お立ち台で笑顔を見せる(左から)長野、久保、小笠原(撮影・金田祐二)
「巨人6-4中日」(24日、東京ド)
右翼席からの“小笠原コール”に、帽子を取り、深々とお辞儀した。同点の八回、巨人・小笠原が値千金の26号ソロ。チームは4連勝で、首位に浮上した。お立ち台では「ホッとしました。ここ最近、貢献することができなかったので」。大歓声を浴びても、いつも通り、謙虚に喜びを表現した。
胸の内には熱い思いがあった。17日からの中日3連戦では、11打数無安打に封じられ、チームも屈辱の3タテを喫した。不振から22日の阪神戦では送りバントを命じられたが、失敗した。だれよりも責任感の強い男。「何とかしたかった」。魂のフルスイングで、価値ある一発を呼び込んだ。
開幕から不動の3番としてチームをけん引する36歳。だが、コンディションは決して万全とはいえない。ひざや腰に張りを抱え、ゲーム後はアイシングをするバンドで体中がグルグル巻きになる。だが、“ガッツ”の相性どおり、決して弱音を吐くことはない。
前回の中日3連戦と同じく、1950年のオールドユニホームを着用してプレーした。「1勝もしてなかったからね」と待望の“初勝利”に笑顔をみせた小笠原。だが、すぐに「勝ってやっとひとつ返せたかな。まずは明日の試合を勝たなければ、次はない」と表情を引き締めた。
屈辱の3連敗を取り返そうという思いは、原監督も同じだ。「今日ひとつ取ったことで、さらに勢いをつけてスタートできたと思う」。喜びに浸ることなく、次なる戦いへ気持ちを向けた。
(2010年8月24日)