ハレ晴れユカイ
サイトの方は閉鎖しました(数ヵ月後削除)。自作品の後書きブログを細々とやっています。
黄金色に輝く、ゲンドウサンタのプレゼント
「あなた、今年のクリスマスプレゼントはどうしましょう?」

「もうそんな時期か。時の経つのは早いものだな」

「去年と同じ絵本にしましょうか?シンジは本を読むのが大好きですものね」

「それに関して、少し気になる事があるのだが……シンジは少し内向的ではないか?このままだと学校に入ったとき困ってしまうぞ」

「あなたに似てシンジは照れ屋さんですからね」

「そこで私は考えたのだが……」

「……まあ、それは良いアイディアね」

「全てはシナリオ通りに」

「あなた、その変な笑い方止めてください!シンジが真似したらどうするんですか!」

「そ、それは問題があるな……善処しよう」





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黄金色に輝く、ゲンドウサンタのプレゼント

written by ハル





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12月25日のクリスマスの朝。碇家の一人息子シンジがベッドの中で違和感を覚えて目を開くと……すぐ横では金髪の同い年の女の子が寝息を立てていた。

「うわあ!なんで女の子がおとなりで寝ているの!?」

シンジの大声でその女の子は目を覚ましたようだ。

「うわっ!なんで男の子が同じベッドに居るの?」

パニックになった女の子はポカポカとシンジを叩きだした。

しかしそのパンチは力の弱いものでシンジにとっては痛いというよりくすぐったい。

「くすぐったいよ。やめてよう」

しばらくして、その女の子はなぜ自分がここに居るのか気が付いたようだ。

「そうだ、アタシはサンタさんに頼まれてシーちゃんとお友達になるように言われたんだった」

女の子はにっこりと笑ってシンジに手を差し出した。

「アタシはアスカよ。よろしくねシーちゃん」

しかし、シンジはそれを無視してプイッと横を向いてしまった。

「僕はお友達なんていらないんだ。本を読んでいる方が好きなんだ」

それを聞いたアスカは泣き出しそうな顔になってしまう。

「シーちゃんもアタシの事嫌いだからお友達になってくれないの?」

暗く沈みこむような声にシンジは慌てて伸ばされたアスカの手を握る。

「お友達になるから泣かないでよ……」

それでもアスカはまだ暗い表情を崩さない。

「ならどうしてアタシの方を見てくれないの?いやいやお友達になってくれても、うれしくない」

「だって、アーちゃんは本に出て来るお姫様みたいに綺麗な青い目をしていて美人だから」

顔を赤らめてアスカの方をちらっと見てそう言うシンジに、アスカは歓喜の涙を流した。

「アーちゃん、僕は何かひどい事を言った?ごめんね、泣かないで」

「違うの。アタシは日本に来てから髪の毛を引っ張られて抜かれちゃったり、目が青いからって公園の遊び仲間に入れてくれなかったんだ」

「僕はアーちゃんみたいにかわいい女の子は見た事無いのに」

「嬉しい、シーちゃん大好き☆」

アスカは上機嫌になってシンジに抱きついた。

シンジはちょっと困った顔になったが、アスカをはねのける事はしなかった。

二人がベッドの上でそうして居ると、頃合いを見計らったようにユイとゲンドウが部屋に入って来た。

「アスカちゃんはもうシンジと仲良くなったのね」

ユイはそう言って笑顔でシンジとアスカの頭を優しくなでる。

「よかったなシンジ。友達ができればおねしょもきっと治るぞ」

「ふふっ、シンジは寂しがり屋ですものね」

「ひどいなあ、アーちゃんの前で言わないでよ」

「これからシーちゃんが寂しくないように一緒に居てあげるね」

そう言ってアスカはシンジの唇にそのサクランボのようなかわいい唇をほんの一瞬押しつけた。

驚いたシンジをアスカは満足げに眺めると、ゲンドウの方に顔を向けて礼を述べた。

「ありがとうサンタさん。素敵なプレゼントをくれて」

「問題無い」

「まったくあなたも、不器用なんですから……」

その後アスカは碇家に滞在する事になり、シンジとアスカは一緒に時を過ごす事になった。

朝の着替えも食事も……お風呂も寝るのまで……外を散歩する時はいつも手を繋いでいた。

そんな生活が一週間ほど続き、シンジとアスカが生活に慣れ始めたころ、二人はゲンドウに別れを告げられた。

「そんな、アーちゃんが帰っちゃうなんていやだよ!」

「アタシもシーちゃんと一緒に居たいけど……」

「シンジ、アスカちゃんも両親の居る家に帰らないといけないのだ」

そう宥めているアスカとゲンドウの前でシンジは尚もダダをこねた。

「じゃあ今度は僕がアーちゃんの家に行く!」

「シンジ!いい加減にしなさい!」

そんなシンジの顔をユイが平手打ちにした。

「我がまま言うのもいいかげんにしなさい!」

「嫌だっ!僕はアーちゃんと結婚するんだ!」

もう一度ユイはシンジのほおに平手打ちをする。

「また僕をぶったね!2回もぶった!お父さんにも……」

シンジの言葉はユイの怒号にかき消された。

「アスカちゃんのご両親もね、もう一週間近くも離れ離れになって寂しがっているのよ。シンジは自分のことしか考えられないそんな悪い子なの?」

そこへゲンドウが助け船を出す。

「シンジ、いい子にしていれば、またアスカちゃんと会わせてやる」

「本当?じゃあ僕はいい子になる!」

「シーちゃん、じゃあ約束しよう。ゆびきりげんまん、うそついたら、はりせんぼんのーます」

シンジとアスカが小指を絡める様子をユイとゲンドウは微笑ましく温かく見守った。

「シンジが反抗するなんて初めての事ですね、あなた」

「ああ。シンジは今まで大人しすぎたからな。あいつも男の目をするようになった」



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しかし、そのシンジとアスカの誓いは果たされることが無かった。

「お父さん、アーちゃんにはもう会えないの?」

「シンジ……すまない」

「アスカちゃんの家族はまたドイツに引っ越しちゃったのよ。ごめんなさい」

アスカによって明るい性格になったと思われたシンジは、また以前のような内向的な性格に戻ってしまった。

学校でも教室で静かに本を読んでいるシンジには親しい友達もできず、シンジが家に友達を連れて帰る事も無かった。

携帯電話の着信履歴も両親からのものだけ。

ゲンドウとユイもシンジが素直な子に育ってくれた事には安心していたが、いまいち覇気の感じられないシンジに不安を感じていた。

「シンジは近くで照らしてくれる子が居ないと明るくなれない性格なのだな」

「どこかにアスカちゃんみたいにシンジの気を引いてくれる子が居ないものかしらね……」

「赤木君のところのリツコ君はどうだろう?」

「あなた!リツコさんはもう25歳じゃないですか、立派な大人の女性をシンジの隣に寝かせる気ですか!」

「ほ、ほんの冗談だ。ほら、リツコ君には年の離れた妹が居ただろう」

「ああ、レイちゃんですか?確かにシンジと同じ年齢ですけど……」

ゲンドウはニヤリと薄笑いを浮かべて電話を手に取ると、職場の部下である赤木ナオコの所に電話をかけた。

「あら所長。私のプライベートの電話にしてくるなんて珍しいですね」

「君のところの娘のレイ君のことなのだが……」

ゲンドウがそう切り出すと、ナオコはいつもより一オクターブ高い声になった。

「レイの件ではとてもお世話になりました。おてんばで乱暴者だったレイが渚さんのところのカオル君と仲良くなってからとても女の子らしくなっちゃって」

「……想定外だ」

上機嫌で話す赤木ナオコに対してゲンドウは何も切り出せずに電話を切るしかなかった。

ゲンドウとユイの碇シンジ育成計画に何の進展が見られないままシンジは小学校を卒業し、中学生となっていた。

進学してもシンジは相変わらずクラスで孤立し、真面目すぎる性格と優秀な成績は時にはからかいやいじめの対象となった。

シンジは学校であった嫌な事を日記に書いて憂さを晴らすという消極的なストレス解消方法しか持たなかった。

しかし、シンジが中学二年生、14歳のクリスマスを迎える頃になってゲンドウとユイの下にとある朗報が飛び込んだ。

「あなた、見てください。シンジったら、同じクラスの子に彼女を自慢されたから自分も彼女が欲しいなんて日記に書いてますよ」

「これであの計画を実行しても問題は無いな」





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2015年12月25日。碇家の一人息子シンジがベッドの中で違和感を感じて目を覚ますと、隣に金髪の同い年の少女が眠りこけている事に気が付いた。

「うわあ!なんで女の子が隣で寝ているの?……ってアスカ!?」

シンジの大声で寝ていたアスカも目を覚ましたようだ。

「きゃああ!何で男が隣に寝てるのよ!アタシはシンジ以外の子と付き合う気は無いって言うのに!」

アスカはシンジの顔に思いっきり平手打ちを喰らわせて突き飛ばした。

「痛いよアスカ〜」

涙目で訴えるシンジの姿を見てアスカはここは日本のシンジの部屋だと思いだしたようだ。

「ごめんシンジ!痛かった?」

そう言ってアスカはシンジの赤く腫れあがったほおを優しくなでる。

もっとも、シンジの顔が赤いのは叩かれた事だけが原因ではなかったのだが。

そこへ聞き耳を立ててタイミングを見計らったゲンドウとユイが部屋に入って来た。

「二人をここに集めたのは理由があったからなのだ」

「あなたたちはエヴァンゲリオンのパイロットとして選ばれたのよ」

「エヴァンゲリオン?」

不思議そうに首をひねるシンジとアスカを急かすようにゲンドウが喋りはじめた。

「とにかく着替えて、朝食をとったら我々は特務機関ネルフの本部へ向かう。詳しい説明はそこで受けろ」

「うん……わかったよ」

ピリピリと張り詰めた空気の朝食を終えたシンジとアスカは、ユイの運転する車でゲンドウと四人で大きな基地のようなところにたどり着いた。

正面ゲートにつくと、ゲンドウとユイはシンジたちと別れ、シンジとアスカは正面ゲートから建物の中に入った。

すると、軍服を着た長い黒髪の女性が二人の前に現れた。

「碇シンジ君に、惣流・アスカ・ラングレーさんね?私は葛城ミサト。あなたたちの直属の上司になるわ」

「よろしくお願いします、葛城さん」

敬礼をしたシンジにミサトは笑顔を浮かべて、手を上下に振る仕草をする。

「まあまあ、そんなにかしこまらないで。私もあなたたちをシンちゃん、アスカちゃんって呼ぶから、ミサト、でいいわよ」

「ありがとうございます、ミサトさん」

「サンキュー、ミサト」

「アスカ、本当に呼び捨てにしたわね……」

シンジとアスカはミサトに誘導され、広い建物の中を歩いて行った。

「……さっきから同じ場所を歩いているような気がするんですけど」

「さては、道に迷ったわね?ミサトは」

「うっさいわね!軍事基地って言うのは迷うように作ってあるのよ!」

その時目の前のエレベーターの扉が開き、水着の上に白衣をはおった金髪の泣き黒子が印象的な女性が姿を現した。

「遅いわよ、ミサト!」

「あ、ごめんリツコ。道に迷っちゃって」

リツコはシンジとアスカの姿を認めると、微笑みかけた。

「私は赤木リツコ、よろしくね」

「あ……初めまして碇シンジです」

「よろしく、リツコ」

リツコは降りて来たものとは別のエレベーターのボタンを押して、シンジたちに話しかけた。

「あなたたちに見せたいものがあるの」

シンジとアスカとミサトがリツコの後に続いてついて行くと、紫色の巨大なロボットのような物の顔だけが水面を出しているのが分かった。

「これは人の造り出した究極の汎用人型兵器!エヴァンゲリオンよ」

「もしかして、母さんが言っていたのって……」

「そうよシンジ!」

声のする方を振り返ると、そこにはサングラスをかけて仁王立ちする軍服姿のユイの姿があった。

「母さん?」

「お母様!?」

「ここでは司令と呼びなさい。シンジ、アスカちゃん。私が今から言う事をよく聞きなさい。これにはあなたたちが乗るの。そして”使徒”と戦うのよ」

「な……」

驚いたシンジとアスカの肩をつかんで、ミサトがユイに向かって訴えかける。

「司令、お待ちください!今日来たばかりのこの子たちをあんな巨大な怪獣と戦わせるんですか!?」

怪獣と聞いてシンジとアスカの肩がギクリと震える。

「座ってるだけでいい、それ以上は望みません」

「葛城一尉、今は使徒撃退が最優先よ!さ……二人ともこっちに来て」

「僕がロボットに乗って怪物と戦うだって?冗談言わないでよ!そんなことできるわけ無いじゃないか!」

「そうよ、なんでアタシたちなんですか!」

するとリツコがシンジとアスカにパンフレットのようなものを渡した。表紙には『ようこそネルフへ』と書かれている。

「二人とも、3ページ目を見て。エヴァンゲリオンはA10神経の接続によって……いわゆる愛の力で動いているの」

「だから『らぶらぶカップル』のあなたたち以外には無理なのよ」

「そんなあお母様、『らぶらぶ』だなんて」

アスカは顔を赤くして頬に手を当てて何やら身悶えして居る。

「やっぱり怖いよ!怪我をしたり死んじゃったりするかもしれないじゃないか!」

シンジの方は目をつぶりながら叫び声をあげている。

「シンジがやらなければ人類すべてが死滅することになるのよ!人類の存亡がシンジの肩にかかっているの!」

「いやだっ!なんて言われたっていやだよ!」

シンジの頑なな態度を見たユイはモニターでゲンドウを呼び出した。

「あなた、レイちゃんをお願い……っとちょっと待って!」

アスカがシンジに近寄るのを見るとユイは慌てて制止した。

「シンジ……アタシと一緒に戦おうよ」

「アスカ……」

「やっとシンジに会えたのに、人類滅亡だなんていやだよ……」

目に涙をためて上目遣いで見詰めるアスカに、シンジは陥落してしまった。

「わかったよアスカ。一緒に乗って戦おう」

思わぬ伏兵の登場にミサトやリツコは目を丸くしている。

ユイの側の通信モニターからは、ゲンドウとレイのやり取りがもれて来る。

「伯父さん、私の出番はいつなの?」

「すまないレイ君、どうやら君の出番はなくなってしまったようだ」

「せっかく頭に包帯まで巻いて準備してたのに。こうなったら食堂でカオルと何か食べてから帰るね」

「これが約束のニンニクラーメンの回数券だ。またよろしく頼む」

ユイはうっすらと微笑みを浮かべながらため息をつくと、モニターのスイッチを切った。

エヴァンゲリオンの操縦席であるエントリープラグは座席がハンドルのある運転席と、レバーとスイッチのある砲撃席に分かれていた。

二人は話し合いの末運転席にシンジ、砲撃席にアスカが乗り込む事になった。

「エヴァンゲリオン、発進!」

ミサトの号令と共にエントリープラグ内は大きく揺れ、モニターから見える風景も地上の物へと変化した。

正面には使徒と思われる巨大な怪物がこちらをにらんでいる。

シンジとアスカの初めての戦いが始まった。

「アスカ!まだ中距離だからナイフでは攻撃できないの!」

「シンジ君、アスカはライフルを構えているのよ、そんなに近づかないで!」

「正面から接近したら的になっちゃうでしょ!」

ミサトとリツコの叫び通り、シンジとアスカの初陣におけるチームワークは最悪だった。

使徒のビームがエヴァを直撃し、強いショックを受けたシンジとアスカは気を失った。



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「知らない天井だ……」

シンジはネルフの中にある病室に中で目を覚ました。

見上げる視界の片隅に何やら金色の物体が見える。

シンジがそちらの方に目を向けると、何とアスカも同じベッドに寝かされていた。

「うわっ、アスカ!?」

シンジは驚いて起き上がり、アスカもぱっちりと目を開けて起き上がった。

「シンジ、無事だったんだね。どこか痛いところは無い?」

「僕は大丈夫だよ。アスカの方こそ……」

そう言って見詰め合う二人を邪魔するような大きな咳払いの音に振り向くと、そこには青筋を立ててにらみ付けるミサトが居た。

「随分と仲のよろしい事で……」

「ミサトさん、使徒はどうなったんですか?」

「使徒はあなたたちの攻撃でかなりダメージを受けていたみたい。後は軍隊の攻撃で倒せたわ」

「アタシたち、そんなに活躍したっけ?」

首をひねるアスカにミサトは慌てて愛想笑いを浮かべる。

「まあ、使徒が倒せたんだからよかったじゃないのよ。私は保護者としてあなたたちを迎えに来たのよ」

「保護者ってミサトさんがですか?」

「シンジ君のご両親は使徒が来たせいで忙しくてあなたたちの面倒をみる事が出来なくなったの。だから私が代わりに二人の面倒をみるわけ」

半ば強引に納得させられたシンジとアスカはミサトと共に新しい住居に住む事になった。

シンジの家はネルフから遠すぎるという理由で住むのはミサトのネルフ職員用マンションとなった。

ミサトは帰る途中にゲンドウに呼び止められた。

「葛城君、くれぐれも二人の事を頼む」

「はい、計画通りだらしない保護者役を精いっぱい演じさせていただきます」

「君は普通どおりに生活して居ればいい。そうすればシンジとアスカ君は協力して料理や家事をしようとするはずだ」

「私も社会人として一通りの事はできるはずなのですが……」

「君はずぼらでがざつで、婚期を逃して恋人をからかう事が一番の趣味の三十路直前の素晴らしい人材としてリツコ君の推薦を受けて選ばれたのだ」

そう断言するゲンドウにミサトは肩を落として家に帰るのだった。

ミサトの家に入ったシンジとアスカは足の踏み場もないほどの散らかりように驚いた。

今まで両親にまかせっきりで掃除などした事が無いシンジとアスカだったが、二人で協力して立ち向かう事になった。

ミサトのカレーを食べた二人は激しくおう吐し、数日後にはお揃いのエプロンをつけて二人は料理をすることになる。

「あらまあ、お揃いのエプロンなんかしちゃって新婚さんみたいね」

「ふふふ、ミサトったら」

ミサトが皮肉を言ってもシンジとアスカは余裕で受け流す。

入浴こそ別々だったが、パジャマに着替えたアスカは当然のようにシンジの部屋に向かう。

不機嫌な顔をしたミサトがシンジのベッドに入ったアスカ達を責めると、

「アスカと一緒に寝ると、暖かい気持ちになれるんです」

「シンジと一緒に寝ると、ポカポカするの」

と平然と言われ、ミサトは乱暴に扉を閉めてリビングでやけ酒をかっ喰らうしかなかった。

チルドレン監督日誌と書かれたネルフから支給されたノートはミサトのイライラした暴言を書き散らす落書き帳になってしまった。

こうして三人の生活はおおむねゲンドウとユイの計画通りになったのだが、ミサトの酒乱ぶりにはシンジもアスカも困っていた。

そこでシンジとアスカは対策を練った。

「シンちゃ〜ん。ビールが足りないわよ、もっと持ってきて〜」

夕食の席でビールをせがむミサトを前に、シンジとアスカは見詰め合って頷いた。

「シーちゃん。食べさせてあげる。あーん」

アスカが箸でつかんだおかずをシンジは幸せそうに頬張る。

「アーちゃんが食べさせてくれるとおいしいね」

「あったりまえよ、アタシはシーちゃんのお嫁さんなんだから」

二人のやり取りを見ていたミサトは青い顔をして胸を抑え出した。

「アーちゃんのお口にご飯粒が付いているよ」

「シーちゃんが取って」

シンジは舌を伸ばしてアスカの唇についたご飯粒を舐めとる。

「シンちゃん、アスカ。私が悪かったわ。だからそのらぶらぶATフィールドを発生させるのは止めて〜!」



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その後しばらく半年ほど、月曜日から金曜日は学校に行き、土曜日は使徒を倒し、日曜日は休息を兼ねてデートをするという規則正しい生活が続いた。

「修学旅行に行っちゃダメ?」

「その代わり使徒を倒した翌日には温泉に連れて行ってあげるわよ」

溶岩の底に潜む使徒。

「シンジ君、避けて!」

ピラミッドを張り合わせたような形の不思議な形をした使徒。

「ATフィールド全開!」

大気圏外から落下してきた巨大な使徒。

様々な使徒との戦いを経て、シンジとアスカの結びつきは強くなっていた。

そして、ネルフ最大の危機と言われた最後にして最強の敵エヴァ量産機の襲来。

戦いの前にシンジとアスカは別れを惜しむように強く唇を重ねていた。

「大人のキスよ……帰ったら続きをしましょう」

「うん、楽しみにしているよ……アスカ」

苦戦の末、エヴァ量産機は打ち倒された。

「よくやったな、シンジ」

ゲンドウの労いの言葉にシンジは笑顔で微笑んで、祝福のムードが漂う中、近くに居たはずのアスカの姿が消えた事に気が付いた。

「アスカ、疲れて先に家に帰っちゃったのかな……」

シンジがミサトの家に帰ると、リビングに紙が置かれている事に気が付いた。

その紙を手に取ると、シンジにとって絶望的なメッセージが目に飛び込んできた。







これ以上シンジとは一緒に居られない、さようなら
                                     Asuka






「何の冗談だよ!これからは使徒も居なくなってずっと一緒に居られるんじゃなかったのかよ!」

そう叫ぶシンジの肩に、いつの間にか追いついていたミサトが手を置いた。

「アスカは自分の意思でドイツに帰ったのよ……」

シンジはミサトの腕を振り払って、コンフォート17を飛び出した。

「そうだ!アスカは僕の家の僕の部屋で待っていてくれているんだ!」

シンジは大声でそう喚きながら、急いで自分の家へと戻った。

久しぶりに戻った自分の家の前に行くと、家の電気は消されていて人の気配がしなかった。

「アスカは暗い中で隠れていて、僕を驚かすつもりでいるんだな、しょうがないなぁ」

そう言ってシンジは自分の部屋に入って電気をつけて自分のベッドをめくるが……アスカの姿は無かった。

アスカの姿が見えない事を確認すると、シンジは膝を折ってへたりこんでしまった。

「シンジ、アスカちゃんはこのまま一緒に居ると良くないと思ってシンジから離れたのよ」

「母さん、アスカは僕の奥さんなんでしょ?お嫁さんになってくれたんでしょう?」

「アスカちゃんはシンジと結婚をしたわけじゃないわ。まだ口約束の段階だった」

「アスカは僕の事が嫌いになってしまったのかな……」

「それは分からない、でも今はアスカちゃんと会う事は向こうが拒否して居るから無理ね」

シンジはその日からまた輝きを失った生活に戻って行った。

毎朝目覚めるときに隣りにアスカが眠っていてくれるという朝の来ない夜に抱かれながら。


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日本からドイツへ飛び立った飛行機の中で、席に座って居たアスカはグッと拳を握りしめる。

「シンジ……一緒に居るとアタシはムラムラしてきて我慢できなくなるのよ」

そしてアスカの頭の中にはピンク色の妄想が広まる。

「でも、18歳のクリスマスの朝にはシンジのベッドに潜り込んで……ジュルリ」

よだれを垂らして、ニヤケ顔になるアスカを、乗客たちは気味悪がっていましたとさ。

テーマ:二次創作:小説 - ジャンル:小説・文学