地方議会の改革はどうあるべきか・・・
August 27 [Fri], 2010, 13:17
私も義務教育を受けているので、本来、議会の重要性はそれなりに理解していたつもりです。
それがゆえに、引退後、最初に行ったのは、議会の傍聴でした。この1年9ヶ月の間に、松戸市議会の本会議、委員会をあわせて友人達と40数回 傍聴して きましたが・・・結論的には、予想はしてはいたが、私の期待を根底から裏切るも のでした。
それを決定的にしたのは、松戸市立病院の移転計画について「賛否を問う」住民投票に対する市議会の対 応でした。
250億円もの巨費を要する大事業について、住民投票を松戸市議会はいともあっさり拒否した。
いわば、お財布を預かっている奥さんが、スーパーでの買い物ならともかく、家の購入を、ご亭主の意向を聞かずに勝手に判断したようなもので す。
それだけではありませんね。市議会の議論の低調さは目を覆うばかりです。元市議会議員によれば、質問作成を市職員に依頼する議員が少なから ずいるという。再質問まで職員に依頼している。ですから、再質問の場面でも、下を向きっぱなしで原稿を読んでいる。過去2年間、一度も本会議 で質問し たことがない議員も最低数名はいる。
でも、低迷停滞は松戸市議会の専売特許ではないようです。
総務省サイドでも地方議会の改革に乗り出しているのはその証左ではある。
もっとも、本来「地方自治」なのですから、各自治体が個別に事情に応じて考えるべきであって、総務省が全国一律に考えること自体がおかしい、 「自治」を統括しようとするところに根本的な問題があるのでしょうが・・・・。
日本の都道府県議会、市町村議会の議員数は6万人、費用総額は4000億円と言われる。
1人当りの報酬(804市平均=議長51.6万円、副議長45.5万円、議員42万円)+期末手当、議会開催時の交通・宿泊費、視察に行く経 費、議長交際費、海外視察支度料・・・しかも、通常企業なら出張に行けば 実費精算だろうが、議会では一律支給が多い。人口20万人規模のある市議会議員の場合、議会会期中、1日5500円の交通費が支給されるが、 実際にかかる往復交通費は概ね1000円。1日4500円、議会は年間80日くらいなので36万円が議員の「小遣い」となっている。実働日数 は30日にも満たないが・・・。
ある世論調査の結果によれば6割が「不満」としているが、理由は「ほぼオール与党体制のため行政に対するチェックが働いていない」「政策立案 能力が低い」に加えて「高い議員報酬に加え隠れた財布」があるなど、存在そのものが問われている。
※全国市議会議長会調べ=人口50万人以上 議員の月額報酬73.8万円。40〜50万人63.2万円。30〜40万人59.3万円。 20〜30万人55.1万円。10〜20万人46.5万円。5〜10万人38.7万円。5万人未満32.6万円。
ちなみに、欧米の現状はどうだろうか。専門家の論文によれば・・・
ドイツを例にとると、議員数は多く、約20万人(州議会は除く)。人口が6000万人なので1万人当り約30人の議員がいることになる。地方議員 は定額の報酬か議会ごとの出席手当かの選択制で、平均すると1人当り年間約50万円。
仮にこれを日本に当てはめてみると、人口1万人当り議員数30人として合計36万人、年間報酬は総額1800億円。現在と比べて約2200億円の 削減となる。
専門職議員が中心のアメリカのヒューストンは、人口200万人で議員数は14人(人口が同レベルの神戸市は69人)、議員の年間報酬額は約550 万 円。
地域主権がいわれるなかで、これからの地方議会はどうすればいいのか。
現行制度のなかではどうにもならない。あるべき「地方自治」という観点での「議会」のあり方は、これも専門家の指摘だが、次の2点のいずれかかもしれませ ん。私は第一の説が近いが・・・第二の説も捨てがたい。
(1)議員を増やして報酬を下げる。住民参加との併用=直接民主制に近く、例えば現行の10倍20倍の議員数とする。報酬は日当制で一 万円とか。議会は夜間、休日に開会。欠点もあるが、今より悪くなるとは言えないでしょう。
(2)議員を減らして報酬は減らさない‥議員の専門職化=アメリカの一部で実施されているような予算編成の段階で、その全体像に関わる仕組み にすることも考えられる。松戸市議会の委員会レベルでも細かい議論はあるが、全体的な議論は皆無に近い。もっとも、それは松戸市だけではな い、だか ら夕張市のようなことにもなるのでしょうが・・・。そうなると、議員の専門性が求められ専門的な事務局スタッフも必要になる(アメリカでは 100万人以上の都市は平均50名の地方議会スタッフがいると言われる。日本の場合は都道府県でも50人程度で、その主な業務は議会の運営、 お世話係のようなものです)。
お金の出入りをみても分かるように、国と自治体は複雑に入り組んでいますね。国政だけの改革では誠に不十分、地方のセットで改革していかな いと、日本の改革は進みそうにない。まして「地域主権」「地方政府」となれば、住民の生活に関わる決定は基本的に地方で行う、その要は「議 会」であろうが、現状の議会にその機能は到底果たせるわけがない、根底からの改革が望まれまれるが、それを決めるのは、無論、国民、住民です ね・・・。
(第377回)
それがゆえに、引退後、最初に行ったのは、議会の傍聴でした。この1年9ヶ月の間に、松戸市議会の本会議、委員会をあわせて友人達と40数回 傍聴して きましたが・・・結論的には、予想はしてはいたが、私の期待を根底から裏切るも のでした。
それを決定的にしたのは、松戸市立病院の移転計画について「賛否を問う」住民投票に対する市議会の対 応でした。
250億円もの巨費を要する大事業について、住民投票を松戸市議会はいともあっさり拒否した。
いわば、お財布を預かっている奥さんが、スーパーでの買い物ならともかく、家の購入を、ご亭主の意向を聞かずに勝手に判断したようなもので す。
それだけではありませんね。市議会の議論の低調さは目を覆うばかりです。元市議会議員によれば、質問作成を市職員に依頼する議員が少なから ずいるという。再質問まで職員に依頼している。ですから、再質問の場面でも、下を向きっぱなしで原稿を読んでいる。過去2年間、一度も本会議 で質問し たことがない議員も最低数名はいる。
でも、低迷停滞は松戸市議会の専売特許ではないようです。
総務省サイドでも地方議会の改革に乗り出しているのはその証左ではある。
もっとも、本来「地方自治」なのですから、各自治体が個別に事情に応じて考えるべきであって、総務省が全国一律に考えること自体がおかしい、 「自治」を統括しようとするところに根本的な問題があるのでしょうが・・・・。
日本の都道府県議会、市町村議会の議員数は6万人、費用総額は4000億円と言われる。
1人当りの報酬(804市平均=議長51.6万円、副議長45.5万円、議員42万円)+期末手当、議会開催時の交通・宿泊費、視察に行く経 費、議長交際費、海外視察支度料・・・しかも、通常企業なら出張に行けば 実費精算だろうが、議会では一律支給が多い。人口20万人規模のある市議会議員の場合、議会会期中、1日5500円の交通費が支給されるが、 実際にかかる往復交通費は概ね1000円。1日4500円、議会は年間80日くらいなので36万円が議員の「小遣い」となっている。実働日数 は30日にも満たないが・・・。
ある世論調査の結果によれば6割が「不満」としているが、理由は「ほぼオール与党体制のため行政に対するチェックが働いていない」「政策立案 能力が低い」に加えて「高い議員報酬に加え隠れた財布」があるなど、存在そのものが問われている。
※全国市議会議長会調べ=人口50万人以上 議員の月額報酬73.8万円。40〜50万人63.2万円。30〜40万人59.3万円。 20〜30万人55.1万円。10〜20万人46.5万円。5〜10万人38.7万円。5万人未満32.6万円。
ちなみに、欧米の現状はどうだろうか。専門家の論文によれば・・・
ドイツを例にとると、議員数は多く、約20万人(州議会は除く)。人口が6000万人なので1万人当り約30人の議員がいることになる。地方議員 は定額の報酬か議会ごとの出席手当かの選択制で、平均すると1人当り年間約50万円。
仮にこれを日本に当てはめてみると、人口1万人当り議員数30人として合計36万人、年間報酬は総額1800億円。現在と比べて約2200億円の 削減となる。
専門職議員が中心のアメリカのヒューストンは、人口200万人で議員数は14人(人口が同レベルの神戸市は69人)、議員の年間報酬額は約550 万 円。
地域主権がいわれるなかで、これからの地方議会はどうすればいいのか。
現行制度のなかではどうにもならない。あるべき「地方自治」という観点での「議会」のあり方は、これも専門家の指摘だが、次の2点のいずれかかもしれませ ん。私は第一の説が近いが・・・第二の説も捨てがたい。
(1)議員を増やして報酬を下げる。住民参加との併用=直接民主制に近く、例えば現行の10倍20倍の議員数とする。報酬は日当制で一 万円とか。議会は夜間、休日に開会。欠点もあるが、今より悪くなるとは言えないでしょう。
(2)議員を減らして報酬は減らさない‥議員の専門職化=アメリカの一部で実施されているような予算編成の段階で、その全体像に関わる仕組み にすることも考えられる。松戸市議会の委員会レベルでも細かい議論はあるが、全体的な議論は皆無に近い。もっとも、それは松戸市だけではな い、だか ら夕張市のようなことにもなるのでしょうが・・・。そうなると、議員の専門性が求められ専門的な事務局スタッフも必要になる(アメリカでは 100万人以上の都市は平均50名の地方議会スタッフがいると言われる。日本の場合は都道府県でも50人程度で、その主な業務は議会の運営、 お世話係のようなものです)。
お金の出入りをみても分かるように、国と自治体は複雑に入り組んでいますね。国政だけの改革では誠に不十分、地方のセットで改革していかな いと、日本の改革は進みそうにない。まして「地域主権」「地方政府」となれば、住民の生活に関わる決定は基本的に地方で行う、その要は「議 会」であろうが、現状の議会にその機能は到底果たせるわけがない、根底からの改革が望まれまれるが、それを決めるのは、無論、国民、住民です ね・・・。
(第377回)
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