に入ってきた彼女は、すっかり変わった部屋の様子に思わず呆れ声を出してしまう。

「目が覚めたか、仮面ライダー……って何やってんだお前?」
「誰だお前は?」
「はぁ……仮面ライダーってのは皆あんた見たいな変わり者ばっかなのか?」

 部屋に入ってきた人物、室内だというのにつばの大きな帽子をかぶり黒い服の上からエプロンのようなものを着た、まるで御伽噺に出てくる魔女のような格好をした少女が呆れ顔を浮かべる。
 その様子を彼は全く意に返さず黙々と手を動かす。

「私の名前は霧雨魔理沙、普通の魔法使いだぜ。
 で、あんたは人の部屋で一体何をしてるんだ?」
「見て分からないのか、あまりに部屋が汚いから片付けてるんだ。
 自分が寝ていた場所がここまで汚いのは耐えられん」
「そうか……中には危険なものもあるんだから気をつけろよ」

 部屋の中には少女、魔理沙の趣味で集められた数々のマジックアイテムやとある場所から借り受けた魔導書の類が大量に置いてある。
 中には彼女の言うように危険で、厳重な取り扱いをしなければならないものも多々存在していた。
 しかしそんなものを乱雑に置いておけるのは呆けたような顔を見せる彼女がその扱いに長けているのか、それとも単にずぼらなだけなのか。

「知らん、これで最後だ」
「ちょ、ちょ、ちょ、そ、それはダメだぜ!!」

 蓮が最後だといって掴みあげたものを見た魔理沙は、慌てた様子で蓮に飛び掛る。
 彼が掴んでいたのは、白い布の袋に三つの穴を開けたような形状のもの……所謂ドロワーズが握られていた。
 それを彼からそれを奪い取った彼女の顔は良く熟れたりんごのように真っ赤に染まっていた。
 その様子を見た蓮はフンと鼻で笑い、

「確かに、危険なものがあったみたいだな」
「うるさい!!」

 魔理沙はガサゴソとドロワーズを仕舞いながら感情を落ち着ける。
 しかし蓮はそれに足を止めるでもなく、彼女が入ってきた扉から外に出ようとしていた。
 それに気付いた魔理沙は慌てて呼び止める。

「ちょ、どこ行くんだよ!?」
「腹が減った、食い物はないのか?」
「ああもう!私が持ってくるからあんたはそこでじっとしておいてくれ!」

 魔理沙はこれ以上振り回されてはたまらない、と半分やけになって叫んだ。
 ガタガタと慌しく出て行った彼女に、蓮は「喧しい奴だ」と呟き先ほどまで使っていたベットへ腰掛ける。
 すると既に用意していたのか、すぐに彼女は握り飯の乗った皿を右手に、左手はコップ、口には薬缶と何とも器用に食事を運んできた。

「意外だな……洋食か、或いは紫色のスープでも出てくるかと思っていたが」
「何だよ紫のスープって、それに私は和食派だ。
 自慢じゃないが、私は生まれてこの方パンは13枚しか食ったことが無い。」
「本当に自慢じゃないな」

 蓮の減らず口に彼女はムッとし、いらないなら食うなとテーブルに飾り付けた皿を取り上げようとするが、彼の手はそれよりも速く乗っていた握り飯を掴み取っていた。

「いらないとは言っていない」

 彼はそれを食べ始めるといかにも意外だと言いたげな表情でうまいなと言い、ものの数分で全て平らげた。
 その様子を見た魔理沙は食器を片付け、やっとかと彼に話しかけた。

「改めて自己紹介するぜ?
 私はこの森に住む魔法使い、霧雨魔理沙だ。
 あんたは『仮面ライダー』……で間違いないよな?」
「さぁな、何故お前に教えないとならん。」
「命の恩人に対してそのセリフはないだろ?」

 彼女はフフンと腕を組んで、その胸を突き出す。
 しかし蓮はお返しだという風に部屋を掃除してやっただろうと言い返す。
 それを聞いた魔理沙はさらにその笑みを深め、スカートのポケットから丸い水晶玉を中央に、それを覆うかの様に純銀製蝙蝠の翼がつけられた小さなペンダントを取り出した。

「この家の外は森のキノコが出す瘴気でいっぱいだ。
 何の加護も無く外に出れば昨日の二の舞になるぜ?
 それに……だ、ここに生きのいい契約者候補がいるんだぜ?」
「何?」

 そして話し合いの末、彼女は連の契約者となった。
 彼は呆れて声も出ず、これから先のことを憂いたがどこぞの鬼が笑い出す前にその考えを振り払った。

「よろしくな!ってそういや名前、まだ聞いてなかったな」
「秋山蓮だ。」

 魔理沙のにししといういたずらっ子のような笑いに釣られ、思わず苦笑する蓮は悪くない契約だったかもしれないと思い直す。

「そうだな、仮面ライダーになんてなるのは変わり者ばっかりだ」

 その唐突なセリフに彼女はポカンと口を開けたが、それが今朝の自分の質問に対する答えだと気付くと、さらに口を大きく開けた。
 そして魔法の森の一角に、大きな笑い声が響き渡った。










>>魔法の森<<

 魔理沙とこれからのことを話し合い昼食を取った後、早速魔法の森の探索を始めた蓮の首元には二つのペンダントが掛っていた。

「しかしこんなに早く契約者が見つかるとは……その点だけは感謝するべきか」

 そう呟き、しかしその直後、はっとした様子で元から掛っていたほうのペンダントを握り締めた蓮の目に、ある人影が映る。
 そしてその直後に聞こえた声から相手の正体を理解した。

「変身!」
「ライダーか!?」

 彼は後ろのポケットからカードデッキ、蝙蝠の紋章を中心に同色の星で彩られたそれを左手に持ち突き出す。
 腰にVバックルが出現したことを確認した蓮は左手を腰元に引き付けながら、肘を曲げた右腕を肩をひねるようにして左肩へとつけ叫んだ。

「変身!」

 彼がカードデッキを腰に現れたVバックルに装着すると、甲高い音と共に彼の姿が変化する。
 騎士のような仮面を着け蝙蝠が模られ刀身に流星が描かれた剣型のバイザー【翼召剣ダークバイザー】を持った仮面ライダー、ナイトがそこにいた。
 相手がカードをベントインする姿を確認した蓮は、そのカードに驚きながらも自らのカードを引き抜くと、

【Final Vent】

 ダークバイザーの後部を引き、翼を展開させるとそこにカードを装填する。
 そして先ほど引いた後部を元に戻すと、バイザーから感情のない男の声が響いた。

【Guard Vent】

 人影、仮面ライダーシザースはその場で飛び上がるとシザースルーミアが発生させた闇へと飛び込んだ。
 そのまま彼はルーミアの鋏に足を乗せると、彼女は大きく腕を振り上げその反動でシザースは闇から飛び出し、高速回転しながらナイトに飛び掛った。
 ナイトは背中に現れたマント【ウィングウォール】を翻して体を覆い、次に来るその衝撃に備える。

「やったか……?」

【Sword Vent】

 シザースが己の必殺技【シザースアタック】による土煙を振り払うと自分のものではないバイザーの音声を耳にした。
 そして大きな剣、斬撃よりも刺突や打撃に適した槍のような大剣【ウィングランサー】で煙を切り裂きながらナイトが飛び出してきた。

「やぁあああ」
「何!?」

 そして叩きつけるように振り下ろされたウィングランサーをシザースバイザーで受けるも、とっさのことに衝撃を殺しきれず吹き飛ばされたシザースはナイトの追撃を避けながらカードをベントインする。

【Strike Vent】

「既に契約していたとは驚きましたよ」
「お前もな」

 現れたシザースピンチでナイトの剣を弾き飛ばすと、そのまま引き返すようにしてナイト自身をも吹き飛ばす。
 そしてナイトの背後に立つと、その首に腕を回しそのままへし折ってやると力を込めた。
 ナイトはビクともしない腕に見切りをつけ、震える手でカードをベントインする。

【Nasty Vent】

 すると箒に乗った魔理沙が現れ、手に持っていた瓶をシザースに投げつける。
 シザースにぶつかって割れた瓶から爆音が鳴り響く。
 威力はほぼゼロといっていいそれを食らったシザースは思わずといった風に手を離した。

「お、何だ? いきなりバトルか」
「そういうことだ、行くぞ魔理沙!」
「おうよ」

 ナイトはシザースから距離をとると、星と蝙蝠の紋章が描かれたカードをベントインした。

【Final Vent】

 魔理沙の背後にナイトの契約モンスター、闇の翼ダークウィングが現れその翼で魔理沙を包み込む。
 そして激しい光を発した後、そこには魔理沙でもダークウィングでもなく、魔女服に蝙蝠の翼を携え、右目を黒い布で覆った融合体【ダークマリサ】の姿があった。
 そしてピンと帽子のつばを弾くと、

「行くぜ?」

 小さな蝙蝠の羽根が先端に生えた箒に乗り、空高く飛び上がった。
 それに合わせてナイトが飛び上がると、背中のマントが剣を抱え込んだ彼を槍のように包み込んだ。
 魔理沙は彼女がミニ八卦炉と呼ぶマジックアイテムをナイトに向け、叫ぶ。

【恋符「マスタースパーク」】

 膨大な光が濁流となってナイトに降りかかり、それに押されたナイトはその身を削岩機の様に回転させながらシザースへ飛び込んだ。
 その様子を見たシザースは慌ててカードを引くが、

「な、何ですかこのカードは!?」

 それは絵柄どころか文字も何も書かれていない、唯々真っ黒なだけのカード。
 彼は慌てて別のカードを引き抜こうとするが、それでは間に合わない。
 シザースは彼の目の前にまで迫ったナイトにシザースピンチを構え防御の体勢をとった。
 そしてナイトのファイナルベント、飛翔斬がシザースに突き刺さる。

「がぁああああああああああああ」

 魔法の森に爆音が轟いた。

「蓮、奴は?」
「ああ、どうやら逃げられたみたいだな」
「ったく、運のいい奴だぜ」

 煙が晴れ、クレーターが出来たそこからは、既にシザースの姿は消えていた。
 蓮は変身を解くと緊張からか安堵からか、ため息をつくと契約者の待つ穴の端へと向かった。










>>魔法の森の何処か<<

 そこには龍騎、ナイトと連敗を果たした満身創痍のシザースの姿があった。
 命からがら逃げ出したものの、その体はもうボロボロ、まさに満身創痍。

「はぁはぁ、ま、またしても……」

 かろうじて生き残っていたシザースだったが、彼の悪運はここで尽きる。
 いや、よくここまで持ったというべきか。
 彼のVバックルに装着されていたカードデッキにひびが入り始めたのだ。

「あ、あぁ、ああああああああああああ」

 いくら防いだといっても龍騎、そしてナイトのファイナルベントを受けた彼のカードデッキはもはや限界に達していた。
 そして砕け散ったカードデッキを見たシザーズは呆然と後ろに下がる。
 するとカツンと硬いものに当たる感触と共に、己の血が凍り固まるのを感じた。

「あ、ああ、あああ、やめろ、やめろおおおおおおおお」
「これでやっと食べれるわ。
 結局1人も倒せないし、あなたなんかと組んだのが間違いだったわね。」

 組んだも何も強制的に契約させられただけなのだが、既にルーミアの興味はそこではなく目の前のエサへと注がれていた。
 シザースはただでやられてたまるかと左手のシザースバイザーで殴りかかる。
 しかし既に契約も切れ、何の力も無くなった彼の攻撃はルーミアにとって赤子のそれ同然であった。
 そして絶望の淵に立たされた彼は、右手に持っていたカードに気付く。

「そ、そうだ、このカード!」

 彼は左手をつかまれたまま、そのカードをベントインした。

【ガガDガrガガピーガがenピー】

 しかしバイザーは壊れた電子音を鳴らすだけで、一切何も起きなかった。
 そのまま彼は泣き叫びながらルーミアの腹へ収まっていった。

「少し物足りないけど、まぁまぁね」

 ペロリと口元を嘗め回し、満足げな表情のルーミアは既に元の姿に戻っている。
 しかし、その髪に強固に結ばれていたリボンがスルスルと音もなく解かれた。

「ん?え、あ、ああ、■■■■■■■■■■■■■■■」

 すると彼女は突如声にならない悲鳴を上げ始めたかと思うと、ガバッと体を痛めかねないほどの速度でうずくまった。
 その背中には黒い線が広がり始め、中から此の世全てのものが恐怖する原初の闇が立ち昇る。
 森がざわりと鳴った。
 あたりに生息していた生物達は恐れをなし逃げ出して、低級な妖怪たちはその核たる精神を砕かれ消滅、一帯は静寂に包まれた。
 そしてズルズルとルーミアの内より這い出たそれは、やがて人の形となるとその2本の足で立ち上がり、その場を後にした。

 「あ、あ、あ、あ、あ」

 わずかに痙攣していたルーミアはやがて眠るように気を失った。
 暮れ始めた日の光が差し込まぬ森の中で、既に眠りへと変わっていたルーミアの髪にはいつの間にかリボンが元道理に結ばれていた。










―――シザース・契約が破れたため、自らの契約者に食われ、死亡。
―――ルーミア・自らの契約者を食った後の記憶と共にライダーバトルへの興味を失い、退場。


To be continue...







▽後書き▽
蟹刑事の口調が分からない
だが蟹刑事は早速退場したのでもう悩むことは無い!!(酷い…
最後に展開意識して伏線を張ったんですが…こんなんでいいのかな。。。
この後はプロットないのでどうなるかまだ分かりませんが、終わり方や一部のストーリーは決まっているのでそれを繋げるように書いていきます。

▽コメ返▽
ながもん◆1ec0487b様
早速のコメントありがとうございます!!
>蟹刑事今度はルーミアに喰われるのか…
な ぜ ば れ た し
まぁ分かりますよねwwww
蟹刑事は龍騎に契約させるために出して、すぐに退場してもらうっていうのがあったのと契約モンスターに食われるって言う原作通りの終わりにしたかったのでルーミアと契約させましたwwww
シザースファンの方々にはすみません…
他のキャラはこんなにいきなり死んだりって言うのはないと思うので安心して下しあ。




これからも感想・誤字脱字報告等お待ちしてますのでよろしくお願いします。






◆戦わなければ生き残れない◆



[18080] 3話 里の守護者/者護守の里 5/18初投稿
Name: ナミダメ@悠里◆c249c58a ID:5b13c308
Date: 2010/05/18 22:48
>>博麗神社<<

「さてと、じゃあまずあんたには居間の掃除から始めて貰おうかしら?」
「……へ?」

 真司の間の抜けた声が響いたのは龍騎が霊夢と契約し、シザースを撃退した直後の境内。
 訳が分からないといった顔の彼に、霊夢は呆れた顔を向ける。

「契約したんだから一緒に住むんでしょ?
 それとも何、行くアテでもあったの?」
「な、ないけど……」
「じゃあ決まりね。ただで泊まらせる気もないから」

 霊夢はさぁてこの際だからボロ雑巾みたいになるまで扱き使ってやるわ、と心の声を一切表に出さずに身を翻し神社へ向かう。
 神社に住まうことになった真司は霊夢のその怪しげな笑みに気付かず、その背中を追った。
 その時、

――ガサリ

「……?」

 急に立ち止まった霊夢に真司は訝しげな表情を浮かべた。

「どうかしたの、霊夢ちゃん?」
「今ちょっと……いえ、なんでもないわ行きましょう」

 霊夢はもう一度だけ振り返ると、そそくさと神社の裏にある母屋へと足を向けた。
 置き去りにされてはたまらない真司はあわててそれを追いかける。
 彼女が目を向けた先の草陰がもう一度だけガサリとなった……。







 怪しい人影が一人の少女を抱えて走っていた。

「まさか博麗の巫女がライダーと契約するとは……。
 しかもその相手はあの城戸真司、これは少し厄介だな」

 口を押さえつけられた少女はむーむーと声を篭らせていたが、男は一向にそれに取り合わない。
 彼は走りながらも先ほど神社で見た光景、そしてこれからの事に頭を回転させその計画を組み立てる。

「俺一人では難しいか、ならば……」

 その姿は生い茂る森の中へと消えていった。







>>博麗神社・居間<<

「そこ、埃残ってる」
「はい!」

>>博麗神社・台所<<

「ほら、まだこんなに汚れてるでしょ」
「ただいま!」

>>博麗神社・風呂<<

「もっと腰を落として」
「分かりましたぁ!」

>>博麗神社・納屋<<

「それはそっち、ああやっぱりこっちで」
「どっちだよ!っておわっ!?」

>>博麗神社・境内<<

「力入れすぎ、もっと撫でるように掃いて」
「こ、こう?」







>>博麗神社・居間<<

「はぁ、疲れた……」

 霊夢の思惑道理、まさにボロ雑巾のごとくちゃぶ台に突っ伏していた真司の前にコトリと湯飲みが置かれた。
 日が暮れるまで続いた大掃除に喉が渇ききっていた真司は、まだ目に見えて湯気が立ち上るそれを一気に煽っていく。

「っ~~~~、熱っ!?」
「それがいいんじゃない」

 息を吹きかけて熱々のお茶を冷ます真司を尻目に、霊夢はズズズとお茶を飲む。
 一息ついた霊夢は未だにお茶と格闘を続ける彼に声をかけた。

「それで、これからどうするつもり?」
「フゥーフゥー……ズズズゥ、どうするって……何が?」
「何がじゃないわよ、あんたの目的とか行動指針とかそんなのよ」

 怪訝そうに問いかける真司に対し、呆れた声を上げた。
 それなんだよなぁ…、と真司は腕を組んで唸る。

「元々俺はライダーの戦いを止める為にライダーになったんだ。」
「戦いを止める? 何で?」
「人が死ぬんだ、当たり前だろ!」
「死ぬ……? ちょっと待ってライダーバトルって殺し合いなの!?」

 思いもよらない言葉に驚愕の表情を浮かべる霊夢。

「聞いてないわよ!?私はてっきり弾幕ごっこみたいなものだと……」
「ちょ、落ち着いて霊夢ちゃん、首!首絞まってる!!」

 急に胸倉を掴まれた真司の顔は徐々に赤く、やがて青へと変化していく。
 それを見た霊夢はその手をしぶしぶ放した。
 そして部屋の隅に置かれていた文々。新聞に手を伸ばした。

(ということは弾幕ごっこが適用されない"彼ら"って言うのには私みたいな契約者にも当てはまるってこと?)

 新聞には書かれていなかったが、こんなことをしてあいつが見逃してるはずがない。
 ということは恐らく彼女自身が今回の首謀者。
 恐らく、仮面ライダーと戦う妖怪や契約者の命すら保障されていないのだろう。

(ルーミアが殺す気でかかって来てたのはいつものことだし、ライダーが妖怪に殺されるのは外来人だから仕方がないとしても……。
 まったく、紫の奴いったい何を企んでいるのかしら)

 急に難しい顔をして黙り込んだ霊夢に真司は心配そうな声をかけた。

「霊夢ちゃん、危ないからやっぱり――」
「危ないからこそ私が戦わなくちゃいけないんでしょ!」

 声を荒げる霊夢に戦々恐々の真司は何とか彼女を諌めながら話し合いを続けた。
 こうして彼らの夜は更けていった。







>>森<<

 ――ダンッダンッ

 人里近くの森に銃声が響き、驚いた鳥達が一斉に飛び立つ。森の中では一つの人影が銃を片手に立ち竦んでいた。
 その時、木の枝がガサリと音を立てる。
 彼は銃を向けダダンと打ち放つ。

 キキキキキ
 ウケケケケ

 奇妙な生物の笑い声が辺り一帯に響く。
 彼は焦りを仮面のうちに隠しながら、僅かにでも音が聞こえた方角へ手に持つ銃を撃ちつける。
 しかしそれは周りの木や地面に小さな影を生み出すのみで、一向に彼が望む結果は得られない。
 徐々に疲れと極度の緊張から、銃を握る右手の力が弱まっていく。
 そして木の根に躓き尻餅をついたとき彼は背筋に氷の塊が差し込まれたように感じた。

 キキッ

 闇の中から人間のそれとは似ても似つかぬ醜悪な獣が飛び出した。

 ギギャー

 しかしその鋭い爪が彼に突き刺さることはなかった。
 彼の背後から打ち出された弾幕によって妖怪は吹き飛ばされ、追い討ちとばかりに雨の様に弾幕が降り注いだ。

「ふん。
 こんな里の近くまで妖怪が来るようになるなんて。
 今まで、滅多に来る事は無かったんだがな」

 気が付くと彼は既に森から脱出しており、彼の体は人里へとつながる街道に投げ出されていた。
 そして彼の瞳に、月の光を浴びて輝く、その凛々しくも可憐な後姿が映った。







>>人里<<

 明るい人々が行き交う朝の人里。
 彼らの笑みは古きよき日本を思い出させる。
 そこに一人の女性がいた。
 無邪気な子供たちに囲まれ、困ったような、けれどどこか楽しげな表情を浮かべる長髪の女性。
 彼女の名は上白沢慧音。
 人里の中で彼女を知らぬものは居らず、また里の皆からも信頼されていた。
 そんな彼女の前に時代めいた服装の人々の中では目立つ、スーツ姿の男が現れた。

「おはようございます、慧音さん」
「おはよう、もう起きたのか」
「ええ、おかげさまで」

 いかにも気障な風体を見せる彼はさわやかな微笑みを見せた。
 彼は北岡秀一、幻想郷に招かれた仮面ライダーの一人、ゾルダであった。
 昨夜、妖怪に襲われていたところを慧音に助けられ、保護されていたのだ。

「これからお仕事でも?」
「ああ、これから寺子屋の授業があってな」
「寺子屋?ああ、学校のことですか、それでこんなに子供が」

 見慣れぬ相手に警戒してか、慧音の後ろに隠れる子供たちに苦笑を浮かべる秀一。
 そんな彼によければ見ていかないか?と声をかけた。

「いいんですか?」
「ああ、よければ外の人間の感想も聞きたい」

 子供嫌いの秀一であったが慧音の言葉には二つ返事で了承した。








>>人里・寺子屋<<

「でわ、昨日出した宿題を集めるぞ」
「「「はーい」」」

 寺子屋の中では里の子供たちが元気な声を上げていた。
 その様子を秀一が窓の外から見ている。
 すると慧音の教師姿に感心したようにうなずく彼に、ふいに背後から声がかけられた。。

「そこのにいさん」
「ん? 何ですかお婆ちゃん」
「あんた、先生に惚れてるなら諦めた方がええよ」
「どういうことですか?」
「先生に惚れた奴は大抵ここで先生を見とるからの、わしの家からよく見える」

 単に慧音自身に誘われ、中に入っては邪魔になるだろうという考えと、子供嫌いという理由で外から覗いていた秀一だったが、老婆の言葉に悲しみの感情が宿っていることに気づいた。
 その老婆はどこか寂しそうな顔をして慧音の横顔を見つめている。
 しばらく沈黙を保ったかと思うと、ポツリポツリとつぶやく様に老婆は語り始めた。

「先生はな、ああ見えて妖怪でのぉ」
「まさかそれで迫害を?」

 彼が問いかけると、老婆は悲しげに目を瞑り首を横に振った。

「いや、むしろ先生を妖怪と知っても告白する男も多かった。
 しかし妖怪と人間とでは寿命が違う。
 わしとしても、先生にはいい人と結ばれてほしいとは思ったことはあるんじゃがの」

 妖怪と人では圧倒的なまでにその寿命に開きがある。
 それはもし彼女と結ばれた人間がいても、その人間が死んだあと長い間を孤独に生きていくということに他ならない。
 人を愛する妖怪ゆえの宿命が彼女の幸せを妨げていた。
 本人もそれは理解しているようで、もはや人間に親愛以上の感情を抱くことは無くなっていた。

「無理をして死んでいった者もおる。
 悪いことは言わん、今の内に諦めた方がええ」

 その言葉を最後に、老婆は悲しげな笑みを見せ立ち去って行った。
 秀一は言葉を紡げず、けれど何処か決意を秘めた目を慧音に向けた。
 宿題を忘れた生徒に頭突きをした後、慧音は次は忘れるなよと呆れたように苦笑している。
 慈しむように生徒達を見渡す姿がそこにあった。







>>人里<<

「いやぁ~慧音さんみたいな美人にお食事に誘われるとは光栄ですね」

 慧音と秀一は人里の食堂で共に食事を取っていた。
 自然と共に生きる人里ならではの料理が彼らの前に並ぶ。

「それでは頂こうか」

 そういうと慧音は黙々と料理を食べ始めた。
 秀一はチラチラと何かを話しかけるタイミングを探していたが、慧音の食事姿に結局そのまま全ての料理を食べ終わってしまう。
 慧音がお茶を飲み一息ついたところで、ようやく話を切り出した。

「慧音さん、お話があります」
「む? 何だ?」
「単刀直入に言わせてもらいます、俺と契約してくれませんか?」
「……契約?」

 箸を置くと、秀一はライダーバトルの概要を説明し始めた。
 慧音も目を閉じ静かにその話を聞いていたが、ゆっくりと彼の目を見据え、

「悪いが、私には命を賭してまで人に叶えてもらいたい願いも無いし、そんな価値のある願いなんてこの世には無い。」
「どうしてですか? どんな願いでも叶うんですよ?」

 どんな願いでも叶うなら慧音がかつて諦めた幸福すら手に入る。
 それを僅かな迷いも無く切り捨てる彼女に秀一は眉をひそめた。

「どんな願いでも叶うなんていう馬鹿げた話はありえないだろう。
 それにもしありえたとしても、他人の力に縋るなど、ましてそんなものに命を懸けるなど言語道断だ
 お前も早々に身を引居た方がいい」

 慧音の強い意志にはどんなことがあってもそれが覆されることは無いであろうことが明確に理解させられる。
 けれど、秀一はゆっくりと立ち上がり言葉を紡ぐ。

「慧音さんが協力してくださる気が無いのは分かりました。
 けど、俺は戦いをやめる訳にはいきません」

 そのお心遣いはうれしいですが、と続ける彼の眼にも彼女と同じ様に強い意思の光が宿っていた。
 お互いに譲れぬものを言外にぶつけ合う。
 沈黙を保つ二人の間に突然騒がしく一人の男が入ってきた。

「せ、先生大変だ!! 稗田の所の娘さんが!!」
「なんだ、阿求がどうかしたのか?」







>>人里のはずれ<<

 人里を少し離れた場所に一人の少女が居た。
 ショートヘアーに花の髪飾り、着物姿の少女の名は稗田阿求。
 彼女は幻想郷の人妖や歴史を纏めた書、求聞史紀を書く為によく人里の外に出かけていた。
 この日もいつもと同じように、求聞史紀を書く為に幻想郷を回っていたのだ。
 しかし、今日はいつもと違った。
 今日は普段から妖怪が見られることもなく、妖精が稀に居るだけの人里近くの高原に来ていたのだが――、

「キキキ、ヒトダ!人肉ダ!!」
「ケケケ、ドコカラ喰ウ?ドコカラ喰ウ?」
「アツイヨ、アツイヨ!」
「結界ダ、気ヲツケロ」
「壊セ壊セ、全部壊セ」

 おかしい、こんな所に妖怪が、それも五匹も居るはずがない。
 この場所は人里の人間も稀にピクニックなどで利用する安全な場所だったはず。
 現に今日も案内を頼まれ共に人里の人間と共にここへ来ていた。
 しかしその考えは、実際に妖怪を目にした今となっては何の役にも立たない。
 念のために持ってきておいたお札もこの数の妖怪を相手に出来るものでもない。
 何とか共に来ていた彼らを逃がすことは出来たが、それも自身を囮にしたおかげだ。
 彼女に出来ることはお札に込められた霊力を使って結界を張り、少しでも長く最後の時を遅らせることだけだった。
 本来、上級の妖怪はそのテリトリーに入らない限り襲ってくることは無く、能動的に人を襲うような低級妖怪は基本的に群れを成すことはない。
 稀に種族の特性として群れを作る妖怪もあるが、それも同種の中で限った話だ。
 だが目の前の妖怪たちは明らかに種族が異なっている。
 そこまで思考が至ったとき、とうとうお札に込められていた霊力が尽きた。

――パリン

「割レタ割レタ」
「肉ダ!」

 結界が破れた瞬間、妖怪達が一気に飛び掛ってきた。
 もう駄目だ、阿求がそう思ったとき、

【産霊「ファーストピラミッド」】

 不意に生まれた弾幕が阿求を包み込んだ。
 しかしその弾幕は彼女に掠ることすらせず、むしろ彼女を守るように展開し、妖怪たちを纏めて吹き飛ばした。

「何とか間に合ったようだな」
「ま、待ってくださいよ慧音さん」
「そんな悠長なことを言っていたら間に合わなかっただろ」

 阿求が顔を上げると、そこには里の守護者、上白沢慧音と見慣れぬ男性の姿があった。
 緊張が切れた彼女は思わず腰が抜けてその場に座り込んでしまう。

「け、慧音さん…」
「大丈夫か阿求? よく頑張ったな」

 ちらりと阿求の方を向いた慧音の顔には彼女を安心させるための笑みが浮かんでいた。
 だが前に向きなおしたその顔には里の人間を守る守護者としての怒りが張り付いている。

「この私が来たからには里の人間にも里の歴史にも弾幕一本触れさせる物か!
 覚悟しろ、与太郎ども!」

【始符「エフェメラリティ137」】

 弾幕が放たれると共に大地を蹴り空へ飛び上がった。

「秀一、阿求のことは任せた」

 こちらを振り返りもせずに慧音は更なる弾幕を妖怪たちに向けて放つ。
 その様子に何処か感心した様子を見せる秀一は、やがて阿求に目を向けてやれやれと肩をすくめた。

「なんで俺がガキのお守りなんか……いや、ここでいいところを見せれば」
「何をするんですか?」

 懐から未だ紋章が消えたままのカードデッキを取り出した彼に阿求は疑問の声を上げた。
 しかしその声に答えることなく秀一は左手に持ったデッキを前に突き出す。
 Vバックルを腰に装着した彼はデッキを腰元にひきつけながら握りこんだ右腕を力強く回すように立てた。

「変身!」

 デッキをVバックルに装填すると秀一の姿は甲高い音と共に変化する。
 何処か機械的なその鎧に身を包んだ仮面ライダー、ゾルダ。
 しかし契約モンスターを失ったままのゾルダはその色と共に力を失ったままであった。
 相手はいくら下級とはいえ妖怪、並の人間では一切歯が立たない相手。
 その時、彼は銃型のバイザー、マグナバイザーを手に取り背後へと向けた。

――ダン、ダン、ダン

「ギギャ!?」

 彼が放った弾丸は背後から密かに襲いかかろうとしていた何処かイヌ科の動物を思わせる姿の妖怪を吹き飛ばした。
 力を失っているとはいえ、彼も仮面ライダー。
 相手が妖獣程度の力しか持たぬことも幸いし、倒すとまでは行かなくとも、手傷を負わせることは可能だった。

――ダンダンダンダンダン

 そしてそのまま慧音へと駆け寄りながら彼女に近づく妖怪たちに向けて弾丸を放つ。
 背をあわせたゾルダと慧音は無言のまま顔を見合わせると、妖怪たちへ追撃をかけた。

【野符「武烈クライシス」」】

 だが、やはり力を失ったままのゾルダでは止めを刺すことは出来ない。
 せいぜい足止め程度である。

「グァ!!」
「ギャ!?」
「アグッ!!」

 その足止めこそこの場でもっとも有効な手であった。
 慧音のランダムに放つ弾幕に満足な動きが出来なくなった相手を、ゾルダが的確に打ち抜き動きを止める。
 完全に動けなくなったところで慧音が本命の高霊力弾によって打ち倒す。
 これがこの場における最高度の連携であった。
 そして彼らのその攻撃が止んだときには、

「すごい……こんな簡単に」

 阿求がそう呟くのも無理はない。
 里の守護者である慧音が5体程度の下級妖怪に遅れをとったことはない。
 だがこの場では何の守護の力もない阿求を庇いながら、しかも普段の撃退ではなく完全に相手を討ち取る。
 相手は下級妖怪であったとはいえ、どうやら速さに特化した妖怪の集団だったようで、慧音一人のときは不意打ち以外ではなかなか攻撃があたっていなかった。
 だがゾルダが参戦してからはその速さは殺されきっていたのだ。
 やがて、慧音が阿求の元へ戻って来る。

「大丈夫だったか阿求?」
「あ、はい。
 助かりました慧音さん」

 腰が抜けたままの阿求を立ち上がらせた所で変身を解いた秀一も追いついていた。
 秀一は真剣な面持ちで慧音へと声をかけた。

「慧音さん、やはり俺と契約してくれませんか?」
「またその話か……」

 だが口調とは裏腹に慧音は悩むように俯いた。
 顔を上げた彼女は躊躇うように口を開く。

「悪いが、やはり断らせてもらう。
 だが……本当に……本当にどんな願いでも叶うというなら一人心当たりがある。」

 慧音の脳裏には悲しみの炎を背負った一人の少女の姿が浮かび上がっている。
 彼の言った通り、本当にどんな願いでも叶うのならその悲しみの炎を断ち切ることが出来るのかもしれない。

「私には里を守る役目がある。
 だが彼女なら力を貸してくれるかもしれない。
 手紙を用意しよう、それならあいつもお前のことを信用するはずだ」

 秀一は気障なところや嫌味なところもあるが、そう悪い人間ではない。
 長きに亘る時の中で、数多の人々を守り続けてきた慧音の目にそういう彼の姿が映っていた。







>>???<<

「ここか祭りの場所は?」

 一つの不穏な人影が幻想郷の闇に紛れていた。







To be continue...







▽後書き▽
最初に言っておく、この話の中では秀一は玲子に惚れていない!
何とか前回投稿日から一ヶ月以内に投稿できました…
仕事やら何やらでリアルが忙しいです…
とりあえず最低でも月一で投稿したいけど出来るかな?
まぁ続ける気はあるので気長にお待ちください。
…何かネガティブなことばっか書いてるな

▽コメ返▽
あか◆888431e1様
コメントありがとうございます!
>取り敢えず王蛇がでてからじゃないと評価がし難い
恐らく次話あたりで出るんじゃないかと…
時系列上序盤はポンポン、ライダーが出てくるのでちょっと悩み気味です。。。
あと、ナイトは最初から魔理沙って決まってましたけど、初期案では龍騎は妖夢か美鈴と契約させようかとか言ってました(妖夢は半人前、正義感強。美鈴は龍つながりで)
まぁ蝙蝠つながりでナイトとレミリアとかも一瞬出ましたが

ながもん◆1ec0487b様
二度目のコメントありがとうございます!
>ところでゆかりんが弾幕ごっこのルールが適用されない争いごとを持ってくるのに違和感を感じてしまう
一応ちゃんとした理由はあるんですが、その話が出るのは一番最後の方になりそうです…すいません。。。




次回の更新がいつになるか分かりませんがよろしくお願いします。







◆戦わなければ生き残れない◆



[18080] ネタ予告 8/28初投稿
Name: ナミダメ@悠里◆c249c58a ID:4e4921a2
Date: 2010/08/28 02:19
木々が生い茂る山に周りの景色から浮いてしまう電車が止まっている。
不意にそのドアが開いき、中から三人の人影が地に降り立った。
その中の一人、少し気弱な雰囲気を纏った青年が隣に立つスーツ姿の壮年の男に話しかけた。

「オーナー、ここは一体……?」

オーナーと呼ばれた男は目線をちらりと青年に向け、もったいぶるように口を開く。

「ここは忘れられた者たちが集う、最後の楽園です」
「最後の……楽園?」

ポツリと呟いた青年の疑問に答えたのはオーナーではなく、その反対側に立っていた少女だった。
その少女は両手を腰に当て、胸を張るようにしてその名を口にした。

「ここは幻想郷。
 外の世界で忘れられたモノ達が最後にたどり着く場所よ」
「幻想郷……ここにモモ達が?」
「そのとぉ~りです。
 本来なら、時の中で忘れ去られた人達だけがぁ、ここで降りる筈。だったのですがねぇ~」
「それがあの馬鹿モモ達が面白そうだとか言って勝手に降りちゃったのよ」

少女は両手を組み、その怒りでほほを膨らませる。
青年は納得したように頷いた。

「幻想郷……か」










「ここは一体どこだ?」
「あら?変わった客人ね。
 フフ、面白い運命を持ってるわね、あなた」
「へぇ、おもしれぇ。言っとくが俺は最初っからクライマックスだぜ?」

紅き二人の鬼が交わり―――










「君、可愛いね。僕に釣られてみない?」
「へぇ、まだ私に擦り寄ってくるおとk……なんなの、あなたは?
 まぁいいわ。この新しい難題、あなたには解けるのかしら?」
「子猫ちゃんの為ならなんだってできるさ」

青き漁師は永遠の姫君と出会い―――











「俺の強さにお前が泣いた!流した涙はこれで拭いとけ」
「面白いねぇ、私ら鬼の四天王、泣かせるものなら泣かしてみな!!」
「よっしゃ、ほな行くでぇ!!」

金色の熊と二人の強者はぶつかり合い―――










「ねぇねぇ、弾幕ごっこって面白いんだよね?
 一緒にやってくれるよね?答えは聞いてない!」
「いいわよ、私もちょうど退屈してた所だし。
 ふふふ、あなたはどんな天気なのかしら」

紫の龍に穢れ無き天人は戯れる―――










しかし、かつて無い脅威が、その地に訪れることなど誰も知る由は無かった。

「幻想郷か……ここも俺が食い尽くしてやる」
「俺すっげぇむかついてる、そういう顔してるだろ?」
「悪のネガタロス軍団(仮)・改ってところかな」
「こんどこそ、全てはソラの為に!!」










「いくよ皆」
「いつでもいいぜぇ」
「待ってました」
「よっしゃ、行こか」
「わーい、てんこ盛りだー」


「「「「「変身」」」」」









仮面ライダー×東方Project
東方電王紀行文










時を駆ける列車デンライナー、次の行き先は幻想の時。
はてさて、どうなることやら……








「ふむ、腹が減った、食事の用意を」
「了解、ちょっと待っててね」
「何でお前がここに居んだよ!?
 デネブ!お前も何であいつの言うこと聞いてんだ!!」







▽後書き▽
やりません
単なるネタです本気にしないでください
三ヶ月以上待たせた上、本編更新なし……すいやせんっしたー!!!!!!
既に次の話の構成は思いついてるんですが文章がまったく進まず3話の後書きで一ヶ月以内とか見栄を張った結果がこれだよ!!
まだ書けてないんで次の更新も遅くなるかも……これから仕事も忙しくなる時期らしいし
マジですいません……

▽コメ返▽
ドラコン◆09dd6506様
コメントありがとうございます!
>まあ、描写やネタなどの参考程度になってくれればうれしいのですがね。
むぅ、身長比ですか……自分程度の腕じゃ描写し切れそうにない気がしますが、頭の中で想像しやすくはなります。
実際小説の中で使えるかは分かりませんがありがとうございます。

蜃鬼◆b11557ed
コメントありがとうございます!
>おぉ、なんか面白そう。東方は知らないから調べ調べだけど、けど面白そうです(重要なことだから二回言いました!)
東方は色々な意味で難しいですからねー
この作品自体もかなりの地雷ですし……
でも本家や別の人の小説とか漫画とかは面白いんで色々調べてみてください!
自分が東方を知ったのは東方アレンジ曲が最初で細かいことを知ったのは某動画サイトで流行った幻想入りシリーズなんですよね
……あれ、もしかしてこの小説って幻想入りシリーズなのか?


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