カミイフミヒロ著
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『商社に就職できて良かったぁ』
新風舎 2005年6月15日 179頁 1200円+税
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ttp://kennedyfamily.at.webry.info/201001/article_2.html1968年、大学を卒業した著者は伊藤忠へ入社。
それから36年間、綿花・繊維・情報・人材という様々な分野で、著者は与えられた仕事に全力投球で打ちこんできたのだが、本書はその貴重な記録である。
とりわけ
【1 繊維時代 1968/4~】 (17~75頁)
は、外国に行きたい一心で商社に入った著者が熱望した海外勤務時代の回顧録であるだけに、まさに血沸き肉躍るとでもいうべき内容で、思わずひきこまれて一気に読んでしまった。
テキサス州ダラスといえば、日本ではケネディ暗殺の地として有名であるが、著者赴任当時のダラスの街で繰り広げられていた綿花貿易のまさに最前線での商社員の奮闘ぶりは、紙面から綿ぼこりが出てくるような臨場感にあふれていて、読む者を決して飽きさせない。
ときどき挿入されている写真も、またいかにもアメリカ~という雰囲気で一杯で、たとえばTVドラマ「奥さまは魔女」でサマンサが運転していたようなでっかいアメ車(フォード・ムスタングやフォード・グラナダ)を著者の奥さんも子どもの送り迎えに運転してたというのを知ると、ああ、私もアメリカに住んでみたかったと、60~70年代アメリカ大好き人間にとっては、わくわくするような文章が多い。
アメリカでは、日本と違って(日本ではちょこっとこすっただけでえらい騒ぎ)車のバンパーは当てるために存在する、などという一節は、やはりアメリカに実際に住んでみないとわからないアメリカのリアルな姿のひとつだなぁ~と感心したりする。
また、商都ダラスには観光名所といったものはなく、著者はお客様や日本からの出張員がダラスを訪れると、ケネディ暗殺で有名なデイリープラザ広場へ案内したそうで、そのために
「事務所から広場へ歩いて行く道すがら、暗殺に関わるミステリーを説明していたので、その手の本が出るたびに買い求め、真剣に真実を追究したりして、その為に、当時はFBIやCIAに自分が捕まる夢を頻繁に見たものです」(51~52頁)
と、もはやケネディ暗殺研究家とでもいうほどにケネディ暗殺には詳しくなり、ダラスを離れてからも、ケネディ暗殺に関する本には目がいってしまうようになったそうである。
また、
【2 情報通信時代 1983/4~】 (77~139頁)
ならびに
【3 人材サービス時代 1993/7~】 (164~175頁)
は、それぞれ新しい産業分野の創成期における、これもまた貴重な記録となっていて、読んでいてなるほどそうだったのかと感心することが多いのだが、とくに人材サービス時代の
②私ならこうしたいと思っています。(167~175頁)
における著者の提言には、人材派遣の現場で汗を流した著者ならはの鋭い視点が感じられ、人材会社のトップ、採用側の人事担当者、政府の担当者、のみならず広く国民一般にとって、耳を傾けるべきものが多いと思う。
その中でも、とくに印象に残った提言をここに紹介して、締めくくりの言葉としたい。
「大勢の『シニア』がリストラされている一方で、もう引退すべき『超高齢者』が代議士、県会議員、特殊邦人他に居座っています。官が率先垂範民間の模範として(本当はこれまでの筋論からすれば65歳としたいが)70歳以上で官界、特殊法人で働いていて、もう給与が出なくても生活できる人たちに(無給の人も含め)一斉に退いて頂き、後進に道を譲ることにしたらいかがですか。」(173~174頁)
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