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ソニー、“菅製損失”2240億円 政権2カ月半、時価総額16兆円消失

8月26日8時15分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

 円高、株安の連鎖が東京株式市場の上場企業に深刻な影響を与えている。25日の東京外国為替市場の円相場は1ドル=84円台半ばで推移。日経平均株価は3日連続で最安値を更新し、約1年4カ月ぶりに8900円を割り込んだ。東証1部上場企業の時価総額は、菅直人政権発足後から約16兆円も消失。「円高不況」の様相を呈してきた。

 東証1部に上場する国内企業の時価総額は、25日終値で約274兆2000億円となり、今週だけで7兆円以上もの富が失われた。菅政権が発足した6月8日からの時価総額の目減りは16兆円に達する。民主党政権が発足した昨年9月からの減少幅は約32兆円で、わずか1年足らずで日本の代表的企業の資産価値が1割目減りした計算だ。

 東証1部銘柄のうち、株価の年初来安値を更新したのは、輸出関連企業を中心に390社に達した。時価総額トップのトヨタ自動車の時価総額は菅政権発足時から9999億円目減りし、減少幅が1兆円に迫った。また、ソニーが2240億円減少したほか、パナソニックも2796億円減った。

 2010年4〜6月期決算で増収増益を記録した企業が多いだけに、一方的な相場下落に企業経営者らは「円高以外の理由がなく、株価の底が見えない」と不安の声が上がる。

 「月内に発表される統計で、米国経済の先行きは不透明感が増す」(第一生命経済研究所、桂畑誠治主任エコノミスト)と予想されるなか、今後も「想定以上の円高で、下期の業績見通しを下方修正する輸出企業が続出する」(日興コーディアル証券、西尾浩一郎マーケットアナリスト)と悲観的な見方が浮上。日本経済を牽引(けんいん)してきた輸出関連企業の失速が鮮明となれば、いっそうの株価下押し圧力につながるのは必至だ。

 株価の下落は、企業の信用低下を招き、融資や社債発行なども含め資金調達が困難になる。需要の先行きも不透明な中で、資金調達も難しくなれば、企業の設備投資意欲が急激に低下しかねない。ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次主任研究員は「政府・日銀の対応によっては、日経平均が8000円を割り込む可能性が高い」。

 また、市場に押されて政府・日銀が金融緩和策を実施したとしても効果は短期的で、「年内は1ドル=80円台の記録的円高水準が固定化する恐れがある」(同)との指摘もあり、円高不況を回避するすべは今のところみえていない。

 強い自国通貨を国益としてきた米国でさえ、ドルの下落を容認し、欧州や中国もその姿勢に追従する構え。主要通貨では円の独歩高が続く現状を放置してはならない。迅速な政策展開を求める市場の声は高まるばかりだ。(高山豊司)

                   ◇

 ■主な輸出関連企業の時価総額の減少額

 企業名    25日の終値(円) 減少額(億円)

 パナソニック     1043    2796

 ソニー        2386    2240

 シャープ        820    1277

 トヨタ        2910    9999

 TDK        4240    1179

 リコー        1074    1579

 キヤノン       3425    3534

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最終更新:8月26日8時15分

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