家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」問題で、宮崎県は27日に予定通り「終息宣言」を出す。殺処分した家畜の排せつ物処理は25日、約97%の農場で堆肥(たいひ)化が終わった。県は残る約30農場も宣言に間に合うよう完了するとしている。4月20日の1例目判明から4カ月余り。終息に向けた作業は最終段階に入った。
県は30日にも、県有施設など4市町9カ所で、「観察牛」の試験飼育を始め、感染リスクがないか確認する。被害が集中した川南町など5町は、9月中旬から発生農場で試験飼育を始め、11月には本格的な家畜飼育を再開させたい意向。
県内約1200の農場に残った排せつ物には、ウイルスが含まれている可能性がある。農林水産省は、排せつ物を42日間シートで覆う処理で十分との見解だったが、県は堆肥化による高温消毒を計画。家畜伝染病予防法上は不要な処理をあえて行うことで、より高い安全性を追求した。ところが「目標設定が高すぎた」(東国原英夫知事)ことから、堆肥化が終わらない農場が相次ぎ、23日に処理条件を緩和した。
また県は25日、農業や商工、市民団体の代表らを交えた県口蹄疫対策検証委員会(座長・原田隆典宮崎大工学部教授)を発足させた。口蹄疫をめぐる一連の行政対応などを検証し、危機管理体制の構築に生かす。
=2010/08/26付 西日本新聞朝刊=