金総書記、平壌にカーター元大統領を残し突然の訪中
時期も状況も疑問だらけ
北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記(69)が26日早朝、突然中国を訪問した。大統領府の当局者はこの日、「金総書記専用の特別列車が深夜0時ごろに慈江道の満浦を通過し、中朝国境地域にある吉林省の集安に入ったことを確認した。これは、従来の遼寧省丹東を通るのとは別のコースだ」と語った。
金総書記は午後に吉林市へ到着し、故・金日成(キム・イルソン)主席が4年間通っていた毓文中学校や、北朝鮮が「金日成抗日遺跡地」と主張する北山公園、さらに吉林化繊工場も訪問したという。
後継者とされる三男ジョンウン氏が同行しているかについて、韓国政府の安全保障関連部処(省庁)では、「その可能性は高いとみられており、現在確認作業を行っている」と説明した。金総書記はこの日、吉林市内では最高級とされるホテルに宿泊した。また、中国の次期国家主席として有力視される習近平副主席が、金総書記を出迎えたといううわさもある。
金総書記の今回の訪中には、納得しがたい点が多い。平壌には現在、25日に訪朝したカーター元米大統領が滞在している。北朝鮮に抑留された米国人を解放させることが目的だが、金総書記との会談では、米朝関係や南北関係に影響を及ぼすような発言が飛び出すか、注目されていた。カーター元大統領は北朝鮮が指名して招待したことも、すでに分かっている。ところが現時点で、金総書記がすでにカーター元大統領と会ったという可能性はほぼない。つまりカーター元大統領を残して突然、中国に向かったのだ。これは、外交的な慣例では考えられないことで、北朝鮮での慣習とも合わない。金日成主席の遺訓統治が行われている北朝鮮で、1994年に金主席が大々的に出迎えたカーター元大統領を、息子の金総書記がこのようにあしらうなど、考えられないことだ。
この問題に関しては、「カーター元大統領がオバマ大統領の特使の立場でないことが明らかになり、金総書記はこのようなやり方で米国に不満を伝えた」との見方がある。ワシントンのある専門家は、「金総書記がカーター元大統領を冷たくあしらい、見せつけるかのように中国を訪問したのは、米国との関係改善よりも、自らのシナリオ通り行動することの方を重要視していることを伝えたかったからではないか」とコメントしている。
27日まで平壌に滞在予定のカーター元大統領も、微妙な立場となった。ワシントンではカーター元大統領について以前から、「北朝鮮に利用された」という非難の声が相次いでいる。米国務省は25日の会見で、「今回の訪朝は、カーター元大統領の個人的な旅行だ」と明言した。一部では、「カーター元大統領は北朝鮮での滞在日程を延長し、金総書記が中国から戻るのを待つかもしれない」という見方もあるが、これに関しては「可能性が非常に小さい」という声が支配的だ。
吉林省=崔有植(チェ・ユシク)特派員
ワシントン=李河遠(イ・ハウォン)特派員
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