合成麻薬MDMAを一緒に飲み、容体が急変した飲食店従業員の田中香織さん=当時(30)=を放置、死亡させたとして保護責任者遺棄致死罪などに問われた元俳優の押尾学被告(32)の保釈請求をめぐり、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は26日までに、被告側の特別抗告を棄却する決定を下した。押尾被告は9月3日から行われる公判を、保釈されないまま迎えることが決定的。異例ともいえる7度の保釈請求は、一度たりとも認められることはなかった。
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芸能人として迎える初の裁判員裁判まで1週間、押尾被告の必死の保釈請求は結局、認められることはなかった。
押尾被告は、2月3日から計7回にわたり、東京地裁に保釈を請求したが、いずれも却下。23日には最高裁判所に特別抗告を行ったが、これも棄却された。
押尾被告側の一連の行動について、筑波大学名誉教授の斉藤誠二氏(78)=刑法、刑事訴訟法専門=は「従来の裁判手続きからすると、7回の保釈請求というのは異例の多さ。やはりいまだに供述内容にあいまいなところがあって、物的、人的証拠を隠していると判断されたのでは」と話した。
押尾被告は昨年12月に麻薬取締法違反(譲渡)の疑いで逮捕されて以来、東京拘置所に拘置中。裁判を前に“シャバ”に出たい気持ちが強かったとみられるが、最高裁からも待ったがかかってしまった。
押尾被告は今月発売されたファッション誌で、“獄中日記”を公開。「押尾学と言うブランドを剥奪(はくだつ)され死に物狂いで無罪を取る。負ける可能性が高くても真実にじゅんじていさぎよく戦って散ると言う覚悟で行く」とし、罪状認否から争う構えを見せていた。
裁判員裁判は東京地裁で、9月3日から9日間の日程で開かれる。土、日や休廷日を挟み、14日の第7回公判で結審。16日に評議が行われ、17日に判決が言い渡される予定。