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踏み板の下、薄暗い空間 厳粛さ漂う死刑の刑場(2/2ページ)

2010年8月28日6時55分

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写真:刑場の踏み板が開いた状態=法務省提供刑場の踏み板が開いた状態=法務省提供

写真:刑場の立会室から撮影した執行室(画面上部)。下の部屋には開けられた踏み板が見える=法務省提供刑場の立会室から撮影した執行室(画面上部)。下の部屋には開けられた踏み板が見える=法務省提供

図:東京拘置所の刑場拡大東京拘置所の刑場

 死刑囚が刑場に入ってまず連れて来られる「教誨(きょうかい)室」には、大きな棚に据え付けられた仏壇があった。親鸞と蓮如の像。移動式で、死刑囚の宗教によっては神棚や、十字架に変わるのだという。ここで死刑囚は、宗教者の「教誨師」と向き合っていすに座り、茶を飲んだり、まんじゅうなどの「供物」を食べたりできる。

 教誨室を出て、約10メートルの無機質な廊下をまっすぐ進むと「前室」にたどりつく。真正面では金色の仏像が見守る。執行室との間にある青いカーテンは、死刑囚が目隠しをされるまで、執行室を見せないように閉ざされているという。

 踏み板には、刑務官が数人がかりで運ぶ。執行直前で抵抗しても、「実力行使で立たせる」のだという。

 執行室の奥にある、薄暗いボタン室からは、3人の刑務官が「1番」「2番」「3番」とかかれたボタンの前で、幹部職員の指示を待つ。指示があれば、一斉にスイッチを押す。そのうちどれかが、踏み板を開くスイッチだ。執行する刑務官の精神的な負担は相当なものだろう。

 「手が震えるほどの緊張感の中、執行されるのは許されない罪を犯した者だ、社会正義のためにやらないと、と自分に言い聞かせている」。刑場公開を前に、法務省幹部は「現場から寄せられた男性職員の声」を読み上げた。(河原田慎一)

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