藪、小林雅、大家…　メジャー帰り投手をありがたがる時代は終わった

　楽天の中継ぎ・藪の投球が、「メジャー帰り」という幻想に改めて終止符を打った。

　２５日の日本ハム戦、１点ビハインドの七回途中にリリーフしたものの、いきなり暴投で１失点。その後も生命線ともいえるスライダーを打率２割台前半の大野に、左翼スタンドに楽に運ばれた。計３失点、火消しどころか火に油を注ぐ結果になった。もっか防御率は６．７５。メジャー帰りとはいえ、昨季ＳＦジャイアンツをクビになり３Ａでも通用せず、日本に渋々帰ってきただけなのだ。

　役に立たないメジャー帰りの投手は藪だけではない。０８年にロッテからインディアンスに移籍した小林雅も、今季入団した巨人ではリリーフとして期待されていたが、現在は防御率５．１４で二軍調整中という体たらくだ。９８年以来の国内復帰を果たした横浜の大家（前インディアンス）も４勝７敗、防御率４．５２。いずれもチームの起爆剤、主力として期待されたが肩透かしに終わっている。

　大リーグの事情にも詳しいスポーツライターの友成那智氏はこう話す。

「確かに日本の野球はメジャーに比べて打者のレベルでは落ちますが、投手に限れば彼我の差は少ない。逆に言えばメジャーで活躍できず、マイナーでもお払い箱になった投手が活躍できるほど日本は甘くない。メジャーではストライクゾーンがボール１個分広かった外角は、日本では狭くなる。メジャーの選手はボール球をガンガン振ってくれるが、日本のバッターは選球眼がいい」

　そもそも、各球団は毎年高額の契約金を費やして新人選手を獲得している。トウの立ったメジャー帰りをありがたがって使うよりは、彼らを育成して起用した方がよほど健全だろう。

　今季でオリオールズとの契約が切れ、日本球界復帰も視野に入れているという上原にも同じことが言えないか。「上原がオリオールズと契約延長するといっても、せいぜい球団の出す条件は単年１００万ドル（８４００万円）程度。これ以上の条件はあり得ない」（前出の友成氏）という。

　大リーガーの平均年俸は３億円を超える。上原には阪神と横浜が関心を持っていると報じられているが、大枚はたいて複数年契約を結んだ揚げ句、ホゾをかむことも大いにあり得る。

（日刊ゲンダイ2010年8月26日掲載）