次々に悪材料が飛び出して、世界の市場で株安の連鎖が起きている。米国の中古住宅販売の不振を引き金に、ニューヨーク市場でダウ工業株30種平均は一時1万ドルを割った。円高にも見舞われている日本の株価は底割れに近い。25日にはアジアの株価も軒並み下落した。
株安の連鎖は、経済の先行きに不透明感が増すなかで政策対応を求める警鐘だ。政府・日銀も具体的な行動を市場から促されている。
米国住宅市場で重要な意味を持つ中古住宅販売が腰折れした。7月の年換算の販売戸数は前月比で27%も減り、一戸建ては1995年5月以来の低水準に落ち込んだ。ギリシャ危機が波及する形で米国の株式市場が動揺し、一種の逆資産効果が働いて住宅投資も冷える。企業が雇用拡大に慎重なことも、米国の家計が住宅取得に慎重になっている一因だ。
心配されるのは、在庫となって積み上がった中古住宅が市場で投げ売りされる事態だ。代表的な住宅指標ケース・シラー指数はからくも下げ止まっているが、投げ売りを機に下げに拍車がかかる恐れもある。
借り手である家計が傷むばかりでなく、貸し手の金融機関も大量の不良債権を抱えることになる。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が10日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、反対を押し切り金融緩和の追加措置を決めたのも、こうした事態を懸念したからだろう。
欧州でも財政危機と金融機関の経営問題に解決のメドが立たない。欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのウェーバー独連邦銀行総裁は金融緩和の長期化を示唆し、それが欧州の傷の深さを浮き彫りにした。
市場では弱い国や企業がたたかれ、株式を売った資金は主要国の債券に向かい、日米独などの長期金利は急低下している。日本の金利はもともと低いが米欧との金利差縮小を織り込み、ドルやユーロに対し円の独歩高だ。その結果、円高、株安の共振現象が引き起こされている。
市場の動揺は日本だけの責任ではないとしても、手をこまぬけば企業と家計への打撃は募る。一層の金融緩和や円売り介入など、すべきことは明確なはずだ。政府・日銀はただちに具体的行動に踏み出すべきだ。
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| 日経平均(円) | 8,906.48 | +61.09 | 26日 大引 |
|---|---|---|---|
| NYダウ(ドル) | 10,060.06 | +19.61 | 25日 16:30 |
| 英FTSE100 | 5,149.20 | +39.80 | 26日 11:17 |
| ドル/円 | 84.55 - .58 | ±0.00 | 26日 19:10 |
| ユーロ/円 | 107.53 - .56 | +0.28円安 | 26日 19:11 |
| 長期金利(%) | 0.940 | +0.040 | 26日 16:20 |
| NY原油(ドル) | 72.52 | +0.89 | 25日 終値 |
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