鹿児島県阿久根市の竹原信一市長が3月議会閉会後、議会側の臨時議会の招集請求にも応じず専決処分を乱発している問題で、市議会の浜之上大成議長が29日に始まる同県市議会議長会に、議長にも議会の招集権を与えるよう地方自治法の改正を国に要望する議案を提出する。議案は採択される見通しで、同議長会として関係省庁や国会議員に要望活動を行う。
地方自治法では、議会招集権は首長にしか認められていない。浜之上議長は「議会を開かない竹原市長のやり方を止める手段がないのは、法の不備」と指摘。議長に招集権を付与するケースとして(1)議員提案による条例改正など審議すべき案件と議長が認めた場合(2)議会側が臨時議会招集を請求後、首長が地方自治法に定める20日以内に議会を招集しない場合-を挙げ、改正を求める。
議長への招集権付与は全国の都道府県、市、町村各議長会がこれまでも国に主張している。阿久根市に対し23日、議会を招集するよう是正勧告した鹿児島県の伊藤祐一郎知事も「総務省内でも法改正に向けた論議が進んでいる」と述べ、現行法の限界に言及した。
同県内の市議長の一人は、提案に賛意を示した上で「議会の招集権を議長が持っても首長が専決処分で対抗し、いたちごっこになる可能性がある。罰則も必要ではないか」と話している。
=2010/07/26付 西日本新聞朝刊=