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【主張】民主党代表選 認められない「密室談合」
民主党代表選で再選を目指す菅直人首相と、小沢一郎前幹事長の対決によって党内の亀裂が深まることを避けるため、鳩山由紀夫前首相を中心とした調整作業が進められている。
小沢氏は24日夜に鳩山氏と協議し、出馬について「一両日中に判断したい」と伝えた。25日の政治セミナーでの講演で小沢氏が代表選に言及しなかったのも、調整過程にあることと関係しているのだろう。
首相と鳩山氏も25日に会談するなど、輿石東参院議員会長も含めて挙党態勢構築に向けた調整が続いている。首相再選後の主要ポスト配分を含めた党実力者による密室談合そのものではないか。
民主党が置かれた状況、民主党に何が求められているかを、まったく認識できていない動きとしか言いようがない。
民主党が直視すべきは、ばらまき政策を多用し、政治とカネの問題で自浄作用が働いていないことだ。国民の利益を守る政治にどう転換するかが問われている。答えは徹底した政策論議を通じて導き出すしかあるまい。
だが、菅首相の再選とその後の挙党態勢を前提とした一本化調整は、政策論争を封じてしまいかねない。今、民主党が結論を出すべきは、ばらまき政策の見直しであり、消費税増税論議の具現化である。景気を浮揚させるためにも欠かせない。
民主党政権は衆院選でのマニフェストに固執して、十分な財源の裏付けがないまま、子ども手当などを推し進めてきた。だが、これらが国民の支持を得られたとはいえず、景気浮揚効果もみられなかった。鳩山氏とともに小沢氏はそうした政策を推進してきた。
小沢氏は講演で、急速な円高に関して「日本経済は大きな打撃を受ける」と懸念を表明したが、有効な対策については具体的に明らかにしていない。
首相は参院選で消費税増税を提起したが、今後どう取り組むかは曖昧(あいまい)だ。首相の再選に反対する勢力には、「原点回帰」を名目としてばらまき政策を続け、消費税論議を封じ込める動きがみられる。消費税論議は埋没してしまいかねない状況といえる。
党内の権力バランスに重きを置く密室調整は即刻打ち切り、国民の前で公明正大に政策論議を行うべきである。