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【プロ野球】ラミ王超え8年連続100打点 巨人6発 再奪首2010年8月27日 紙面から
◆巨人10−4中日その一発が何を意味するか知っている。だから、巨人のラミレスは打った瞬間、両腕を突き上げて、右人さし指を一塁ベンチへ向けた。1回無死一、三塁。打球は左翼バルコニー席を飛び越えて、照明下の壁面を直撃した。推定140メートルの特大40号3ランで打点は3けたの102に到達。ヤクルト時代の03年から8年連続となる100打点を達成し、王貞治(巨人)が持つ7年連続の日本記録を抜き去った。 ダイヤモンドをゆっくり回ってベンチに戻ると、新記録を告げるアナウンスが流れる。花束を渡されたラミレスは、誇らしげに高々と掲げた。「偉大な王さんの記録を塗り替えられて本当にうれしいし光栄。巨人で成し遂げられたことに意味がある」。背番号1の先人と同じユニホームに身を包んで、球史にその名を刻み込んだ。 01年、ヤクルトに入団した時は「お金を稼いで1年で帰るつもりだった」という。そんな思いに反して、ベネズエラ生まれの男は最強打者への道を歩み始める。変化球が多い日本流の攻めに対応するため、ステップ幅を小さくした打ち方に改造。「試合は70%をメンタリティーが占める」と準備を怠らず、DVDを用いた配球の研究にも力を注ぎ込むようになった。異文化に溶け込む努力も人並み以上。自らのサインには「ラミちゃん」と日本語を書き込む。和魂洋才ならぬ「和魂和才」で「世界の王」を超えた。 7回には左翼席へ41号2ラン。「2本打てて気分がいいよ」。40発以上は2年ぶり3度目。2冠王へ向けて突き進む。 次の目標は決まっている。「2000安打を打ちたい」。残り328本。「最終的に日本で監督をできたらいい」と引退後まで視野に入れる。この日5打点の助っ人に乗せられ、チームは10得点で快勝。1日で首位に返り咲いた。不動の4番がいる限り、チームが沈み込むことはない。 (永山陽平)
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