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【芸能・社会】

BEGIN8年ぶりオモトタケオ 20周年飾るオリジナル島唄9曲

2010年8月27日 紙面から

1日2曲のペースで詞が出来て、「20年目にして初めての感覚。音楽って底知れないものだなぁと初めて思いましたね」と話した比嘉栄昇(中)。上地等(左)、島袋優とともに来年にはオモトタケオツアーに出たいという=東京・神宮前で(石井裕之撮影)

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 人気バンドBEGINが、オリジナルの島唄を歌う「オモトタケオ」シリーズの第3弾が8年ぶりに完成した。バージョン違いを含めた9曲は、石垣島出身の3人ならではの細やかな心情や楽しさにあふれ、成熟も示す“はずれなし”の快作。デビュー20周年を飾るファンへの何よりのプレゼントになりそうだ。

 「涙そうそう」「島人ぬ宝」「オジー自慢のオリオンビール」。ライブの核になる代表曲は、オモトタケオシリーズのアルバムから生まれた。3月21日に大阪城ホールで開いた20周年記念コンサートで、「ビギンの島唄 オモトタケオ3」の9月8日発売を発表したが、当時は1曲も出来ていなかったという。その後、米軍の普天間基地移設問題が大きくクローズアップされ、「また同じテーブルに戻ってくるのか、とすごくがっかりして。沖縄には楽しいこともいっぱいあるはずなのに、全国的には基地の町でかわいそうということばかり報道されて、作る気力がなくなってしまった」と比嘉栄昇(42)が明かした。

 が、そんな時に、「うたの日コンサート」で白百合クラブと共演。結成64年を誇る沖縄のおじぃ、おばぁの音楽ユニットが、自由に歌えることに感謝しながら取り組む姿に心を打たれ、「大きな勘違いをしていた」(栄昇)と気付かされたという。

 気持ちが動いてからは、早かった。沖縄本島の一軒家に合宿、約2週間で曲作りからレコーディングまで一気に突っ走った。

 「金網移民」は、基地用地のために先祖が眠る土地を奪われた人たちの悲しみの情景を美しいメロディーにのせた。風呂敷包みからお菓子を出して、基地の金網越しに両手を合わす老婦人の姿を思い出して、栄昇が歌にした。「アンマー我慢のオリオンビール」は、「オジー自慢の−」に代わる宴会ソングになりそう。石垣島出身のプロ野球選手、ロッテの大嶺祐太選手(22)を応援する「爬竜舟(はりゅうせん)」もある。

 「おもろまちで拾った恋だもの」は、演歌調のデュエット。「スナックでもりあがる、というのが裏テーマ」(栄昇)にぴったりだ。合宿した一軒家の隣にたまたま住んでいた音楽仲間のマーキーを思い付き、深夜に頼み込んで参加してもらった。ほかにも「沖縄だからこその偶然がいっぱいあって」(上地等)バラエティーに富んだ曲が並んだ。

 「会ったこともないひいおじぃやひいおばぁにおうかがいをたてる感じ」(栄昇)で創作するというオモトタケオシリーズ。「島唄は沖縄のものじゃなく、日本の中の一つの歌だと自分たちで意識できた。1、2が沖縄に来てくださいというモノだったとしたら、3はソーキそばはどこがおいしいかというディープな情報。そこに進歩があると思う」と島袋優(41)が語った。

 シリーズは、今後も続け、沖縄からの移民が多いハワイやブラジルのミュージシャンとの交流もしてみたいという。

     (本庄雅之)

 

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