キタやミナミほどではないが、大阪を代表するターミナルエリアとして君臨する「天王寺・阿倍野」。
そのシンボル的な存在でもあり、また大阪を代表する公園として長く市民に親しまれている「天王寺公園」。
だが、その天王寺公園は隣接する日本最大の労働者の街・西成区のあいりん地区から流れてくる労働者、路上生活者の群れで溢れ返り、一見すると異様な光景を見せている。行くあてもなく昼間から寝転がるばかりのホームレス、将棋広場と化す天王寺公園前の大広場。そして、かつては公園中に響き渡っていた「青空カラオケ」の大音響で、長らく凄まじい状況を呈していた。
そのシンボル的な存在でもあり、また大阪を代表する公園として長く市民に親しまれている「天王寺公園」。
だが、その天王寺公園は隣接する日本最大の労働者の街・西成区のあいりん地区から流れてくる労働者、路上生活者の群れで溢れ返り、一見すると異様な光景を見せている。行くあてもなく昼間から寝転がるばかりのホームレス、将棋広場と化す天王寺公園前の大広場。そして、かつては公園中に響き渡っていた「青空カラオケ」の大音響で、長らく凄まじい状況を呈していた。
一応は大阪有数のターミナル駅として体裁よく保っていたい行政と、ここで生きるしかないと団結する路上生活者や労働者の対立がしばしば起こり、仁義なき戦いを見せる場所、それが「天王寺」。
大阪市とホームレスの対立が激化したのは1987(昭和62)年のこと。天王寺公園は「博覧会の開催」を建前に、かねてからホームレスの占拠に悩まされていた公園をまるごと鉄柵で囲い「要塞化」した。夜間は閉鎖、入場ゲートを設け有料化したのだ。当然、野宿者は追い出されることになる。
その頃前後から、天王寺公園横を動物園方面に抜ける通路に「青空カラオケ」が出現し始めていた。やはりそれも、西成で生活をする労働者の娯楽の場として機能していた。当然無許可営業で土地の不法占拠、しかもアルコールまで提供していたという無法闇市状態だったが、これに対し大阪市は2003(平成15)年12月の行政代執行による強制撤去を行うまでは何の対策も講じてこなかった。
柵の内側か外側か、どっちが動物園なのか訳がわからない「天王寺動物園」。
「大阪DEEP案内」では、2004年から現在に至るまでの天王寺公園の変遷をまとめていきたいと思います。
通天閣側から天王寺公園に来ると、まずは天王寺動物園の正門から横の階段を上り、2階のデッキ部分から大阪市立美術館前を通り、天王寺駅前に抜ける道になっている。そこは大勢の家族連れや一般人とほとんど同じ比率で、西成の労働者や新世界の住人と思しき中年男性や女性の姿を見かけることができる。
天気のいい日にはホームレスが日向ぼっこをしていることもよくある風景だ。
この大阪市立美術館を正面に構えた2階デッキ部分。下は動物園の敷地になるのだが、こんな場所で、一列になって野宿者のテントがズラリと並んでいたのだ。
その中でも特に異彩を放っていたのが「ホームレス詩人」橘安純のテントである。
自作の詩をテントの壁面にこれでもかと載せている。自己主張しまくり。
ホームレステントを「見てみぬふり」する一般人も、このテントの前で足を止める者も少なくない。
句集「地球にねてる」より。「餓死凍死 雨にうたれて 衰弱死」。
どうもこの手の活動家はサヨ臭満開だが、この詩人も例外ではない。
野宿生活を元に詩を書くばかりではなく、大阪の左翼系イベントではよく登場する人物のようだ。
ひときわ個性的なホームレスさんのテント群。
どこからか拾ってきた革張りのソファーまで並べて、まるでプライベートラウンジだ。このように、大阪市立美術館というたいそうな建物のまん前でこんな状態なのだから、市民としては恥ずかしいとしか言い様がない。
大阪市立美術館前の公園ゲートを右に曲がると、そこがかつて「青空カラオケ」だった通りになる。強制撤去後はしばらくの間、道路の半分をトラ柵で覆い隠した不自然な状態が続いていた。
しばらくご無沙汰して、2006年8月に再度訪れた時には、大阪市立美術館前から通天閣へ抜ける通路を見下ろすと、かなりの数のテントが撤去されたか、もしくは退去して、一時期に比べるとすっきりしていた。その中でも「ホームレス詩人」のテントは図太く残っていた。
ところが2007年に入ってから、この通路も見ての通り、ホームレステントは全て撤去されて、中央は花壇が整備され、本来の公園らしい姿を取り戻していた。8月25日から開催される「世界陸上大阪」に向けたスラムクリアランスだった。
天王寺駅は、世界陸上の会場となる長居陸上競技場のある長居駅へ向けた、来客の主なアクセス経路になる。
「よそ行き」の姿を取り繕いたいという行政が、重い腰を上げた形だ。
「詩人」橘安純の個性的なテントも姿を消していた。今頃何をしているのだろうか。
普段から不法占拠者には毅然とした対応をしていればプロ市民やらプロ弱者に付け入られずに済むのに、行政の対応がいい加減なので、大阪は彼らの格好の餌食になっている。
青空カラオケだった通路も、両側に植え込みが作られていた。
昼間は平静を装ってはいるものの、夜な夜なこの周辺には「立ちんぼ」と言われるオバハンがうろつき回っている。
やはりここは「労働者の街」。飛田で若い娘と遊ぶ金がなければ、安上がりに年増のオバハンを食えるのである。
で、そんなオバハンも「世界陸上」開催の余波で捕まっている。(記事)一体どこの発展途上国なんだ、ここは。
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参考ページ
天王寺・青空カラオケ - 2ちゃんねるのコテ「ロンメル銭湯兵」氏による天王寺公園レポート。
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