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更生センター開所/理解得る努力を重ねるべき(8月20日付)
福島市狐塚に建てられた国の施設・福島自立更生促進センターが1人目の入所者となる仮釈放者を受け入れ、運用を本格開始した。開設に反対してきた地元住民らの理解は得られず、課題を引きずったままの本格運用となった。
この状況を踏まえ管轄する福島保護観察所には、入所者のプライバシーに配慮する一方で、反対住民だけでなく広く市民、県民からも理解が集まるよう情報を的確に提供していくなどの努力が求められている。
また、センターの運用内容や入所者の更生の状況を確認するために設けられた運営連絡会議について、地元の5団体は参加を保留あるいは拒否しているが、会議に加わった上でチェックしていくことも検討する必要があるだろう。
同観察所によると、入所したのは50代の男性で、県北地方の事業所で建築関係の仕事に従事しながら職を探し、社会復帰を目指すという。間もなく2人目も入所する予定。
刑期を終えた人たちが二度と犯罪に手を染めず確実に更生することが、本人にとっても社会にとっても極めて大切なことは論をまたない。国の自立更生促進センターが受け入れ先のない仮釈放者を指導・監督しながら就労支援することも重要だ。
福島市のセンター建設に当たっては、施設着工に際して同観察所が地元に適切に説明しなかったことが不信を招き問題をこじらせた。
この点について同観察所は至らなかったことを認め、薬物依存が進んだ者や性犯罪者は入れないなどの基準を設けた。だが、近隣に小、中学校、高校などがあることもあり、開設に反対する意見には約6万7000人の署名が集まるなど賛同もあった。
反対してきた男性は本格運用に際しても「観察所の不誠実な対応を見てきたので運営がしっかりなされるか不安」と語った。これまでの経過を踏まえると無理もない面がある。
「入所者の指導、管理に万全を期すので理解を」と観察所長は呼び掛けたが、信頼関係が構築されない中での開設ということを観察所側は十分に認識しなければならない。
成人を対象にした国の更生保護施設として運用が始まったのは、昨年6月の北九州市、同9月の茨城県ひたちなか市に続いて3カ所目。
市郊外にあり刑務所に隣接する茨城就業支援センターでは開設に際して特段の異論はなかったが、刑務所から離れ企業や倉庫が立ち並ぶ港湾地区にできた北九州自立更生促進センターには福島市と同様に反対があったという。
福島市のセンターは、当初の予定を2年延ばしての開所となった。同観察所はその原因をあらためて見つめ直し、不安、懸念を払拭(ふっしょく)する運用に徹していかなければならない。
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