米高速鉄道:参入企業に”戦争責任”ただす新法可決 加州

2010年8月26日 18時33分 更新:8月26日 19時51分

 【ロサンゼルス吉富裕倫】米カリフォルニア州下院は25日、高速鉄道計画の入札参加企業に、戦時中の捕虜輸送などへの関与情報を明示するよう求める法案を可決した。州上院も可決しており、州知事が署名すれば成立する。日本やフランスなどの外国企業が参入を目指す鉄道商戦に、戦後補償問題が影響する可能性が出てきた。

 新法によれば、42~44年の第二次大戦中、強制収容所や捕虜収容所への列車輸送に関与した企業は、当時の輸送記録の有無や被害補償を行ったかどうかなどの情報を入札に先立ち開示しなければならない。入札資格のはく奪など懲戒規定はないが、企業に説明責任と戦後補償を促す狙いがある。

 もともとフランス国鉄がユダヤ人をナチスドイツの強制収容所へ輸送したことを念頭に法案が提出されたが、州上院では日本が戦時捕虜や約67万人の韓国、朝鮮人を鉄道で連行輸送した経緯も審議された。

 州上院当局者は毎日新聞の取材に対し「民営化された後継企業にも同法が適用される」と述べた。戦時中政府直轄だった鉄道は国鉄を経てJRに民営化された。新幹線システムを売り込む日本企業連合の一員として参入を表明しているJR東日本が同法の対象となる可能性がある。

 加州の高速鉄道は総額約450億ドル(約4兆円)といわれ、日本やフランスのほかドイツ、スペイン、中国、韓国など米国外企業が参入を狙っている。

 JR東日本の広報担当者は、「受注の軸となる日本のメーカーや商社にどう協力していくか、内容も方法も決まっていないので、現時点ではコメントできない」と話している。

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