【動画】公開された刑場=代表撮影
報道機関に公開された東京拘置所の「刑場」の「前室」から見た「執行室」。その奥は「立会室」=27日午前、東京都葛飾区、代表撮影
報道機関に公開された東京拘置所の「刑場」の「執行室」=27日午前、東京都葛飾区、代表撮影
報道機関に公開された東京拘置所の「刑場」の「執行室」の天井部にあるロープを掛ける滑車=27日午前、東京都葛飾区、代表撮影
報道機関に公開された東京拘置所の刑場の「教誨(きょうかい)室」=27日午前、東京都葛飾区、代表撮影
固く秘密が守られ、拘置所内でも限られた職員しか立ち入らない死刑の執行場所が報道機関に初めて公開された。千葉景子法相が「国民的議論の契機に」と打ち出して実現したものだが、死刑にかかわる職員の複雑な思いもあり、厳重な警戒の中での「限られた公開」となった。
午前8時40分ごろ、東京・小菅の東京拘置所の敷地に入ると同時に、21人の記者は携帯電話を使わないよう指示され、取材が終わるまで外部との一切の通信が制限された。
「刑場内の機器には触らない」「整然と無言で見ること」。取材上の注意すべき点などについて説明を受けた後、法務省が用意したマイクロバスで拘置所内の刑場のある建物に向かった。黒い窓ガラスから外は見えず、拘置所内のどこに向かっているのか分からなかったが、所内を約2分間走り、地下のような場所に止まって降ろされた。
刑場の位置は、同省の内部でも「厳秘」とされている。2005年に大阪市の弁護士が、大阪拘置所の刑場の図面の情報公開を求める訴訟を起こした。このときは「図面が公開されると死刑確定者の奪取や死刑執行の阻止などの計画を容易にする」という国の主張が認められ、公開は認められずに最高裁で確定した。
今回も法務省は、マイクロバスの移動ルートを上空から取材されないよう、報道機関に対して、拘置所上空や周辺にヘリコプターを飛ばすことの自粛を求めた。
公開された刑場に、死刑執行の際に設置されるロープはなかった。「通常の管理状態では備え付けていない」というのが非公開にした理由という。その代わりに法務省は、ロープは直径3センチ、長さ約11メートルだと明かした。