在特会幹部の遅すぎる逮捕に寄せて
昨年12月4日の京都朝鮮第三初級学校への暴力的な襲撃に関して、関西の在特会の幹部が4人逮捕された。逮捕されたのは西村斉、川東大了、中谷辰一郎、 荒巻靖彦の4人。彼らは当時、主権回復を目指す会関西支部を名乗ってもいたから、東京の主権回復の事務所にも家宅捜索が入った。もちろん、在特会会長である桜井誠の自宅(=在特会本部)にも。
以下、事件の概要と逮捕に関する報道まとめ。
http://www2.atwiki.jp/kusanonemaze/pages/115.html
朝鮮学校は12月に在特会を告訴していたから、この逮捕は遅すぎたと思う。上記4人を中心とした「TEAM関西」を名乗る一派は、それから8カ月の間に同様のパターンで水曜デモ襲撃事件や徳教組襲撃事件、ヒゲトダ暴行事件などを起こしているわけで、警察の不作為によって被害が拡大したと言わざるをえない。
まあ公安が泳がせていたのでしょうけども。
しかし思うに、こんなものはその都度粗暴行為で何度でも逮捕すればいいのである。彼らは思想犯でもなんでもない。ただの粗暴犯である。彼らの暴力が国家に向かうことはありえないし、国家に対する脅威にもなりえないだろう。あるいはヤクザのように裏社会を形成して計画的・組織的に犯罪行為を行う集団でもない。産経の報道によれば公安が「在特会の実態がつかめない」と言っていたそうだが、実態あるいは実体なんてものは、ないのだ。
それぞれ個別の「行為」があるだけで、背景に思想はないし、組織もない。もしその「実体」のようなものを求めるとしたら、インターネット上の無数の匿名のヘイト書き込みだろう。彼らは、あれが現実社会に具現化した存在にすぎないのだ。これは警察がどうこうできる範疇を超えているわけで、だからこそ、ネットでお気楽に犯行予告を書き込むやつらと同じように、その都度その都度の違法行為を罰していくという方向でいいんじゃないかと思う。
逮捕されたり権力に弾圧されてまで貫き通す思想を、彼らは持ちあわせていない。そして、その主張がヘイトである以上、いかなる意味でも確信犯(Überzeugungsverbrechen)にはなりえない。公安じゃなくてマル暴が担当すればいいのではないか、と思う。
アンチ在特会の立場で行動している側に多い左翼は、警察が彼らを逮捕したことを素直に喜べない人も多いようだけど、これは泥棒や詐欺師や通り魔が逮捕されたという話と同類だから、普通に喜べばよいのである。警察は使ってナンボだろう。
彼らが今後起訴されて有罪になるのかどうかはわからないが、いずれにせよこれで終わったわけではない。しかし、なんとなく在特会に賛同しなんとなくデモに参加し、なんとなくヘイト・スピーチをまきちらしてなんとなくお気軽に他者の尊厳を踏みにじる行為をしていた有象無象の人たちに対しては、これを機会に在特会から距離を置くようになることを強く期待する。君らはあまりにも気楽に在特会を支持しているようだが、彼らは単なる反社会的集団にすぎない。君の生活を賭けるほどの価値は、在特会には一切ないんだよ。