【テンピ(米アリゾナ州)14日(日本時間15日)=米沢秀明】エンゼルスの松井秀喜外野手(35)が、カブス戦に「4番・DH」で先発出場。2回に中前適時打を放ち、新天地での初打点をあげた。調子を上げてきている松井のもとに、巨人入団時のヘッドコーチで夕刊フジ評論家の須藤豊氏(72)が訪問して激励。松井は不安視されるひざの状態ほか、打撃フォーム、守備について、恩師にキャンプ前半を終えての手応えを激白した。試合は8−7でカブスが逆転勝ちした。
【OP戦は打席に立つことに意義】
須藤「おお、松井、順調そうじゃないかよ」
松井「こんにちは、須藤さん、順調、順調。順調ですよ」
須藤「守備の動きもだいぶ進歩しているじゃないの。やっぱり一歩目だな。打球に反応しての一歩目を大事にしてくれよ。それがひざの回復のバロメーターでもあると思うから」
松井「大丈夫ですよ。もう昔(1993年、巨人時代に外野守備を始めたころ)のイメージは忘れてくださいよ」
須藤「やっぱり気になるのは左ひざか」
松井「そうですね、左ですね」
須藤「開幕までに準備は整うんだろ」
松井「もちろんですよ」
須藤「右翼の守備練習もやっていたみたいだけど」
松井「あれはジャスト・イン・ケース(もしものときに備えて)ですよ。あくまでも」
須藤「打撃はだいぶコンパクトな形に変化したね。ステップも小さくなったし、上体の力も抜けた形になっているね。無駄な力感がなくなった」
松井「そうですね。僕が考えているのは、いかに下半身の力を上体に伝えるかなんです。上体は力感がない方がいい。腕の力なんて、どんなに鍛えても知れていますからね」
須藤「すごく技術が上がったなあ。ワールド・シリーズでペドロ・マルチネスから低めの変化球を本塁打したのは、確かにすごい技術だったなあ」
松井「もともと僕は低めが好きなんですよ。だからああいう打撃ができてしまうことがあるんです。打撃に関しては、昨年の終わりごろからいい状態になっている。本当に」
須藤「守備の方は?」
松井「僕が守れるようになれば、ほかの選手が休みを取れるようになってチームが楽になりますから。守備も大事です」
須藤「深く考えていないと思っていたよ」
松井「何てことを(笑)。僕は以前から“チーム愛”の選手です」
須藤「ところで、初のアリゾナキャンプにはもう慣れたかな。意外に寒いんで驚いたんじゃないか」
松井「汗が出ないので、体重がなかなか落ちないんですよ。今年はいつもほど重くなかったんですが、それでも例年のペースよりも絞れるペースが遅いんですよ」
須藤「食事で調整することはあるの」
松井「食事ではしないですよ。おなかがすいたら食べるしかないんだから」
須藤「しかしエンゼルスはしっかりとした野球をするチームだな」
松井「バッテリーと内野の連携はすごい。ここまで徹底的にやっているチームはないでしょう。少なくとも大リーグでは一番でしょう」
須藤「松井のエンジンがかかるのはこれからだろ」
松井「まあ、オープン戦は打席に立つことに意義があるわけですから。20打席ぐらい立てば変わりますよ」
【ハンター「雪見だいふく」6個食い】
そのとき、松井とともに中軸を打つチームの顔、トリイ・ハンター外野手(34)が、2人の間に入ってきた。
ハンター「ヘーイ、2人で何やってんの? あれ、あなた、日本でコーチやっていた方ですよね。日米野球で日本に行ったとき会いましたよ」
須藤「おお、それはよく覚えていてくれたね。君がわしの知り合いのスコッツデールのすし店で松井と会食したのは知っているよ」
ハンター「そうなんだ。アブレイユ(外野手)とマツイの歓迎ディナーをしたんだよ。しかし、日本には最高にうまい“もちアイス”があるね。『雪見だいふく』っていうの? あまりにウマいんで6個食べたら、マツイがびっくりしていたよ」
松井「ハハハ」
ハンター「今年はマツイとモラレスと俺の3人で100本塁打を打つよ。みんな30本以上でね」
須藤「それは頼もしいね。やっぱり優勝はエンゼルスかな」