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南アフリカ:公務員ストで混乱 公立病院、治療拒否される患者も

 【ヨハネスブルク高尾具成】南アフリカで公務員らによる大規模ストライキが続いている。教職員や病院職員など100万人以上の公務員が8・6%の賃上げを要求。病院での患者への対応や学校閉鎖に伴う子どもたちの教育が、政府の急課題として浮上している。

 首都プレトリアのあるハウテン州の公立病院では、医師らがストをしているため女性が駐車場で出産。手を切断された男性が病院をたらい回しにされた。ストで十分な治療が受けられなかったことが原因とみられる死者も出ている。

 そのため政府は21日、国軍医療スタッフを7州の32公立病院に派遣した。また、病院関係者がメディアを通じて、治療などの経験を持つ市民にボランティア支援を呼び掛けたところ、数千人が公立病院へ集まった。医療経験のある者は治療に携わり、それ以外は清掃などを手伝った。医師免許を持つアーロン・モツォアレディ保健相自身、旧黒人居住区ソウェトで医療活動をしている。

 一方、公立学校も閉鎖が続く。10月には高校卒業兼大学入学資格試験が始まる予定で、入試への対応について電話による相談ホットラインも設置された。

 ズマ大統領は、人種隔離(アパルトヘイト)体制下の解放闘争の際も「看護師は業務を怠らなかった」とストを批判した。しかし、ストライキを主導する南ア最大の労働組合「南ア労働組合会議」は、与党「アフリカ民族会議」のズマ党首を大統領に担いだ強力な支持母体。組合側は「サッカー・ワールドカップでの資金投入ができて、なぜ公務員の賃上げに応じられない」と強硬姿勢を崩していない。

 南ア労働組合会議などは8・6%の賃上げと月1000南ア・ランド(約1万1800円)の住宅手当支給を要求。南ア政府は12日、7%の賃上げと月700南ア・ランドの住宅手当支給を提示したが、組合側は拒否したままだ。

毎日新聞 2010年8月25日 東京夕刊

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