くねくね科学探検日記

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RSS ニセ科学とか(その2)

<<   作成日時 : 2010/07/31 21:39   >>

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オレが感じるのは、血液型性格診断みたいな怪しげなものを、基本的に信じはしないんだけれど、それともう少し穏やかにつきあっていこうとする人ってのが、もっといて良いと思うってこと。

肯定か否定かのどちらかってのじゃなくて、普段はそういう話が出ても適当にあわせてるけど、時々軽く茶化してみるとかね。

ニセ科学的なものってのは、確かに憂慮すべきところはあって、この言葉が作られたことで問題が明確になったと思う。

ただ、だからといって、色々な問題をニセ科学と、ホンモノ科学の二項対立の構図にしちゃうと、それはそれで現実から解離するんでないかなとも思うんだよね。

厳しい言い方をすれば、巷にあふれている、なにかの役に立つような科学情報、健康情報、美容情報などは、ほとんど全てがニセ科学みたいなものだ。

たとえば、ある食品を分析したら、こういう健康成分が見つかりましたとかいう話はよくある。

まあ、そこまでは形式的には科学かな。でも、だからといって、その成分が含まれている食品をたくさん食べたり、有効成分を取りだしてサプリメントにして摂取したりすることで、今よりも健康になる可能性はない。少ないじゃないよ。ない。

ある食品から何か成分が見つかったとしても、その食品の中には調べられていない無数の成分がある。それらの中には、話題の成分の働きを妨げる物が会ったり、全く無関係に健康にあまりよろしくない成分も含まれている可能性があるけど、そのことについては語られない。

あるいは、その成分は、欠乏すると悪さをするかも知れないけれど、過剰摂取しても良いことはないか、害かもしれない。ビタミンもミネラルも、ほとんどの場合過剰摂取は害があるしね。

風邪だからビタミンCと思う人は多いけど効果はない。

漢方薬の大半も効き目がある証拠はないし、鍼灸整骨も同様だ。カイロプラクティックは、マーチン・ガードナーもトンデモって書いているしね。ぎっくり腰で整骨院に行く人は多いけど、あれには西洋医学的なエビデンスはない。

日本ではたまたま漢方や鍼灸整骨は昔から馴染みがある伝統療法なので効果を疑うことがないし、施術者も極端に走って症状を悪化させることが少ないだけだ。

ホメオパシーは問題視されるけど、それは日本に古くからある伝統療法よりも利かないからじゃない。西洋医学的な観点の有効性を比較するなら、両者の効果に差はほとんどないだろう。ただ、外国から渡ってきたばかりの療法は、間合いの取り方に慣れていなくて、無茶する(他の標準療法は受けるな、ワクチンを打つなとか主張する)から危ないだけ。

では、こういうもの一切合切の存在は無意味かというと、そんなことはないと思うのね。

人間の状態を病気か病気でないかと二分して、それを治せるか治せないかという二つの判断のどちらかを選ばなければならないとしたら、厳密にはどの療法でも治せないってことが多くの人の人生の中で、ほとんど確実にいつか起きる。

でも、人間には癒らないことを受け入れて生きるとか、症状と折り合いをつけて生きるってなことがある。

つーか、変形性膝関節症とか、多くの慢性疾患的な物に関しては、ほぼすべてがそれじゃないかな。人が生きて老いていくと、あちこちが痛んで、日々、苦痛と共に過ごさざるを得なくなっていく。それを治せるかというと、ぶっちゃけ治せないんだよね。

そんなときに、人は何かを飲んだり、軽い運動のような習慣を続けたり、珍しい治療と称するものを受けたりする。

その結果、病気が治るわけじゃない。でも、症状がひととき和らいだような気がしたり、続ければいつか良くなるんでないかなって希望の糧になる。

それはプラセボじゃないのね。標準療法では寛解という言葉が近いかも知れないけれど、苦痛があっても、それと共に前向きに生きていくって状態だ。

実は現代のエビデンスのある療法にも、この程度のことしかできてない物は多いんじゃないかとおもう。

つまり、人が生きて行くには、こういう事実でないものを受け入れることが、必要な事は多いのね。極端な事例の存在で、その全てを否定することは、あまり好ましい行いって感じじゃないわけだ。

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膝の構造
膝の構造についての情報です。 ...続きを見る
膝の構造
2010/08/02 13:42

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コメント(16件)

内 容 ニックネーム/日時
>でも、症状がひととき和らいだような気がしたり、続ければいつか良くなるんでないかなって希望の糧になる。

そういうことを事前に家族なりに説明してからやるなら納得もいくけど、それをせずに人を騙すのは詐欺と変わらないと思う。そこがとても気持ち悪い。
asdf
2010/08/01 23:31
いろんな面で、宗教と同じですね。
人間にとっては、同じ役割(機能)を果たすのでしょう。
もし他の国の人に比べて、日本人がエセ科学を好きだという傾向があるのなら、明確な信仰心をもっていない事と関係があるのかもしれませんね。
yamarah
2010/08/02 00:04
はじめまして。

風邪とビタミンCについて検索すると、予防効果はないが治療にはある程度の効果があるという意見が大勢のようですが、それも違うのでしょうか?

鍼灸については、『オールザットウルトラ科学』の中では西洋医学では解明できないけど「何か」はありそうだというニュアンスだったと思うのですが、今回は全く否定されてるのでしょうか?

ウィキペディアで聞きかじった知識ですが、代替医療はアメリカなどで研究が進んでいて、一部は認められているようですが、それについてはどうお考えでしょうか。

今回の記事の趣旨はそれらを否定することではないのはわかっているのですが、一般に信じられていることを「ない」と言うのであれば、それなりに根拠を示して頂きたいと思います。
伊藤
2010/08/02 15:55
asdfさんが気持ち悪いと感じることはその通りだと思います。だからもし、あなたの身近な人がそういう状況になったとき、あなたが感じる気持ち悪さを伝えてあげてください。

ただ、そういう自分が感じる思いを、身近で具体的な誰かに伝えることと違って、一般論的で個人的なイメージを持てないような対象に同じ事をしても、余り意味はないとオレは思います。
まあ、余り意味がないと思うのはオレの考えで、asdfさんがそこに意味を見いだせると感じるなら、それはそれで良いと思いますが。
鹿野司
2010/08/02 16:39
yamarahさん
日本人がとくにと言うことはないと思います。
鹿野司
2010/08/02 16:43
伊藤
ビタミンCの件は、ライナス・ポーリングという二度もノーベル賞をもらったおっさんが、晩年いいだしたことで、影響力のある人の発言だったので、世界中でひろく様々に研究されました。
で、その結果として、今病院へ行って、かぜの予防とか治療にビタミンCが処方されることはありませんね。つまり、効果はないということです。ビタミンCに関しては極端な過剰摂取は発ガンリスクを高めることもわかってます。何事も過ぎたるは及ばざるがごとしってことね。

代替医療のことについては、今出ているSFマガジンに書いてあります。まあ、次の号が出てしばらく経ったら、こちらにも載せると思いますが。
鹿野司
2010/08/02 17:14
ご返答ありがとうございました。
ビタミンCについては、確かに大勢とはいえネット上の誰が書いたかもはっきりしない情報だったわけですから、信用するのは早計だったかもしれません。
漢方は病院で処方されるので、ビタミンCとはまた事情が異なりますね。代替医療の記事はその辺に注目しながら読ませて頂きます。
伊藤
2010/08/02 22:26
中国 時速1000キロの真空チューブ列車を開発中
http://japanese.beijingreview.com.cn/zxnew/txt/2010-08/02/content_288296.htm

こういう机上の空論みたいなのもニセ科学なのでしょうか・・・?
真空チューブ
URL
2010/08/03 01:36
真空チューブは違いますね。
鹿野司
2010/08/03 09:46
>サプリメントにして摂取したりすることで、今よりも健康になる可能性はない。少ないじゃないよ。ない。

γ-GTPの高すぎでサメ肝油を飲んだら、びっくりするくらい数値が下がったと友人から聞き、試したところ、私も同様に下がりました。その後数年間続けており、毎年の検査結果でも効果を実感しています。
私は中学の頃から鹿野さんのファンで、思考論理の6割方は鹿野さんの文章に影響を受けて構成されています。
そこで、鹿野さんが「効果が検証されていない」ではなく「効く可能性が0」と言い切るのであればそれなりの根拠があると思い、サプリ継続を再検討したいので、教えて頂けると有り難いです。
fun
2010/08/11 13:18
個人的な体験で、そんな気がすることはあるでしょうね。

人は個人的体験から、ものすごく簡単に自分なりの法則を導いて、それを固く信じるようになります。多くてだいたい2例経験すると絶対確実な宇宙の普遍法則と思ったり。( ・∀・ )

それは科学的なエビデンスとは本質的に異なるものだけど、それを見知らぬ個人に対していちいち暴き立てるのも野暮だなあと思うのです。それがここに書いてあること。

サメの肝油を飲んでいれば、前向きに人生を生きていけるんだという気持ちは、funさんにとって大切なんだと思う。

オレに勧められても、オレは飲まないけどね。
鹿野司
2010/08/11 15:17
御回答有難う御座います。
「効く」という科学的エビデンスが無いのは理解できるのですが、「効かない」という科学的エビデンスがあるのか知りたかった次第です。
ちょっとサメ肝油の宣伝のように取られてしまったかも知れませんが、私の個人的なコスト対効果として興味の話しですので、科学コラムのコメントとしては場違いだったかも知れません。
fun
2010/08/11 17:58
山本弘氏がブログで鹿野さんのホメオパシー論を厳しく批判しています。
私もほぼ山本氏と同意見で、実際に死者が出ている事例で鹿野さんの論はあまりに無責任だと思います。
このことについてできたらコメントをお願いします。
illuda
2010/08/26 21:33
オレは別にホメオパシーを擁護してるつもりないんだけどなあ。このブログ読んでそう思うの?山本さん、オレの言いたいところは上手に除いて書いてるしね。ほぼ同意見というのは、具体的にどういうところですか。
鹿野司
2010/08/27 07:21
よく知らない、深入りしたくないモノについて偉そうに講釈たれるのはよくない、というところですね。
なにしろ血液型云々と違ってこっちは生命の危険があるわけですから。
illuda
2010/08/27 09:24
どうやらilludaさんはオレの元の文章を読んでないみたいですね。
鹿野司
2010/08/27 10:38

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