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「悪いコトをする人がいない組織」を作るための3つの視点

8月27日13時39分配信 Business Media 誠

「悪いコトをする人がいない組織」を作るための3つの視点
「動機」「機会」「正当化」の3つが揃ったときに起こるとされる不正。一般的には「機会」に注目して、ルールでがんじがらめにすることで不正を防ごうとする企業が多いが、筆者はそれ以外の2つに注目するべきだと主張する
 不正は、「動機」「機会」「正当化」の3つが揃ったときに起こると言われます。いわゆる不正のトライアングル。普通のやり方や自分達の力量では到底出来ないような難しい問題や高い目標が課せられた状態に置かれると、不正をはたらく動機が生まれます。

 次に、誰にも見られない場があったり、チェックされない、バレないような状況があったりすると、その不正な行いを実行することができる機会が生まれます。

 最後に、不正だと分かっていても「ほかにもやっている人がいるはずだ」「昔から、やられてきたことだ」「これ以外に方法はない」「これくらい大したことではない」といった理由をつけ、不正な行いの実行を正当化して、初めて不正が起こる……というわけです。

 例えば、「白濁していた温泉のお湯の色がだんだんと透明になってきた」という状況があったとします。これをまた、白く濁ったお湯に戻すのは相当無理だと考えると、「どんな方法を使ってでも(入浴剤を使ってでも)お湯を白くしなければならない」という動機が生まれます。

 次に、誰にも見られることなく入浴剤を入れる時間があり、それをチェックされることもないという機会があり、さらに「お客さまは白濁していることで満足するのだ」「ほかの旅館だって、少しくらい入浴剤を使っているに違いない」「こうでもしなければ、お客さまに来てもらえなくなる(のだから仕方ない)」といった正当化が行われて不正が現実に実行されることになります。

●不正を防ぐためにどうすればいいのか

 このように3つが揃ったときに不正が行われるということは、言い換えると、不正を防ぐにはどれか1つを消せばいいということでもあります。

 そこで、コンプライアンスに関する講座で、私が「それでは3つのうち、どれに着目しますか?」と問いかけると、ほとんどの人は「機会」と回答されます。「不正をはたらく機会を与えないこと、管理の強化こそが重要だ。そのためには、業務を進める手順を細やかにルール化し、これを監視・チェックする体制を作り、報告の義務付けや監査の実施といった仕組みにせざるをえない」という発想です。

 これももちろん1つのアプローチではありますが、現場の自由や付加価値時間を奪ってしまう、何かが起こるたびにルールや仕組みが追加されていく、しまいにはルール通りにやることを目的にした仕事ぶりが横行する、といった弊害もよくある話で、このような管理・マネジメントに疲れきっている現場のみなさんも多いことだと思います。

 実際にコンプライアンスが組織のテーマとなると、「機会」に視点が集中し、ルールとチェックに終始してしまうような会社が非常に多く、それが収益性の向上や組織の活性化に逆行しているのは分かっているけれども、不正を防ぐためには仕方がない……とあきらめているというのが大方の今の状況と言っていいでしょう。

●「動機」や「正当化」にも注目することが大切

 「動機」や「正当化」にも着目してみることが大切です。不正を思いつくような「動機」を与えないためには、組織や個人に設定された目標が合理的で適切かどうか、与えている課題が力量や状況に合ったものなのかどうか、仕事の質・量と処遇のバランスがとれているのかどうかといった視点で考え、問題がある(動機が生まれる可能性がある)ならその修正を図らねばなりません。不合理で無理のある目標や、解決・進ちょくが困難な課題、不当な処遇などは不正に思いが至る可能性をはらんでいるはずです。

 また、動機があって不正を思いつき、実行する機会があったとしても、その実行を「正当化」させないためには、組織の存在意義や仕事の目的、経営の方針や経営者の姿勢・言葉が各々の意識にしっかりと浸透しているかどうかという視点が必要です。「顧客や社会に対してどのように向き合うべきか」という価値観、考え方や行動規範が明確にされ、これが組織全体に支持されていないと、正当化が起こる可能性があるということです。

 企業が発表している倫理憲章などを読んでいると、「誠実性」「良心」といった言葉が共通して盛り込まれていますが、そのような価値観を時間をかけて組織に浸透させていくことはコンプライアンス上、非常に重要かつ効果的なアプローチです。(川口雅裕)

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最終更新:8月27日21時40分

Business Media 誠

 

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