数日前の産経抄は「赤と黒」とスタンダールに引っかけて書いていましたが、菅直人首相と民主党の小沢一郎前幹事長との間で9月14日の代表選に向けて囲い込み、勢力示威、売り込み、神経戦、駆け引き、疑心暗鬼、足の引っ張り合い…その他みっともない動きが続いています。私も一応、政治記者の端くれではあるのですが、正直なところ、血湧き肉躍るどころか、うんざりげんなりお腹いっぱいというところです。
しかしまあ、そうは言っても、日本の首相を決めることになる代表選の行方を取材し、報じないわけにもいかないし、どっちにしろ「ろくなもんじゃない」と思いつつ、あれこれ考えないわけにもいかないのであります。そんな政局より政策を論じよ、とお叱りを受けそうですが、結局、なんだかんだ言って政策を決めるのも政局であることは、政治の現場を見れば明らかです。
なので、それぞれの政治家が自己保身と自己利益に利用している「茶番劇」だと思いつつ、それを熱心に追いかけざるを得ないと…とぐだぐだ考えていたところ、昨日、西岡武夫参院議長が記者会見し、「政治に残された時間と余白はあるのか」という所感を発表し、民主党代表選のあり方を批判しました。
本来、政党の枠外・中立的立場を「タテマエ」的ではあっても求められる議長が、こういう文章を発表するのは異例なことだし、批判もあるでしょうが、内容に興味・共感を覚えた部分があるので抜粋して紹介します。
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…これは別に西岡氏が菅首相を支持しているということではなく、あまり物事を安易に考えていて、言葉の軽い党内の空気や、また、それを煽っているようにも見えるマスコミ報道を批判しているのでしょうね。権力闘争というものを、あまりに軽くとらえ、覚悟もないままもてあそんでいないかと。
また、菅氏自身、これまで代表選が終わると「ノーサイドだ」という言葉を繰り返してきましたから。
西岡氏は、旧自由党時代は小沢氏と行動をともにした人物でもありますが、今回の発言は、小沢氏や、その威を借る取り巻きたちへの痛烈な一撃にもなっています。「語れる人材は、寡聞にして知らない」というのは、当然、長く付き合ってきた小沢氏も含めてでしょうし。
昨日は、この西岡氏の発言の後に鳩山由紀夫前首相がBSフジの番組に出演し、「ガチでやったら決して国民のためにならない。小沢、菅の両氏は2人とも(個性が?)強すぎる。そこで優しい私が仲介に入る」「自分は自分として、いい政策を作り上げてきているという自負はあった。友愛が旬の思想になってきている」と述べました。
この一言を聞いて、私は、本当に鳩山氏が首相を辞めてくれてよかった、と心の底から思いました。まったくろくでもない、自己愛ばかりが肥大したどうしようもない脳天気で自分勝手な人物だと再確認した次第です。
こんな人に代表選で支持する条件を突きつけられながら、「どうすればいい?」と電話する菅氏も菅氏だし、こんな人がいまだに発言権と影響力を持つ民主党もなんだかなあ、ですね。だいたい、政治とカネの問題で引責辞任した人物が、それから2カ月しか立たないのに、何をこんなに偉そうに振る舞っているのか。この人の勘違いは一生治らないと知りつつも、腹立たしい限りです。
by 033370
議員会館から見下ろせる首相官…