鹿児島県の伊藤祐一郎知事は20日の定例記者会見で、同県阿久根市の竹原信一市長が議会を招集しないまま仙波敏郎副市長を専決処分で選任したことについて「明らかに違法性が生じている段階での専決処分。法的効力を持っているのか極めて怪しい」と批判し、現段階では副市長としては認められないとの認識を表明した。
竹原市長は市議会が地方自治法に基づいて6月に求めた臨時議会の招集を期限の20日間を過ぎても行わず、伊藤知事の2度にわたる是正勧告も無視して、7月25日に仙波副市長の選任を専決処分した。仙波副市長は今月2日に着任、公務に就いている。
市側は25日開会予定の臨時議会で専決処分の承認を求める方針だが、伊藤知事は「あらためて選任議案を提出し、同意を得るのが常識的だ」との考えも示した。
一方、仙波副市長の就任以降、竹原市長に昨年7月に懲戒免職処分とされた職員が復職し、臨時議会が開催予定になったことについては「正常化への道」と評価。仙波副市長が総務課職員などに労組脱退を求める発言をしたことについても「市長の判断だろうが、組織の中枢に立つ職員に対しては起こり得ること。(対象の)範囲は、それぞれの自治体で議論してほしい」と述べた。
=2010/08/21付 西日本新聞朝刊=