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【プロ野球】由規161キロ 日本人で初の160キロ台2010年8月27日 紙面から ◆横浜9−3ヤクルト20歳の若者が、プロ野球界の歴史を塗り替えた。ヤクルトの由規が、自身の持つ日本人最速の球速記録を3キロ更新する161キロをマーク。日本人投手として初めて160キロ台の領域に足を踏み入れた。 5回、1死走者なしでのスレッジの打席。剛球がうなりを上げた。“歴史的1球”は5球目、この日の98球目だった。カウント2−2から、内角低めへの直球が川本のミットに突き刺さった。電光掲示板に表示された数字は「161」。判定はボールだが、そんなのは関係ない。大きなどよめきが神宮を揺らした。「今までにない感じで指にかかった。手応えはありました。大幅に記録を更新したのでうれしいし、自分でもびっくりした」。由規にも確かな感触が指先に残っていた。 「本当は夏は嫌いなんです。オフの方が涼しくて動きやすいし。春は花粉症なので、夏になるとホッとするのはありますけど」。そんな言葉とは裏腹に、夏場に入って素質が開花し始めた。今季は6月以降、12度の登板で8勝2敗。高校生だった3年前の夏は155キロをたたきだし、「甲子園最速」の称号を手にした。大きく成長を遂げた今夏、「日本人最速」の座を揺るぎないものにすると同時に、球界のエースへの階段も着々と昇っている。 試合は敗れ、チームの神宮での連勝は球団タイ記録の11でストップ。本拠地で敗れるのは7月18日の阪神戦以来39日ぶりで、後半戦では初めてだった。由規自身の連勝も4で止まった。それでも、神宮の杜で見せたインパクトは絶大だ。こん身のスピードボールは、ツバメ党ばかりか、相手ファンも魅了したに違いない。 プロ野球記録は、2008年6月に巨人のクルーンが出した162キロ。伸び盛りの20歳。次に目指すのは、クルーンを超え、「日本球界最速」の称号だ。 (臼杵秀之)
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