東京・浅草と伊勢崎間を結ぶ東武伊勢崎線のJR両毛線乗り入れを目指し、県と沿線3市は9月、「JR両毛線活性化に関する連絡会(仮称)」を発足させる。実現に向けた最大の課題は採算性だが、伊勢崎線沿線では東京スカイツリー(東京都墨田区)の建設が進んでおり、県などは乗客確保が見込めると判断。同連絡会は東武、JR東の両社を説得する具体構想をまとめる方針だ。
県などによると、東武伊勢崎線は東京メトロ半蔵門線(渋谷-押上)などと相互乗り入れを行っており、両毛線への乗り入れが実現すれば、浅草・渋谷-伊勢崎-前橋-高崎間を1本のレールで結ぶことができる。
連絡会に参加するのは県、前橋市、伊勢崎市、桐生市。他市にも今後、参加を呼び掛ける。県によると、両毛線への乗り入れ構想は1980年ごろからあり、両毛線沿線の各市でつくる「両毛線整備促進期成同盟会」などで協議してきたが、採算性確保などの課題をクリアできず、具体的な進展はなかった。
今回、東京スカイツリーの建設が進み、各地で観光ツアーが組まれるようになり、沿線自治体の機運が一気に高まった。県は08年8月、有識者による県鉄道網活性化研究会(座長、今城光英・大東文化大教授)を先駆けて設置し、乗り入れ構想実現に向けた課題を整理してきたが、一部区間で必要となる線路の複線化は用地が十分にあるため可能という。
車社会の群馬で東京方面に向かう乗客確保も課題だが、連絡会で「駅に人が集まる街づくり」を協議し、構想がまとまり次第、東武などに正式提案する。
県は「前橋や高崎からの観光客が増えれば、東武、JRにもメリットがある。東京スカイツリーの建設は数百年に一度のビジネスチャンス。魅力的な構想をつくりたい」と話す。【奥山はるな】
毎日新聞 2010年8月27日 地方版