太い縁で結ばれたイオン労組「拡大同志塾」生の沖縄訪問

                                  沖縄国際大学大学院教授 比嘉 堅

はじめに
 
暦では霜降りの時節というのに、沖縄は日中の気温が30度近い汗ばむ陽気だ。沖縄を訪問されたイオン労組拡大同志塾生の皆さんには、照り返す南国沖縄の太陽が、一段とまぶしく大きく見えたのではないだろうか。沖縄では太陽のことを、方言で「テイーダ」という。万国を照らし、万物に生命のエネルギーを与えてくれるテイーダに感謝したい。そして今回の沖縄訪問が好天候に恵まれ、順調に無事に終了したことを共に喜び合いたい。
 イオン労組「拡大同志塾」兼「スローライフ研究会」メンバーの沖縄訪問のテーマは、
「スローライフ、アグリビジネス、戦争と平和(基地)、沖縄文化」であった。イオン労組の組合員がいかに「生きる・暮らす・学ぶ・働く」か、ということを目指して活動していることからすると、今回の沖縄訪問はそのテーマに相応しい時宜を得たもの
であったといえよう。

沖縄訪問の意義
 
イオン労組拡大同志塾生の沖縄訪問メンバーとスケジュールをみると、
 訪問期日は平成17年10月28日(金)〜31日(月)
 訪問メンバーは
中央執行委員長の新妻健治(敬称略)をはじめ、中央執行委員の雨宮 忍、太田克己、高橋泰彦、西川 聡、中井 浩、船田洋一、坂田浩一、中村敏之、天野雄二、池田和隆、野呂岳央、末吉 真、松本英一、山永ユカリ、橋本 薫、山本 薫、角谷由美子、そして(株)メデイア・ミルの山本英二、小林民生、同志塾・スローライフ研究会指南役の北村三郎先生の21人
 訪問スケジュールは、
10月28日(金):普天間飛行場近くの佐喜眞美術館(佐喜眞道夫館長)で「沖縄戦」の様子を写真・絵画で鑑賞。イオン労組同志塾生といずみ会有志との交流の夕べ。いずみ会(又吉定夫会長)有志による琉球古典音楽と舞踊を楽しむ。
10月29日(土):普天間飛行場近くの沖縄国際大学でヘリコプター墜落事故現場視察・ビデオ視聴、大学5号館屋上から普天間飛行場見学、比嘉 堅沖縄国際大学大学院教授の「戦争と平和」講話。いすゞ自動車沖縄技術研修生の内間安盛さんのEM施設農場見学、沖縄国際大学大学院生の池宮城美幸さんの実家訪問と養豚場見学、畜産と農業のアグリビジネス、スローライフ生活見学。美幸さんのお父様は、夕食に丸焼きの豚一頭をご馳走してくれた。夜は宜野湾市のライブハウス「島唄」でネーネーズの沖縄民謡と舞踊を楽しむ。
10月30日(日):読谷村のチビチリガマ、ゾウの檻、基地内の村役場で比嘉涼子さんの沖縄戦・基地の話を聴取。東村の沖縄国際大学セミナーハウスで東村ふるさと振興株式会社専務の山城定雄さんの講話、宮城茂東村長、比嘉堅沖縄国際大学大学院教授、新妻健治イオン労組中央執行委員長を囲んでのシンポジウム、交流会。交流会では村助役の三味線演奏で全員カチャシーを踊って楽しむ。
10月31日(月)東村つつじの里、屋外オートキャンプ場、パイン畑、マングローブ林等見学。名護市のイオンショッピングセンター内で沖縄料理の昼食、午後4時過ぎの飛行機で帰京。
 このように、イオン労組中央執行委員のメンバー21人が短いスケジュールの中で、イオン労組員の意識改革、生活向上、生き甲斐、労働環境等の改善に向けた実践活動の一環として、沖縄を訪問し研修された意義は大きいものがあったように思う。
 沖縄訪問第1日目の佐喜眞美術館見学と第2日目のチビチリガマ見学は、佐喜眞道夫館長と比嘉涼子さんのお二人が沖縄戦の生々しい実像を訴え、心の底から恒久平和を願い、祈る姿が垣間見られたに違いない。イオン労組「拡大同志塾」兼「スローライフ研究会」の沖縄訪問テーマの1つ「戦争と平和」への願いが、訪問メンバーの心に響いたのではないだろうか。その思いは私の心も同じである。私が勤務する沖縄国際大学に、現実に米軍のヘリコプターが墜落したのだ。毎日講義をする教室の屋上から普天間飛行場が眼下に見える。沖縄戦では3人ないし4人に1人が死ぬという激戦だったが、平和な今日でも戦場を思わせるヘリコプターや対戦哨戒機の爆音が鳴り響く沖縄の現実を、イオン労組のメンバーは見たのだ。
 そしてイオン労組拡大同志塾が掲げるもう1つのテーマ「アグリビジネス」と「スローライフ」が第2日目のEM施設農場見学と池宮城家訪問・畜産施設見学、東村の村興し講話と施設見学で実現した。内間安盛さんの環境に優しい安全と安心の無農薬EM農業の実践と池宮城家の畜産・ハム・ソーセージ食品加工のアグリビジネスの実践、いずれもスローライフ生活を垣間見る思いがした。第3日目の東村の村興しとスローライフ生活の環境づくりには、村長はじめ村役場のリーダーの並々ならぬ努力と意欲が見られた。21世紀の新時代が求める先取りした行政の目と住民のニーズが見事にマッチした取り組みが伝わってきた。心の癒しと生き甲斐の里づくりに村民の心は一つになり、都市化時代の人々が求めるニーズを先取りした村づくりを展開しているのが東村だ。地域特性を生かした交流型モデル農村を目指す東村の村づくりに大きな期待が寄せられている。

縁結びの北村三郎先生に感謝
 
今回のイオン労組拡大同志塾生の沖縄訪問は、指南役を務められた北村三郎先生のご尽力により実現された。ご縁を結んでいただいた北村先生に心から感謝を申し上げたい。私も44年前、いすゞ自動車沖縄技術研修生の頃、北村先生に大変お世話になった。これまで先生とはハガキや手紙の交換で人情を暖めてきたが、それが今回のイオン労組拡大同志塾生とのご縁に繋がっているように思われる。この太いご縁を大切にしていきたい。



                 
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