梨元さんが追い続けた“のりピー事件”がスクリーンで再現される。
同作は、「多くの人に薬物の恐ろしさを知ってもらいたい」と梨元さんが筆をとり、昨年10月6日に発表した著書を原作に、事件の真相に迫るドキュメンタリードラマ。梨元さんは取材現場での中継や突撃リポートをする本人役で計20分登場。昨年12月、ひざの痛みを抱えながら九州に飛び、酒井の最初の継母にインタビューした貴重なシーンも収められている。
この日、東京・銀座で行われた試写は、マスコミ関係者を一切シャットアウト。映画関係者によると、ドラマ部分で女性記者に扮した主演女優の街田しおん(38)をはじめ、スポンサー、配給会社など約40人が集まったという。
上映後、サンケイスポーツの直撃に応じた笠原監督は「ここまで来られてうれしい。梨元さんにも見せたかった…」と唇をかんだ。
完成までには紆余曲折があった。製作発表は、昨年11月下旬、同10月のドキュメンタリー部分のクランクイン後に行われたが、主演予定だった女優、えまお(42)がイメージダウンを危惧し撮入前日にドタキャン。資金繰りも困窮し、今年1月公開予定が大幅に遅れ、完成に黄信号がともったこともあった。
だが、笠原監督は、今月8日に病院を見舞った際、「編集長役を演じたかった」と最後まで映画を気にしていた梨元さんと交わした「命をかけて映画を撮ろう」との約束を胸に何とか試写にこぎつけた。
とはいえ、梨元さんの悲願だった酒井本人のインタビュー出演は実現できていない。笠原監督は、関係者を通じて現在も粘り強くインタビュー交渉を行っており、「秋の公開前日まで粘るつもり」と強い意志を見せていた。