「寝てばかりいて仕事もしない上司がやるなら自分も」と公金を流用し、飲み会代や風俗店通いに――。神奈川県の不正経理事件で詐欺罪に問われた元税務課職員２人。被告人質問や検察側が朗読した調書からは、県民の税金を預かりながら規範意識が欠落していた姿が浮かんだ。

　架空請求で業者にプールさせた「預け金」の一部を、職場の飲み会代などに充てていたという元税務課主幹の吉田伸一被告。「課内で仕事がうまく回るよう（飲み会は）コミュニケーションだった」と、仕事の一環だったと弁解した。

　上司や同僚から「タクシークーポンない？」と要求されて日常的にクーポンを渡していたほか、流用した金を子供の学費や生活費に充てたとも。

　そんな吉田被告の姿を見て、元副主幹、木村仁被告は「職場で寝てばかりの上司が月300万円も（公金を）使うなら自分もと思い、業者に350万円を戻させた」と、自らの流用の動機を供述。公金は競馬代やパチンコ代、風俗店の支払いなどに消えた。

　弁護側によると、15年以上前から預け金があったという神奈川県庁。「ほかの部署や県警でもあった。わたしたちだけが悪いのではない」（木村被告）と、開き直りともとれる発言も口にした。〔共同〕