25日の阿久根市臨時市議会で仙波敏郎氏の専決処分は不承認とされたが、竹原市長は「専決処分の効果は議会で不承認となっても無効とならない」との国の見解を盾に、仙波氏を続投させている。26日の本会議でも仙波氏は副市長席に座って答弁し、議会も容認した。ただ、専決処分そのものに違法の疑いは残る。「副市長」問題は宙に浮いたままとなりそうだ。
総務省は「専決処分は議会で不承認となっても効力を失わない」とする。ただし仙波氏選任の専決は、竹原市長が議会招集請求を拒否した違法状態でなされている。さらに、専決処分は議会を招集する時間がない時などに限り認められており、専決自体に違法の疑いが残る。
総務省は「一般的に専決が議会で不承認でも有効なのは、専決自体が適法な場合に限られる」と指摘しており、仙波氏の選任の有効性に疑問符を付ける。鹿児島県の伊藤祐一郎知事も20日の記者会見で「無効」との見解を示している。
しかし竹原市長は「議会が市長に不信任状態だから専決は適法」と自説を唱えるだけ。仙波氏は「司法が判断すること」と繰り返す。
26日の審議で、反市長派の児玉賢一郎議員は「副市長の専決処分は違法で、仙波氏がそこに座っていることがおかしい。地方自治の根本を揺るがすものだ」と批判した。しかし、議事のスムーズな進行を優先し、仙波氏の退席を求める展開にはならなかった。仙波氏の「副市長職」は違法の疑いを残したまま既成事実化しつつある。【福岡静哉】
毎日新聞 2010年8月27日 地方版