金総書記訪中:前回の訪問から3カ月でなぜ?(下)
統一部当局者は「北朝鮮メディアの報道は、党代表者会議が本格的に始まったことを内外に示す意味合いがある。金正日総書記が金日成主席の中国国内の革命史跡地に向かった初日に報道があったことも偶然ではない」と指摘した。
韓国政府の一部からは「いくら聖地巡礼が目的だとしても、金総書記が中国まで出掛けて、誰にも会わないのはおかしい。重量級の関係者と会い、5月の訪中時にまとまらなかった問題を今回解決しようとするのではないか」と分析した。このため、金総書記が米朝、南北関係を大きく転換する重大な決心をして訪中に臨んだ可能性も指摘されている。
このほか、中朝首脳が5月に会談した際、さまざまな意見の食い違いがあったため、それを修復する必要があったのではないかとの観測もある。北朝鮮の内部消息筋によると、金総書記は5月の訪中時、胡錦濤国家主席に対し、中国の最新鋭戦闘機「殲10」の無償支援を要請したとされる。しかし、中国は「北朝鮮が誰かに攻撃されたら、われわれが守るから、北朝鮮があえて最新兵器を保有する必要はない」との論理で、要請を断ったという。
当時何の収穫もなく帰国した金総書記は、韓米両国が先月以降、北朝鮮による哨戒艦「天安」爆沈事件を受け、大規模な軍事演習を東海(日本海)や西海(黄海)で実施したことに不安を感じ、再び中国の軍事力に頼るべきだとの考えを深めた可能性がある。西海での韓米合同軍事演習を不快に感じている中国としても、金総書記が再び軍事支援を求めてきた場合、前向きな反応を示す可能性が出てきた。
外交筋によると、金総書記は胡主席が「内政面と外交面で戦略的な意思疎通を強化したい」と述べたことや、温家宝首相が「中国の改革開放経験を紹介したい」と述べたことに腹を立てたとされる。金総書記が最も嫌う「改革開放」に言及し、「内政干渉」を示唆する発言だったからだ。
京畿大の南柱洪(ナム・ジュホン)教授は「金総書記と胡主席による5月の会談は、特殊な関係に基づく正常ではない首脳会談だったことから、中朝双方に不満があった」と指摘した。金総書記による今回の「奇妙な」訪問の背景には、前回の訪中で生じた中朝間の意見の相違を解決するという金総書記の計算があるとの見方だ。
アン・ヨンヒョン記者
李竜洙(イ・ヨンス)記者
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