現代ホラー作品の第3弾は、 国際未来学者として 活躍している浜田和幸氏の 「ヘッジファンドー世紀末の妖怪」 ホラーといっておきながら こういう作品を紹介すると 非難ごうごうどころか 機関銃の掃射をまともに 受けることになるかもしれないが まぎれもなくこれは、 現代という経済が爆走する時代の 世界を震撼させ続ける 実体のない不気味な錬金術の 恐怖を書いた一冊。 。 読んでいて、 おもわず鳥肌が立つほどだ。 この新書が出版されたのが 「世紀末」と言うくらいだから 1999年、いまから10年以上も前 にもかかわらず、 この書で語られた 水ももらさぬような危機回避の ヘッジとして多額の資金を さらに天文学的な単位で 運用し、各国の産業を 破滅まで追い込む 実体なきマネーの行き付く先 2008年の「リーマン・ブラザーズ」壊滅に よる世界同時経済危機を、 すでに予告していた書として その価値は高い。 1997年、アジアにおいて、 それまで奇跡的な飛躍を 遂げたタイの市場が、 突然、正体不明の投機筋から 途方もない金額の通貨(パーツ)の 空売りを仕掛けられ、 これを買い支えることが 不能に陥ってしまう。 この異様な相場を目にした 世界中の投資家が、 この流れに乗り遅れまいと いっせいに売りに転じたため、 最終的に、タイ・パーツは18%も暴落し、 それまで常時360億ドル以上の 準備高があったドルが230億ドルに 激減してしまう。 たまりかねたタイは、 ついにIMFに ドルの援助を願うことになる。 同様なことが、その後、 マレーシアを始め インドネシア、韓国、中国、 そして日本のアジアの マネー市場を襲う。 マレーシアといえば、 当時、日本の大前研一が 経営コンサルタントとして 経済政策に参加して、 これもアジアの新時代を 感じさせていた国で マハテイール首相は、 躍進するアジアの象徴的な人物だった 同首相は、この薄汚い 膨大な投機の背後には かのジョージ・ソロス氏が いることをかぎつけ、 連日のように、 彼とそのグループを 激しく非難する。 ついで韓国、中国も 同様の攻撃を受ける 日本にいたっては、 特に山一證券が、標的になり ソロス氏一人で、 6500万株を借り集め 集中的に空売りし この歴史的な企業の 息の根をとめてしまった ・・・・・・・・ これら一連のアジアを 襲ったヘッジ・ファンドの 波状攻撃によって 当時、アジアから約1兆ドルが 消えてしまった。 ここで、その首謀者の 一人としてソロス氏が 陣頭に立ち、 実際に、この書でも 1/3を使って 氏の周辺を書いているが、 彼の背後には、 顧客、あるいはアドバイザー としてのヨーロッパの著名な 金融機関とファンドの姿があった。 イギリスを初めとする ドイツ、フランスなどの 欧州の大金融機関が、 その膨大な資金を ソロス氏を最終的な窓口として 膨大な資金を投入し、 アジアのマーケットで 大相場を張ったという所が 真相であると考える。 この前代未聞の 金融の嵐によって 日本を始め、 それまで好調だったアジア各国の マーケットが激減し、 1997年は、マイナス成長に 転じたのに対し、 それまで不調をかこっていた イギリス、フランス、ドイツ、イタリア などの各国が突然、過去に例のないほどの 飛躍的な伸びを達成する。 それもわずか1年もたたない間にである。 欧州の資金が、 アジアで膨大な利益を得た としか考えようがない。 好調な波に乗って、 アジア危機の翌年の1998年2月 ヨーロッパは、 長年の念願だったEUの統合を 果たすのである。 ・・・・・・ 筆者の筆は、錯綜する デイリバデイブなどに ついてそれほど深く 切り込んではいないが、 それを多用して、 マネー・ゲームを目論む ソロスを始めとして その周辺、あるいはその背後の 強大な資金グループについて 鋭くメスを入れている。 しかし、このときの ヨーロッパの勝利が、 実は10年後の「神々の黄昏」 にいたる序幕であることに 誰一人知る由は なかったのである |
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